第04話 お客さん
ーー何この状況?何なの?何であの人あんなに怒ってるの?鎖に繋がれてるから?いや、それ以前に他人と話すなんていつぶりだ?しかもあんな美女…うちのクラスにいた奴等は本当に同じ人間だったのか……?いやいや、失礼過ぎるよ黒木君。それにしても恐いような、嬉しいような……高過ぎる……ハードルが高過ぎるぅ〜〜……よし、覚悟を決めよう!ヘタレは過去に置いてきた!
「じょ、状況が飲み込めない!俺は今日初めてここに来たんだ!そして、あ、あんたが誰だかもまず知らない」
「そんな偽り誰が信じる?ここは魔界ホラギニウスに存在する七人の魔帝王が一人レスカ・ナインテイルの居城ナインテイル城……一般人が外部から足を運ぶこと、ましてや侵入することなんてまず無理であって自殺行為だ。城には至る所に部下も居るしな」
「……え?そんな危ない所なのここ?」
ーー魔帝神の野郎序盤から難易度高すぎるだろ!何故こんな所に!と言うか途中で部下とエンカウントしなくてよかった〜本当に……
「で、だったらなんであんたはこんな所にいるんだ?」
「私だって居たくている訳じゃないよこんなところ、不意打ちで捕まったのだから……」
美女は言葉を濁す
「……と言うか!さっきからあんたあんたって私はアーサー・ナイツクラウンという名がある、失礼な」
「ごめんごめんそこら辺の配慮に欠けてたよ。それにしても……へ〜、アーサーかいい名前だな!」
彼女は少し恥ずかしそうにそっぽを向く
「どこかの国の王様みたいな名前だな?」
「当然だ、聖界テークヒューサーの聖帝王の娘なのだから」
「へ〜、聖帝王…………王様!?つまり……お姫様?言われてみればそんな気も……」
「失礼な、こんな状態じゃなければ…」
癪に触った様で悔しそうに下唇を噛んでいる
「と言うか姫様なのに誰も助けに来てくれないのか?おかしくないか?」
「公にこんな情報が流れればそれこそおかしなことになる、聖帝王の娘が魔帝王に捕まるなんて、王同士が戦争を起こしまう」
「じゃ、捜索は一応されている感じか?」
「それもどうだか怪しいな、昨日部下と思っていた連中に裏切られたばかりだ……今となっては信頼に足りるものは父上位しかいないからな……もしかしたら邪魔ものが消えて皆喜んでいるかもしれないな……」
「悪いこと聞いたな……どんまい」
「うるさい、どんまいがどんな意味かは分からないが不愉快極まりない!そんな事より私のことは話したんだから次はそちらの番だ!その前にその鎧の下の顔を晒せ!人と話すのに素顔を晒さないなんて失礼だ!」
ーー分かった分かった……うん?待てよ?……え?……俺はここでとんでもない違和感に襲われた……そう、俺自身鎧の兜を装着しているなんて思っていなかったのだ視界には兜特有の隙間からものを見るなんてこともなかったために……つまり……鎧を着ているのではなく鎧そのものに俺の魂が定着している……鎧人間なのだ。念のためピカピカな大理石の床を目視する……うん、全身真っ黒な鎧さんが映っている。彼女の何気ない一言で自分の中の何かが砕け散った……元魔帝神コロス
「どうしたんだ?早く外さなさいか」
「あー、俺はカナタ、黒木奏多だ!鎧は訳あって今は外せないすまない」
ーーここまで初対面の人と打ち解けたのに、今更化物扱いは困る……と言うより敵として認識して欲しくない
そんな事を思いながら話をはぐらかした
「どんな訳だ!?まぁ無理強いする様なことはしない、名乗るだけマシとするか……カナタ、カナタか、変わった名前だな。それにカナタ、あなたと話しているとなんと言うか肩書きとか立場とかを忘れてしまうな」
「それは、俺に対して気は使わなくて良いと言うことか?」
「そうかもしれないな」
フフッとどこか嬉しそうに笑うアーサー
「まぁ、散々話して今更だけどその鎖外せるか試してみるよ。いつまでもその状態じゃきついだろ?」
「あ、ああ、すまないな。外せるかは分からないが頼む……それにしてもその鎧どこかで見た様な……!」
とアーサーが言いかけると、突如それはドシンドシンと大きな足音を立てて、入り口の大きな二つ扉を屈みながら入ってきた




