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説明


「じゃあ、身体の調子も良さそうだから、早速この世界について教えてくれ。俺は何も知らんのだ」


 すっかり外は暗くなり、部屋は月明かりと蝋燭の火だけが明かりを灯す。


「……なにも知らない?」


「そうだ。記憶喪失だと思ってくれていい。まずこの国、この街、通貨、ギルド、魔物、魔法、言い出したらキリがない。情報収集するにも如何せん字が読めんし、誰かにも聞けない。そこで頼りはお前だ。奴隷は俺にとって好都合だった訳だ。そのためにお前を買った。だから、お前は俺に変に気を使わなくていいが、俺の奴隷である以上最大限利用させてもらう。しかし、一つだけ守って欲しい事がある。外部に絶対に漏らさないと誓ってくれ」


「記憶喪失…ですか。お教えするのも私が知っている範囲でお答えしますし、何故秘密にするのかはわかりませんが、利用して頂くのも構いません。しかし、ご主人様の奴隷の身である私は気を使わなくていいというのは無理な相談ですし、私自身そうしたくありません」


「そこはまあ好きなようにしてくれて良い。悪いが、お前に居なくなられては困るから今は首輪は外せないからな」


 フィオナは少し考える素振りを見せる。

「……逃げるつもりなど毛頭無いのですが」

 小さな声でそう言い、咳払いを一度し話を続ける。


「それでは、早速お話させて頂きます。まずこの国はブルート王国といいます。これは代々ブルート家がこの国の王として君臨されているからです。そしてこの辺の町村全てがヘールリッシュ様が領主をやってるのでそのままヘールリッシュ区と呼びます」

 あの立派な身体をした傲慢の言葉が似合う男か。


「確かヘールリッシュって奴隷市場の名前もそうだったよな?」


「そうです。あの奴隷市場はヘールリッシュ様が経営なされてます。それで莫大な利益を上げているそうです」


「王様は奴隷には賛成意見なのか?」

 奴隷制度をやめろ、とは言わないがあの現状を知っているのか?


「どうなんでしょうか。王都では奴隷を売っていないと聞いたことはあります」

暗黙の了解と言ったところか。


「そうか。続けてくれ」


「はい。通貨は白金貨、金貨、銀貨、銅貨に別れます。白金貨が一番価値があり、逆に銅貨が一番価値がありません。それぞれ10枚毎に通貨が変わります。そしてギルドですが、残念ながら私はギルドに行ったことがありません。なので詳しくは知らないのですが、魔物を狩ったりして収入を得る所と聞いております」


「次にその魔物は、人間の敵と皆言います。食用として、家畜として親しまれている部分も確かにありますが、逆に当然食用として実用化はなく人間を襲う厄介者でしかない魔物も無数に存在します。中には人間程の知能がある魔物もいます。この辺りですと、ゴブリンやホワイトウルフが生息しているようです」


「例えばこの魔物は狩ってはいけないなんてのはあるのか?」

 保護しなければならない魔物を狩ってしまって牢獄行きなんて勘弁だ。


「いえ、私は聞いたことがありませんね。ですが、食用の魔物を狩りすぎると注意を受けるらしいです」

 あの魔法の実験にしたホワイトウルフ達を思い出す。俺はセーフ… だよな?


「最後に魔法は火・水・風・地・光の属性、他に身体強化があります。ご主人様は転移魔法?なる物を使っていましたし魔法については知っているのでは?」

 光? 回復魔法の事か? 地の属性なんてあったのか。逆に雷がないようだ。今度試してみよう。


「なんとなく覚えているくらいだ。使える人間と使えない人間に別れたりするのか?」


「はい。生まれつき魔法適性なるものが人それぞれ備わっているそうです。なので、全く魔法適性から外れている方は一切使えません」


「そうか。ちなみに、魔法が使える奴らは皆全属性を使えるのか?」


「使えます。ですが苦手魔法が大体の人にはあり、苦手魔法を使うと魔力の減りが他と比べ多くなります」

 魔法を使ってて魔力の減りが多いとかは感じたことはないな。俺にはないのだろうか。大体と言っているしない人もいるんだろう。


「さらっとお話しましたが、他に何かあれば」


「今はそれくらいだな。その時々に教えてくれ。しかし、詳しいな」


「小さい頃はよく勉強してましたから……。 それで私にもご主人様に質問させて頂いても良いですか?」


「答えられる事は答えよう」


「では、まずお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」


「そういえば自己紹介がまだだったな。誠という」


「マコト……様?」

 怪訝な顔。なんだ俺の名前に文句があるのか。俺の顔を見るなり慌てるフィオナ。


「し、失礼しました。珍しいお名前だったのでつい」

 この世界は横文字な名前ばかりだから仕方ないか。


「いや、別に怒ってはいない。変か?」


「いえ、そんな事はありません。マコト様……、ふふっ」

 何故嬉しそうに笑う。


「えっと、マコト様と御呼びしても?」


「ああ。なんでも構わん。他に質問はあるか?」


「では、マコト様転移魔法というのはどうなっているのですか?」


「簡単に言えば魔力で無理矢理点と点を繋げてる。体感した方が早いか」

 魔力を放出し、空間をこじ開ける。フィオナはそれを興味深そうに見て回る。


「すごい……。向こう側が見えますね。何処かの森の中?」

 今更だがこの風景が見える感じは神に出会ってこの世界に来るときと少し似てるな。


「そうだ。転移側が想像出来ないから俺が行ったことある場所しか行けない事が欠点だ」


「そんなのはちっぽけな欠点です。それほどこの魔法は凄いですよ……。入ってみても良いですか?」


「良いぞ」

 フィオナは空間に入っていく。それに俺も同行する。


「この森は何処ですか?」


「この街からだいぶ離れた所だ」

 村の近くの最初に見つけた森。


「マコト様は何処から来たのですか?」


「この近くだ。気付いたらそこで寝ていた」


「そうなんですか……。これだけの事が出来るマコト様に何があったんでしょう」

 間違ってはいないよな。うん。


「さあな。まあどうでもいいさ」


「マコト様は記憶が戻らなくても良いのですか?」


「ああ。もしかしたらふとした瞬間に思い出すかもしれんし、前の俺が生きていく上で避けられなかった嫌な記憶もあるだろうしな。だから、新しく生まれ変わった俺はそれを全て脱ぎ捨てて自由に生きる事にした」


「そうですか……。マコト様がそう言うのであれば……」

 当人の俺より暗い顔をして悩んでどうする。


「お前も俺の記憶については気にしなくていい」

 そう言い、頭を撫でるとフィオナは目を細める。


「……はい」


 その後、部屋に戻りフィオナにベッドで寝る事を促すが断固拒否。おい、首輪の事忘れてないか? 首がしまって気絶とかは勘弁してくれよ。

 仕方ないので俺はベッドで、フィオナは女店主に言って持ってきてもらった布団を床に敷き寝ることになった。


 明日の予定はまず資金集めが最優先だな。

 フィオナに御飯をあげてしまったため腹が減った。女店主から手に入れた銅貨五枚でどれくらい食べれるんだろう。


「明日、朝ギルドに登録しに行くからな。フィオナが」


「……えっ?」

 物音一つしない部屋にフィオナの驚きの声が響く。


「じゃあ、おやすみ」

 何かフィオナが言っていたがそれを無視して、これ以上腹が減る前にさっさと寝る事にした。




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