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影、祓い屋、そして狐。1-4

この頃は忙しく、そろそろ新学期も始まることなので、更新が遅くなるかもです…


よろしければ1-1からよろしくお願いします!

 「それで、どうして君はここにいるのかな?それに、昨日もいたよね?」

 

 月明かりの照らす森の中、彼女は俺に尋ねた。

 

 「え?気が付いたらここにいたんだけど…」

 なんでって、そんなの俺が一番知りたいわ。


 「気が付いたらって……この空間は一応()()()()は入れないはずなんだけど…?」

 彼女は笑顔を曇らせ、こう続けた。


 「ここは【結界】なの。私たち【(はら)い屋】が【(けが)れ】と戦うための。」


 「……」

 えっと…え?どういうこと?

 何一つ言っている意味が分からなかった。

 結界…はともかく、祓い屋?穢れ?何だよそのファンタジーみたいな話は。


 俺の中で考えるよりも、本人に直接聞いて説明してもらうほうが簡単で確実だと思い、彼女に尋ねた。


 「ごめん、もうちょっと詳しく説明してもらえないか?」


 「えっと…細かいことはあとで説明するけど…とにかく、君がここにいることがおかしいってことを分かって欲しいな。」

 

 彼女はこの場で説明する気はないようだ。すぐに説明できるような、そんな簡単な話ではないらしい…でも、何も知らないままでうやむやにされてはたまったものじゃない。


 「ここでできる範囲で簡単にでいいから…とりあえず、この空間がなんだかくらいは教えてほしい。」


 彼女は少し考えた後、諦めたようにため息をついて答えてくれた。


 「ここは私が穢れと戦うために張っている結界で、私たちのような祓い屋の人間以外は入ってこられないはずなの。だから、祓い屋でも何でもない君がここにいるのはおかしいってこと、分かった?」

 

 結界やら穢れやら、突っ込むところは多いが何となくは理解できた気がする。とは言え、俺がなんでここにいるのか何でか分かるはずもない俺は何も言えずにいると、


 「はぁ…とりあえずここを出ようか。いつまでもこの結界を張ってる訳にもいかないしね…落ち着いて話せるところに行こう。」

 

 そう言うと彼女はどこかへと歩いて行ってしまった。え?俺ほったらかしなの?

 ついていくべきかどうか迷っていると、だんだん景色が(かす)んでいっていることに気づいた。どうやら結界を解除しに行っていたみたいだ。


 …うん?案外受け入れてないか?この状況…





 エアコンの室外機の音。

 換気扇から流れてくるいろいろな食べ物の臭いが混じった何とも言えないにおい。

 俺はあの路地裏に戻ってきていた。

 

 「あっ!こんなところにいた!」

 

 路地の向こうから真っすぐに伸びた黒髪をなびかせて駆けてくる人影。

 うちの高校の女子の制服を着ているその人物は彼女だった。

 ……そういえば、名前を聞いていなかった。後で聞いてみよう。


 「……一応聞くけど、どうして俺の居場所が分かったんだ?」

  何となく解答の予想はついている。けど、やっぱり気になるじゃん?


 「そりゃ君の気配をたどってきたんだよ!」

 ニコニコ


 「はぁぁぁぁぁ…」

 

 なんかこう…何でもありだな…

 もう何が来ても驚かない自信があるぞ…


 「何でそんな大きなため息ついてるのかな…?」


 そりゃ、ねぇ?

 「この1時間ほどで、こんだけ非現実的で、ファンタジーだと思っていたことが立て続けに起きてるんだぞ…ため息もつきたくなるわ…」

 

 「……なんか、ごめんね…」

 彼女が申し訳なさそうにうつむく。


 …だめだ。彼女に当たるなんて筋違いだ。そもそも俺は彼女に助けられたんだぞ。

 

 「いや!君のせいじゃ…」


 そう言おうとした時。




 「なぁ~姉ちゃん、俺たちと遊ばねぇ?」


 時刻は夜の9時過ぎ。こんな時間に繁華街を彼女のように美人な女の子がうろうろしていれば、そりゃこういう人間に絡まれるわけで…

 こんなことなら、何も聞かずにここを離れるべきだった。


 「いや…私は「悪いが彼女は俺の連れなんだ。邪魔しないでくれないか?」

 彼女をかばうように立ち、絡んできた男を睨む。

 

 身長は大体170後半、だぼだぼのムササビパンツに蛍光色のド派手な服、髪は金に染めて耳にはピアス。典型的な不良だ。

 男は俺を睨み返し、

 「へぇ…男いんのか。」

 そうつぶやくと男の後ろから何人もの男が現れた。彼らはやはりド派手な服を着ている。正直ここまで蛍光色が集まると気持ち悪い。


 「なあ兄ちゃん、ここで大人しく彼女おいて帰ってくれないと痛い目に遭うよ~」

 そういうと彼はポケットナイフを取り出し俺に向ける。


 …さすがに不味いな…

 やはり冷たく落ち着いた頭でどう切り抜けるか考える。

 どうする?戦うか?…いやそれだと必ずどちらかに怪我人、下手したら向こうに死者が出る。…戦う選択肢はないな。

 となると、逃げることになるのか。

 路地が狭いおかげでまだ包囲はされていない。…これは逃げるには今しかなさそうだ。

 

 「いいよ。私を置いて君は逃げて。」

 彼女はやさしく微笑んで言う。だから、それするとたぶん向こうが大変な目に合うからダメなんだって。

 「いや、ここは俺に任せて。」

 俺は小声で自分の考えを話す。まぁ、考えとかそんな複雑なものじゃない。単純にナイフ持った男をぶっ飛ばして、動揺した隙に逃げるっていう単純極まりないものだ

 「いくぞ…3…」

 「おいおい、どうした~?逃げないの~?」

 「…2…」

 俺は無視して睨み続ける。

 「…1…」

 「おい!なんか言えって!」

 「…ゼロ!」

 大声で叫び、全力で男の顔面を殴り飛ばす。

 「グぇ…!」

 …そんな気持ち悪い声出すなよ…

 殴り飛ばしてすぐに反転、彼女の手を引いて後ろに走り出す。

 「おい!」「大丈夫か!?」「鈴木~!」「逃げたぞ!追え!」


 

 …あいつ鈴木って苗字なのか…うん、どうでもいいな。

 この路地は俺が近道をしたいときにいつも通っている道だ。そう簡単には捕まらない自信がある。それに、信用できる人の店が近い。そこで上手く巻いて(かくま)ってもらおう。



感想やレビュー、誤字脱字報告などをしていただけると嬉しいです。

次回1-5もよろしくお願いしますm(_ _"m)

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