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5話 悪意の塊
「ふぅっ!」
僕の心は、幾ばくかの諦めに包まれた。
よく見ると棒人間には目と口はある。
残忍な蟻のような顔をしている。
魔界とか言ってたか、大それた役職は自称だから別として異世界の生き物か…。
異世界の存在自体が懐疑的なのに、魔界の住人だって!?
僕の思考もオーバーフローだよ…。
「でっ…どうすれば回復するんだよ?」
絞り出すような声で聞いてみる。
『端的に言うと、魔界の力だな。』
全然端的じゃない、意味不明が増えただけだ。
「でっ…どうすれば魔界の力とやらが手に入るんだよ!?」
『うむ、理想は魔界人に会い、力を分けてもらうのが一番じゃが、人間界で言えば、悪意の塊を喰う事だ。』
さぁって…悪意の塊なんて抽象的過ぎる!ずっといる気か!
棒人間はニヤニヤしながら言った。
『よし!人間!街に出くぞ!悪意が集まってんだろ?人間の街には!!』