第03話 敵意
ーーううっ……あ〜酷い目にあった気がする……何が起きたんだ?絶叫マシンを遥かに凌駕していたぞ……そういえば、さっきの声は一体なんだったんだ?……ダメだ、さっきのインパクトが強すぎて思い出せん。と言うかやけに暗いなここは…どこだ?もしかしていきなり放置プレイか?異世界初心者だぞ!
どことも分からない暗がりの一室に召喚された様子、辺り一面を見渡しても誰も居ない
ーーとりあえず、探索して内部を確認してみるか……
「カシャン」
床に座っていた重い腰をあげようとするがどこか身体に違和感を感じ、聞きなれない音を耳にする
ーーちょっと待てよ…そう言えば俺って今どんな格好なんだ?カシャンって鳴るってことは勇者らしい鎧を早速装備していると言うことか?やけに身体全体が無機質な感じがする。それになんか身体のサイズに違和感がある…なんかスマートな肉体になっている気が…もしやこれが噂に聞くチート機能か?
あの元魔帝神とか言う奴実はいい奴なんじゃ…だけど、なんか今までの自分を否定されている様でちょっと悲しい気もしない訳ではない…でも新しい人生なんだから新しい自分も受け入れていかないとな、うんうん。
まぁ、冗談はこの辺にして探索に行くとするか……暗いけど一応内装は見える位には明るいし……お、あそこが出入り口か?
扉を空け廊下に出て探索を続ける
ーーにしてもここはどこなんだ?なんか昔ながらの城の様な雰囲気があるな……随分広いし、廃城みたいなものか?それにしては手入れが行き届いているみたいだけど……!……明かりだ!誰かがいる証拠!助かった〜〜
大きな二つ扉の隙間から光が漏れていた、扉に手を差し伸べ開けてみる……暗がりを彷徨っていたせいか、急に明るみに出たせいか視界がぼやけるが次第に目が慣れてくる
「えっ?」
王の間とでも言うのだろうか、その場所の造りは先ほどから自身が感じていたものを確信に変えた。レッドカーペットが奥まで果てし無く伸びており、それが途切れた所から数段の階段が続いている。その階段を登りきった所はまるで……
祭壇、それは眼前に映る異様な光景に当たり障りのない言葉だと思った
そこには虚ろながらに青色の透き通る様な眼光を持ち、金色に染まる美しい髪、白い肌に美麗な顔立ち、上に鎧、下に白いドレスを纏った女性が高い天井から伸びる鎖に繋がれていた
「まだ何か用か?それとも貶めに来たのか?」
そんな綺麗な彼女の第一声は静かではあったが間違いなく敵意が込められていた




