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ルームシェアin僕の目  作者: ムラサメ
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6話 盗賊の砦

「人間って…僕にはブンジョウ ユウキって名前があるんだ!」

「そうか、本来なら人間ごときの名前なんぞ憶える筋合いはないが、永く付き合う大家さんの名前だからな、憶えてやろう!光栄に思うんだなユウキとやら。」

「永くなんて付き合いたくないよ!とっとと出て行ってくれよ!」


「遠慮せずにガルファンド様と呼ぶがいいぞ。ユウキ。」

僕の悲痛な叫びはスルーか…ハァ。

「嫌だよガルファンド様なんて、まるで僕が奴隷みたいだし。ガルでいいよね!」


「くっオレ様を短く呼び捨てだと…。むぅ本来なら不敬罪だが、今は非常事態だ。仕方ない、力を取り戻すまでは、大家にあたる人間の協力が不可欠だしな…。ガルで良い。」


「さぁて、街に行けば力を取り戻せて、出て行ってくれるんだったよね!?」

「確約は出来んがな。その方向で間違いない。」

確約は出来んのかい!

でも今は、それしか選択肢がなさそうだ。


「よし行くぞ!クルケッタの街に!!」


「何じゃクルケッタの街とは…」

うーんお互い世界の知識が少ないからいちいち大変だな〜

「一番近い地方都市だよ。スラムも冒険者ギルドもあるから、荒くれ者も多くて悪意に満ちてるんじゃないかな?」

「うむ!いいぞ、行くのだ!!」


ちょいちょい偉そうだが…。

まぁいいか、歩いて3時間位だし…順調に行けば。


============


順調に行くわけがなかった…。


村から2時間歩いた辺りで、僕はチンピラ風の盗賊5人に囲まれていた。

此処らは、そんなに治安悪かったか。

「へっへっへ〜通行料払ってもらおうか?」

果たして僕のどこを見て、金を持っていると判断したのだろうか?

「払えなきゃ、砦で一生奴隷だがな。」

汚らしい顔でニヤケ顔でガハハハと笑う盗賊たち。


なるほど砦の奴隷の数が足りなくなったから補充に来たという訳か?

「はぁ…。いきなりついてないなぁ〜。」


唯一の武器であるナイフの腕は人並み以下だし…。

上手く逃げられないかなぁ〜。


『おいっ!あいつらショボイが中々の悪意を持ってるぞ!上手く倒してくれ!』

いきなりガルが頭の中で叫んだ。

「無理だよ、相手は大人で武器も持ってる。上手く逃げることを考えなきゃ!!君こそ戦えないのかよ!?」


『戦えたら話しかけてねーよ!ちいっ根性なしがっ!此処で悪意が手に入れなきゃ街でも一緒だろっ!!』

言ってる事はもっともだが、現実は甘くない。


ガン!

気付いた時には、棍棒の一撃をこめかみに貰ってしまった。

「あっ!」っと思った時には景色が回っていた。


============


『おいっ!大家さん!!起きろ!!』

「うーん、ここは??」

『おそらく盗賊の砦だろう。』

見渡すとそこはゴツゴツした岩の部屋だった。

手には鎖がつけられ、引き摺って来られたのか、僕のズボンは泥だらけだった。


「目を覚ましたか、奴隷の補欠!!」

声のする方を見ると、入り口にごっつい盗賊が立っていた。

奴隷の補欠って…いやそりゃスタメンも嫌だけどさ、補欠ってつくとさらに奴隷以下な感じが…。


「付いて来い!!お頭に挨拶をしろ!」


意外としっかりした組織なのかな?

そんな事を思いながら、大人しく付いていく。

意外と両手につけられた鎖が頑丈で重かった。

連れて来られたのは、同じくゴツゴツした岩で出来た部屋だ。

ただ調度品のレベルが違う。

まるで貴族の部屋のもののようだ。

そう言えばコイツら盗賊だったな…。


「お前が新しい補充の奴隷か…文字通り死ぬまで働け。」

そう呟くのは、人相の悪いカマキリのような顔の男だった。

コイツが首領か…。

突然、ガルが喜んだ声をあげた。

『コイツ魔界人だ!!早々についてるぞ!コイツの力をオレに献上させれば、僅かだが回復出来るぞ!』


このままでは首領との会談の場が終わってしまう。焦ったガルは少し考え、『オレ様が話す!少し大家さんの体をいじくらせてもらうぞ!…よし!終わったぞ』

よし!じゃないよ。速度がもう事後承諾だし…。


「おいっ!お前魔界人だな!オレ様は大帝王ガルファンドだ!!オレ様に力を寄越せ!!」

ガルは、盛大に名乗りを上げた!

「………。」

「ガルファンド??…まさかあのガルファンドか…?」

「そうだ!あのガルファンド様だ!!光栄に思え!」

「ぷぷぷぷぷっぶっはぁはははははーーー!!!」

「何がおかしいんだ!!オレ様の前で無礼だぞ!」

「いや〜よりにもよってガルファンドの名を騙るとは、ぶはははは、滑稽滑稽!!ははははは」


どうやらガルファンドはピクピクしながら怒っているらしい。

連動して僕のコメカミまでピクピクしているからやめて欲しい。

「………貴様…死にたいのか?」

冷たい声でガルファンドが通告する。


「久々に笑わせて貰ったわ。いいか、田舎者が知ったか振りをして騙っているようだが、ガルファンドは部下に力の大半を分け与えた挙句、その部下に裏切られ、天使に消滅させられた愚か者よ。


確かに全盛期の力は歴代の大帝王の中でも群を抜いていたが、愚かさもまた群を抜いておったわ〜ぐはははははっ〜!」


ぎぃりぎぃりぎぃり…

おいおい変な音が聞こえるぞ!!

相手にされないばかりかバカにされすぎて、おかしくなってないか。


「だが、魔界人を騙り、ワシを謀ろうとした罪は重い!万死に値するぞ人間!!」


「おもしれぇ!格の違いを見せてやるよ!」

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