4話 タイムリミット
3年ほどの月日が流れた。
「クソッ!またダメだ!」
「どうしても、一定以上の質量の物だと失敗してしまう。」
「アラン、少し休んでお茶でもいれるわ。」
「ありがとう。」
「いいのよ、毎日必死になってるのは分かってるから。」
「この子の為でもあるんでしょ?」
シズクは妊娠していた。
「ああ、子供の為にも何としても結果を出さないと。」
「小型の宇宙船では完璧なんだもっと大型の船も跳ばせるようにならないと、コスト的にも戦略的にも実用化は難しい。」
「あなたが開発した『ワープ航法』はとても素晴らしい物よ。それのおかげで私は此処に居て、この子にも恵まれた。」
ドンドンドン!玄関の扉を叩く音がする。
「ドチラサマデショウカ?」
「アランを呼べ、ソーンが来たと伝えろ。」
「カシコマリマシタ。」
メイがやってきた。
「アランサマ、ソーンサマガイラシテオリマス」
「はぁ...足が重い」
玄関口にソーンと名乗った男が、部下を連れて立っていた。
「ご足労おかけしました。ソーン将軍。」
「アラン、進歩は?」
「小型の物はほぼ完璧です、大型船用の物が難航しています。」
「一年前に聞いたのと同じ報告だな。」
「はい...」
「猶予をやろう。あと一年だ。」
「あと一年で完成しなかった場合、このプロジェクトは凍結させ別のチームに引き継がせる。」
「ちょっと待って下さい!これは元々私が1人で開発したものです!!」
「開発したのはたしかに貴様だが、資金に困って軍に泣きついて来たのも貴様だ。」
アランは何も言い返せなかった。
「いいか、あと一年だ。」
「我らの、いや全宇宙の敵『バグ』が迫っている。猶予はもう無い。」
ソーンはそう言い残すと部下を連れ、帰っていった。
あと一年。