第02話 転生
ーーめ…よ…、め…めよ、目覚めよ…
どこからともなく声が聞こえる
辺り一面暗いが、一点の光が見えその後方に大きな扉の様なものがそびえ立つ
ーー汝、彼の世界で何を求む?
宙に浮いている光の玉の様なものに話しかけられる
「ここは?てか光が喋ってる?いや、その前に俺はあの車に…って俺の身体は…あれ?おれも光の玉なんですけどーーー!」
ーーここは彼の世界の入り口に過ぎない、汝が望むならここを通そう
「入り口?ん?話が入ってこない……どういう事?」
ーー飲み込みが悪いな、控えめに言って馬…もう一度問おう汝は何を望む
「今そのキャラからは想像もつかない言葉を放とうとしただろ」
ーーそういうところに関しては敏感なのだな…要するに新しい世界で第二の人生が欲しいか、欲しくないか可もしくは否で答えろと問うている
「え!?もしかして、その世界って今まで俺が過ごしてきた世界とは違って…そのなんと言うか耳が長くて美麗な顔立ちの人間に近い生物がいたり、翼があり口から高温の炎を吐き出す生物がいたりする訳?そんでもって世界のピンチを救ったり?」
ーー汝が何を言っているかはよくわからないが、それに近い生命体は存在する
「ハハ、マジかよ、考えてる時間が惜しい…俺…行きたい、行かせて欲しい!人生をやり直したい!第二の人生下さい!!」
ーー即決だなそれに随分と物事をいい方に捉えるのだな……正直引くレベルだ……後悔はないのか?
「……ひどっ、自分で言っておいて……まぁ、ここで行かない方が後悔すると思うから!一度後悔している身としてはな……」
ーー承知した、では最後に汝の名を聞いておこう
「俺は奏多!黒木奏多だ!」
ーーなるほど、カナタか!良い名だ。一応私の名も述べておこう……私の名はカイゼル・ハウンズ、彼の世界では魔帝神等と呼ばれていた。今は元魔帝神だがな。まぁ、そんなことはどうでも良い汝の第二の人生の幕開けだ!
巨大な扉がドス黒い光を放ち、今ある空間の全てを飲み込むかの様に吸い込んでいく、言うまでもないが俺の体も
「え?元魔帝神?え、ちょ、ちょっと待て!今、聞いてはいけないワードが混じってた気があああああああああああああぁぁぁ」
最後まで言葉を言い切れず扉は閉まり後には宙に浮く光の玉のみが漂っていた
ーー任せたぞ
「うわああああああ」
次元の狭間の奔流を高速で流れる様に移動する、それはまるでウォーターパークの滑り台を次元の違う速さで流れる様な感覚だった、意識が途切れかける
しかし、奔流の傍から極限の状態の彼に語りかける様に二人の白い影が近づいてきた……
ーーこの人で良いの?
若い男の子の様な影がもう一人の女性の様な影に話しかける
ーーあの方が選んだお方ですもの、この方を信じましょう。
ーーじゃあ、僕も信じるよ。これを…
と言い此方に何かを差し出してきたが、何かは分からないまま俺の意識は闇に落ちていく




