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得たもの

目が覚めると、俺は真っ白な空間にいた。状況から察するにこれは、夢の中であると、出来ればあのネット小説でよく取り上げられているあのテーマで。

「急にお呼び立てして申し訳ありません。ユウタさん。突然ですが、あなたは異世界へ行くことになりました。」

「そうですか。」

ぶっちゃけ、俺は両親が居なくなった今、ここにいる理由も正直ないし、若干の妄想じみた予想が当たり動揺する理由もなかった。

「あなたは、本当に動揺しないのですね。普通なら興奮するなり、拒否したりするのですが、」

「そういうものなんですか?」

「そういうものです。まぁ取りあえず、ここまでは定型文だから言わせてください。たまたま選ばれたあなたに何かを授けましょう。」

「でしたら。俺に料理の技術と知識をください。」

「えっ......そんなものでいいのですか?」

「はい。両親が教えてくれなかった唯一のことなので。」

俺は、正直チートを欲してまで得たいものもないし、なにしろそこまで生きたいと思わん。言ったことに嘘はねぇけどな。両親がいない俺にとってこれからの人生は、別にどうでもいいのだ。まぁなるべく苦痛なく死にたいという希望はあるが。

「そうなのですか。では、欲の無いあなたにサービス。もう一個だけ授けます。」

「そんなんでいいんですか?」

「いいんです。ですからどうぞ。」

「そうだなぁ。それ以外、考えたことないんだよな。んじゃ、いく世界のすべての言語の翻訳を勿論、筆記も出来るように。」

「それは向こうへ行く特権で自動的にもらいます。」

「そうなんですか。では、要りません。」

「そ....それではダメなのです。何かを、何かを欲してください。」

この女神、胡散臭い。そもそも神がこんなんでいいのか。まぁ、神とは所詮人間が造り上げた偶像に過ぎない。そして俺は、自称女神を改めて見た。幼い、実に幼い。この造形は一部の人間にひどく歓喜を呼び起こしそうだ。純白のローブに純白の羽。この子を芸能界でデビューさせれば、大人気間違いなしだ。

「何か、ないのですか?」

うるうるした目で、俺を見て言った。俺からしてみれば、こんなの計算付くの表情にしか見えない。俺は、恋と言うものに興味も憧れもない、むしろ嫌悪に近い感情を持っている。俺の中でこいつに対する印象はだだ下がりだ。そんな目で俺を見るな。でもこのままだと変な物を押し付けられそうだ。そうだ。これならいけるそして最悪なこの夢ともおさらばだ。

「ところで、僕はいつ召喚されるのですか?」

「ええと、来年度の始まり。つまり四月一日ですね。」

「そうですか。召喚日時についてを俺に授けてくれてありがとうございます。」

「っあ!。」

少々強引だったが、女神を納得させたようだ。その時、俺は、光に包まれた。

「それでは、女神様、時間が来たようなので、失礼します。もう二度と会うことは無いでしょう。さようなら。」

俺は、あえて最後の方を強調して言った。そうするべきだと直感が冴えた。

「なんでアンタは、私の言うことが聞けないの?」

おや、素がでたようだ。そんなんだと、いつかざまぁされますよ。

「なにいってるんですか?僕は、本当に欲しいもの無いんですよ。それを痛くもない腹を探られて、怒りたいのはこっちの方ですよ。それにそんなに赤の他人に感情をすぐに露にしたら本当に誰かに殺されますよ。エセ女神様あなたの声は聞きたくありません。」

「えっ......エセ女神ですって~あんたは、.....」

女の台詞が言い終わらない内に意識が無くなった。



朝になって、目が覚めた。全くの胸糞悪い正夢だぜ。昨日までなかった料理の技術と知識が頭の中に有るんだ。それで早速思ったこと。

両親が作ってくれた料理を再現しよう。

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