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1話 冬の夜
とある冬の夜、初老の男が星空を見上げている。
「やっぱりここか。」
後ろから声が聞こえる。
「毎日毎日よくもまあ飽きもせずに。」
「あの星はお袋じゃねーんだ!いい加減にしてくれ!」
悪態を吐く声だ。
「.........」
男は何も答えない。
「もういい、俺は帰る。」
愛想をつかせたような声が聞こえる。
「......!!!」
男の表情が一変した。
「あっ...ああうあおぅあぁあ」
男は膝を折り、言葉にならない声をあげていた。
「おい!大丈夫か親父!!しっかりしろ!!」
心配そうな表情をしている。
「.........」
それから30分ほど男は放心状態だった。
男は我に帰ると、立ち上がり言った。
「......お前に話がある、大事な...とても大事な話だ」