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ルームシェアin僕の目  作者: ムラサメ
10/11

10話 チーム結成

僕の目の前に白のワンピースを着た黒髪のボブカットの女の子がいる。

ただ普通と違うのは背中に小さな羽が生えているということ。


『きゃあぁぁぁー!!アンタ何すんのよ!!』

両腕を下に伸ばし、爪先立ちのまま、大きな黒目を見開きながら、僕に抗議してくる。

相当怒っているようだ。


『えっとやったのは正確には僕の体であって、僕ではないんだけど…』

しどろもどろにならながら弁解する。


『何わけわかんないこと言ってるのよ!早く戻しなさいよ!!』


すると、上からガルが降りてきた。

『来たか。早速用件を言うぞ!お前の羽を寄越せ!!』


呆気に取られる女の子。

『アンタ何言ってんのよ!!天使の羽をなんだと思っているの!?命と乙女の純情の次に大切なものなのよ!だいたいアンタは何者なの!?顔右側半分ないし、棒人間分際で!!』


『オレ様は、訳あって魔界人で大帝王のガルファンド様だ。直接口を聞けて光栄に思うがよい。』


何の説明にもなっていないようだ。


『バカじゃないの!?オレ様だかガルなんとかだか知らないけど、とっととここから出しなさいよ!!』

『それはできん相談だな。この体はこのままだともうじき死ぬ。もちろんオレもお前もだ。』

おいおいサラッと凄い事を言ったな。


呆れた様子で、女の子は言い返した。

『だから何なのよ。私には関係ないでしょ!早く出してくれれば、私は安全なんだから!フン!』


『そのとおりだ。だから出さん!!』


『はあぁ!????何わかんないこと言ってんのよ!?』


『貴様の羽を寄越せば、オレ様が生き残る可能性が出てくる。だから、羽を寄越すまで、出さん。

つまり羽を寄越さなければ、オレ様達と一緒に死ぬという訳だ。』


『…………。な、何言ってんの?アンタ頭おかしいんじゃないの?勝手に取り込んでおいて…それじゃまるで誘拐と脅迫じゃないのよ。』


『まるで…じゃない。正式な誘拐と脅迫だ。』


なんだソレ?正式な誘拐と脅迫って…。


『早く決断しろ!!もう時間がない。今脳神経細胞が高速回転になっているから、ここでの流れる時間が遅くなっているが、あと5分持たないだろう。』

おいおい重要なことをサラサラ混ぜてくるなよ。


『なんて奴なの!!私の命を人質に大事なものを寄越せなんて!!』

『その大事なものは、命と乙女の純情とやらの次なんだろう。良かったな一番と二番が守れて。』

『そんな事言ってないでしょ!!』

『じゃあどうする?ここで愚痴を言い続けて、俺たちと死ぬか?』


『ぐぬぬぬぬっ』女の子は歯ぎしりをするが、次の瞬間力を抜いたのか両肩がすっと下がった。

『分かったわ!羽をあげればいいんでしょ!だけど勘違いしないで!私は死にたくないからじゃない!!アンタ達のようなクズと一緒に死にたくないだけなんだから!!!』

結果は一緒だけどね…と思ったけど、それ以上に僕もクズ扱いなんだと落ち込んでしまった。


おもむろにガルは女の子のうしろに立つと、なんと左の羽を根元からもぎ取った!!

『きゃぁぁぁぁー!!!』

女の子の悲鳴が響きわたる。

『おいっガル!いくら覚悟を決めてくれたっていうにしても、いきなり女の子の羽をもぐことはないだろ!!』思わず僕がガルに詰め寄ると。


ガルは冷たい目をして、こう言った。

『覚悟が出来たなら行動あるのみ。覚悟がすぐに行動出来ないなら、それは覚悟とは言わない。』


『そこの棒人間の言う通りよ。私は覚悟していた。だから大丈夫!』涙目になりながら、彼女は言った。


『そして時間がない。』

そう呟いたガルが根元からもいだ羽を僕の背中の左に突き刺した。

『ぎゃっ!!!』僕は思わず叫ぶ。

前回と同じようにジュワァァァ癒着する感覚が続く…。前よりちょっとだけ慣れた自分に驚きだった。


『ううっ私の右の羽と左の羽が連動している感覚が気持ち悪い…。』慣れてない人は大変だろうな。


『おし!!これで可能性が出てきた!大家さんは目を担当!、お前は羽を担当、オレ様は頭脳兼右腕の担当だ!!』


『お前とは何よ!!私には、ノチュリーナって素敵で可憐な名前があるのよ!!』


『………。想像を超えた残念な名前だな…ノチュ』

『何をぉ〜!!!!』


『二人とも喧嘩はやめようよ!!』

僕は、思わず仲裁に入る。


『いかん、そのとおりだ!今やオレ様達は、生き残ることを共通の目的としたチームだ。』

ガルの言葉に二人は頷く。


『よぉし!みんなで行くぞ!!!』

『『おー!!!』』3人の声が初めて揃った瞬間だった。

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