表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/26

適合

「遂に見つけた。我の半身。」

俺は、今生け贄の相手に優しく触られている。本来なら、あっさりと死ぬ筈だったのに、どうしてこうなった?


禍々しい洞窟を進んでいくと、広い空間に出た。そこに何もない筈はなく、禍々しい原因を見つけた。そこにいたのは、下手な高層ビルより高く、険しい岩壁のようにガッシリした体、人型ではあるものの、頭部にある角、鋭利な牙が、人を寄せ付けない風貌をしている。

「お前が、今回の生け贄か?」

「はい。そうです。」

「えらく、あっさりとしているな。」

「まぁ、人はいつかあっさりと死ぬので。ここで、喚いたり、泣きじゃくる理由も見当たらないので。」

「そうか.....まぁ、お前は、この世界の人間では無いからな。それでも変わった奴だな。」

「わかるんですね。齢18ですが、これからの人生悔いはないので、どうせなら何かの役に立って死にたいかなって。」

「お前は英雄になりたいのか?」

「いえ。英雄になれる程の力も、精神もないですし、崇拝もされたくありません。もしそうならあなたを攻撃して自滅してるでしょうし。」

「ふむ。おまえ、面白いな。いつもならここで、会話をすることもなく、生け贄は勝手に消えるからな。」

「その言い方だと、生け贄は、そもそもいらないみたいですね。」

「まぁ、この村がそう決めつけてるだけだからな。」

「では、俺の役目無いですね。これからどうしましょう?」

「どうして我に聞く?」

「ごめんなさい。つい、反射で。」

「ふむ。そうだな。お前、実験に付き合え。」

「分かりました。で、何をすれば?」

「簡単だ。これを飲め。」

そう言って目の前にグラスが現れ、何処からか液体が注がれた。それは、様々な色がごちゃ混ぜになったえげつない色だったものが、次第にコーラの色になってきた。それも炭酸でだ。これなら飲める。

「じゃぁ、いただきます。」

そう言って俺は、その液体を飲んだ。それはまさしくコーラで、俺の好きな飲み物だ。もう飲むことは出来ないと諦めていたので、嬉しさの余り一気に飲んでしまった。

「お、お前。あれをイッキ飲みした?」

「そうですけど。」

「何とも無いのか?」

「寧ろ美味しかったです。」

そう言うと、相手は、目を輝かせ。

「そしたらわれを、お前の体に入れてくれ。」

「いいですけど。その前に、名前を教えて下さい。」

「あ、あぁ。そうだな。我はデュランダ。お前は、」

「ユウタ。」

「そうか。では、早速。」

そう言うや否や。その鋭い爪が俺に突き刺さる。

事はなく、寧ろ俺に吸い込まれてくる。それが、腕、肩と吸い込まれ、遂には、全部無くなった。

あれだけの容量がおれの体に入ったのに何も感じないのだ。暫くするとデュランダが出てきた。

その目は、喜びと狂気の混じった眼だった。

「ふっ、はは..はははははは!!」

「どうしたの?」

「遂に見つけた。我の半身。」


そして、現在に至る。デュランダは、大切なものを扱うかにように優しく触れる。

そして

「なぁ。家族になろう。」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ