表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

愛された私

作者: 心友

あの人が好きです。

今は居ないあの人がまだ好きです・・・

三年前

私は、25歳の誕生日なのに一人淋しく部屋の窓から夜景を見ていた。

一方的に別れようと彼に言われて三日間落ち込んでいたから窓から見る夜景がすごくつまらなく私の瞳には映って見えた。

携帯が鳴り友達からの着信だと気付いた。

淋しく孤独だった私は、気持ちを聞いて欲しくて電話にでた。

「もしもし」

誰が聞いても落ち込んでいると解る声で電話にでると明るい声で合コンの誘いだった。

私は、気が晴れると思い、半分やけになって合コンへ向かった。

居酒屋での男三人女三人の合コンで盛り上がらない私はカクテルばかり飲み続け五杯目を注文した時

「大丈夫?」彼が私に聞いてきた。

私は、愛想悪く

「大丈夫」と答えまたカクテルを飲み始めた。

二次会のカラオケに行くのを断り私は駅へと歩いていた。

そこに、彼が走って私を追って来た。

大丈夫?と聞いてきた彼が私の前に立ち

「送るよ」

私はまた愛想悪く

「一人で帰る」

嫌な女と思われてるだろうなと思い歩き始めた。

「今度貴女が笑った日に僕と飲み直ししませんか?」

彼が突然また私の前に立ち真面目な顔で言ってきた。

少しビックリしたけど笑った。

それからは、彼と何度か会った。

彼の趣味は、バイクで色んな処に連れて行ってくれた。

彼と居ると彼の事がどんどん好きになる。

私は、彼に夢中なった。

でも、彼は遊び人だった。

女好きで私以外の女とも遊んでいた。

それでも私は、彼の事が好きだから何も知らないふりして彼に優しくした。

彼の嫌な噂は、いっぱい聞いた。

一番じゃなくても

遊びでも

愛されて無くとも

彼が私に会いたい時に会えるだけで幸せだった。

あの日、携帯が鳴った。

病院からで彼がバイク事故で重症だと言われた。私は、頭の中が真っ白になり何も考えられなくなりその場に泣き崩れた。

病院に着いた私は、彼の居る病室に震えながら入った。

傷だらけの彼は、意識が戻らないまま寝ていた。

それを見て私は、泣き崩れた。

「起きて」

彼の手を握り

「お願いだから、起きて」・・・

涙だが止まらない

体の震えが止まらない・・・

「来てたのか」

彼の意識が戻った。

「大丈夫?」

私は、辛そうな彼に聞いた。

「指輪あげる」

聞き取りにくい小さな声で彼は、自分が使っていた指輪を取り私に渡した。

彼は、ゆっくり目を閉じ二度と起きる事は無かった。


私は、28歳の誕生日一人部屋の窓から夜景を見ている。

数少ない彼の写真を机に並べて彼からもらった私の名前入りの指輪を握りしめて、とても明るい夜景が私の瞳に映っていた。


彼が好きです。今は居ない彼がまだ好きです。

彼も私を愛していました。

私は・・・


彼に一度も抱かれた事が無かった。


彼にとって私は大切な人だったと今でも信じています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ