7話 往復ビンタ
「でっどうすんだよ!」
ガルが自分で戦えないのに煽るだけ盛大に煽ってくれたけど。
『うむ、あいつはランクが下から二つ目の超下級の魔界人だ。この世のどんなカスでも、あんなカスに負けることはない!貴様が恐れず倒すのだ!!』
はいっ!無策決定…
「ふははははっ愚か者のガルファンドを語ったうえ、ワシに逆らう二重の愚か者よ。愚かさを悔やみながら死ぬのが相応しかろう。」
次の瞬間僕は壁の端まで飛ばされていた。
ぐはっ!!背中を強打し、口から血が溢れ出る。
その次の瞬間また反対側の壁に飛ばされる…。
ごぶぉっ!!壁から壁の往復ビンタだ!
「ほれっどうしたぁぁ〜!貴様はガルファンドじゃないのかぁ〜こんなモノも躱せんのか〜?」
これはキツい、コイツ絶対ワザとだ。
頭をぶつけず意識を保たせて、じわじわ致命傷寸前の攻撃を何度も与えていく…。
ごふぅぅっ、呼吸ができない…頭が真っ白になっても苦しい、ただ苦しい。
僕、死ぬ…、変な虫に入り込まれただけで…。
早く医者に行けば良かった、でも街にしか医者はいないから結局一緒だったなぁ。
気が付いたら、目頭を抑えて泣いていた…。
『おいっ!お前体使わねぇんなら、オレ様が借りるぜ!』
何言ってるんだ、好きにしろよ…もうどうせこの体は動かないんだ…。
『しゃべるくらいなら簡単だったが、悪いが体を動かすとなると別だ!大家さんの意識をコッチに持って来とけ!』
分かったよ…もうこの虫嫌いだ。ワガママ過ぎる。ただもう抵抗する力もない。
言われるまま僕の意識を目の中に送り込んだ。
相変わらず棒人間が居る。
『大丈夫か!?』ボロボロになった僕を棒人間が心配してくる。
ほとんどお前のせいだけどな。