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エッセイ

JK 得(どく)

作者: 久賀 広一

まあ当たり前ですよね。


この記号天国日本において、価値が宝石級ではないかと考えられるJKにおいて、損なことなど数えるほどしかない。


”東大生”などは門戸が狭いために限られた者にしか与えられない称号ですが、わが国においては、女子であればほぼ全員に与えられる数年間は、努力が結晶せねばほとんど称賛されない高校男子と比べても、かなり輝きに差があると思われます。


新陳代謝が活発すぎるその年齢において、あふれるエネルギーを抑えておけずに、時に進路整備が進み過ぎた息苦しさから「JKビジネス」などに踏み込んでしまう恵まれた家庭の女の子もいますが、まあそれも”幸福すぎる不幸”なのかもしれません。


昔は、裕福な中年だけが遭遇していた「ミドルエイジ・クライシス」が、もう多くの豊かな国では、すべての年齢層に行き渡ったと考えてもいいかもしれないですね(めちゃくちゃだな、オイ)。


話は小さくなりますが、僕は今でもその「JK得」に関して、記憶に残っていることがあります。


別に、下衆な話でもなく、尊い内容でもないのですが、まあ短いものなので聞いてやって下さい。



・・・それは、午睡にまどろむ、陽光うららかな晩春の日のことでした。


山の住宅地に建っている我が家のとなりは、まるで果樹園のように、果物の木や苗を植えまくっている御宅でした。

「もはやその季候で育つ果物ならば、植えられていないものはない」というほど多彩な果樹畑なのですが、その一つに、さくらんぼの亜種のようなものがあります。


どちらかと言えば、その御宅よりこちらの所有車の通り道に張り出してっているその実は、あまりにひしめき合っていました。


「実がなってると、スズメたちが毎朝チュンチュラうるさいから、できれば好きなだけもっていって」とその隣家の老夫に言われていたのですが、まあ当時の僕は若く、それほど果物好きでもありませんでした。


今なら健康のためにそこそこは食べるのですが、とりあえずそのとき活躍したのは、何しろ冒頭で挙げたJKです。


「・・・あ、ここよ」

と、ある日、その実が生っているところまで、小鳥が誘われるように二人の女子高生がやってきて、果実をついばみ始めたのです。


「すっぱいね」

「あ、これ美味しい」


そんな風に、小さな声で会話しながら、ちょっとずつ分け合っています。


僕は、家の二階からちらっとそれを見たのですが(まあ女の子は敏感だから、ジッと見るわけにはいかない)、一応それは犯罪なんですよね。


まず、実を盗む窃盗罪?になりますし、その二人がいる場所は、ウチの敷地内の車両通路だから、不法侵入(はなはだ)だしい。


でも、それをとがめる大人(特に男)なんていませんよね。


何しろキラキラした育ち盛りの女の子たちが、わびしい中年と老人の家近くにちょこちょこやって来て、静かに笑い合ってるんです。


これを通報する方が罪人です。


・・・けれど、これがもしDK(男子高生)なら、

「ぎゃはは! すっぺえ!!」

「おっ、これはいけるぜ!」


ぎゃいぎゃい。


「おい、お前ら! このコソ泥が!! 動くなよ、いま警察に通報したからな!」

で、ダッシュされて終わりですね。


とにかくまあ、JK・・・というか若い女の子の価値というものは、もう軽い犯罪すら美しい情景に変える力を持ってるんですよ。


だって、これまでに良い本をけっこう読んできて、その記憶は曖昧になることが多いのに、よく見てもいない「果実をついばんでた女の子」は永遠に焼き付いたままですからね。


・・・だからこそ、女性は歳をとっていくことに寂しさを感じることもあるのかもしれませんが・・・


けど男も、定年退職したあとはほんとに誰も訪ねて来ない、友達もいない孤独な老人になったり、そんな寂しい存在になりたくなくて、いつまでも実権の座にすがりついてるような、時代遅れの《老害》も少なくないでしょうしね。


やっぱり自分とともに、他人をいたわる気持ちを持っている人が、どんな歳でも笑顔の人たちに囲まれてるような気がします。


なんか、オチがなくて話がそれかけてますが・・・


「制服を 卒業した(脱いだ) とき、その本当の威力を知る」と言われるJK服・・・変な風ではなく、できるだけ真っ当に輝いてほしいですね、という、薄らいだ記憶からの思い出話でした。(忘れてるんかい!)
















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