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影、祓い屋、そして狐。1-3

※5月12日 読みやすいよう修正

 気を失っていたのはほんの一瞬で、地面に倒れこんだ衝撃で目を覚ました。


 背中から伝わってくるのはひんやりとした土の感触。


 不気味なほど静かで、とても大きな木々がそびえたっていて、夜空には大きな満月が浮かんでいる。


 そう、昨日の森に酷似している。というかたぶん同じだ。


 ……また夢でも見ているんだろうか?


 ゆっくりと起き上がり、背中についた土を落とす。すると、


「グルルル……」


 何かの唸り声が聞こえた。


 正面、それに、かなり近い。


 ……ひょっとして、あの酔っ払いなんじゃ……いやこの声が人間なんて思えない……


 だけど周囲には何もいない。声も小さかったし、聞き間違いかもしれない。


 気にせず前へ進むことにした。



 さて、ここは一体どこ……いや、何なんだろう?

 あまりにも突然巻き込まれるこの空間。

 夢にしては、土の感触なんかがあまりにもリアルだ。

 しかも2回目。これは……まさか……今度こそ……

 

「異世界て……」


 目線をあげた瞬間、左肩に衝撃。

 俺は5メートルほど吹っ飛ばされる。

 すぐに立ち上がろうとするが、


「グッ……痛ってぇ……!」


 殴られた左肩が、動かせないくらい痛い。ひょっとしたらひびが入ってるかもしれない。

 もう一度、痛む肩をかばいつつ立ち上がり、殴りかかってきたやつを見る。


「……は?」


 よく見ると、そいつはあの酔っ払いだった。

 だが、なにか…黒いもやのようなものがまとわりついているようだ。

 まるで…()()()()()とどこか雰囲気が…


「グルォォォォッ!」


 男が獣のような雄叫(おたけ)びを上げる。本当に人間かよこいつ!?

 男は俺に向かって一直線に飛びかかり、何の躊躇(ちゅうちょ)もなく右腕を振り下ろした。


「殺す気かよ!?」


 もちろん俺は後ろに避けた。


 男の腕は地面に衝突し、バキッ、と骨の折れる音がした。しかし、男は止まることなく今度は左腕で殴りかかってくる。


  腕を折るほどの威力を殺すことなく地面にぶつけた。間違いなく()()()()()()


 これは…本気で逃げないと殺される。


 俺は背を向けて逃げ……られなかった。


「クソッ……」


 男が折れた両腕で俺に飛びつき、地面に押し倒した。




 まずい。



 これは……殺される……




 俺は必死に抵抗した。


 使える右腕で顔面を何度も何度も殴った。


 何とかして振りほどこうともがき続けた。


 でも男は顔面が血まみれになるまで殴っても少し怯んだだけで。


 どれだけもがいても抜け出すことは出来ず。


 男はぐちゃぐちゃになった顔をニヤリと歪ませ、折れて骨の突き出した両腕を天に振り上げ……




 俺の脳天に振り下ろした。



 その時、時間がとてもスローに見えた。 


 ゆっくりと近づいてくる腕。


 気のせいか視界の端に光る()()が見えた。

 それはだんだん男に近づいていき……





 その瞬間、男の首が飛んだ。

 首から噴き出る血しぶきが、俺の視界を真っ赤に染め上げる。

 俺は力が抜けて倒れてきそうになった男の胴体をどけて立ち上がる。

 

「大丈夫? 肩思いっきり殴られてたけど……怪我は……してないわけないよね……」

 

 後ろから透明感のある女の子の声。

 そちらを振り向くとそこには……


 真っ直ぐ伸び、月明かりを反射してキラキラ輝いている黒髪、昨日の女の子にどこか雰囲気の似ている子がいた。


「ああ……助かったよ……」


 彼女は巫女服ではなく、うちの高校の制服を着ていた。

 昨日は顔が見えなかったが、今ははっきり見える。

 整った輪郭に二重まぶたに大きな瞳。やっぱり美少女だった。思わず見とれて何も言えなかった。


「?」


「ああ、いや、肩は大丈……ってぇ!」

 

 肩の痛みを思い出し、思わず(もだ)える。

 こんな痛かったっけ。


「ちょっと見せて」


 そう言うと彼女は俺のブレザーを脱がして肩を見る。

 ちょっと、近いです。恥ずかしいですよ私。


 そう思いながらも、彼女の黒髪に目が行く。

 近くで見る彼女の黒髪は本当に綺麗で、目が離せないでいると



「うわぁ…すごい腫れてる…幸い折れてはないみたい…って、聞いてる?」

 

 彼女はジト目でこちらを向く。

 

「あぁ、ごめん…折れてないならよかった……めちゃくちゃ痛いけど……」


 俺がこう答えると、彼女は俺の肩に手をかざし、


「大丈夫。これくらいなら、私でも治せる。」


「は?」


 どういう事だ?湿布でも持ってるのか?ファンタジーじゃあるまいし、まさか魔法なんて……


天狐(てんこ)様……少し力を貸してください……」



 彼女が小さく呟くと同時に、彼女の髪が少しずつ黄金色に変わり始めた。

 金髪も月明かりを金色に反射して綺麗だなぁ……とか呑気なことを考えていたら


「これで治ったはず。どう? 痛くない?」


「え? 治った?」


 俺は殴られてた左肩を反射的に動かした。全く痛みは感じないし、腫れも引いている。


「嘘だろ……」


 思わずこう呟いた俺に、


「残念ながら、嘘でもマジックでも、夢でもないよ」


  そうふわっと笑って言った。


次回、1-4も頑張って明日……頑張ります…

アドバイスや誤字報告などを頂けると嬉しいです。




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