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日常②

 

 武器屋の着き、中へ入る。

 壁には様々な形や長さ、色の武器が壁に立て掛けられている。漫画やアニメでしか見たことない物ばかりで興味をそそる。俺には到底扱えないだろうが、やはり武器にはロマンが詰まっている。

 店の奥にはカウンターがあり、そこにある扉の向こう側から金属を叩くような音が建物中に響いている。何か作っているのだろうか。

 これだけ大きな音が響いていたら俺達には気付くはずもないな、邪魔しちゃ悪いし武器を見て時間を潰していよう、と思い順に立て掛けられている武器を見て回る。

 弓、サーベル、槍、斧、長剣、大剣。俺自身あまり詳しくないため、これぐらいしか知らない。


「フィオナ、これ何て書いてある?」

 各々の武器には何か書いてある紙が掲げてある。適当な紙を指差し聞く。


「白金貨一枚、と書いてあります」

 高すぎるぞおい。買うとなったら途方ないな。


「マジかよ……。短剣はいくらくらいか知ってるか?」


「買った事がないのでわかりません。素材にもよるでしょうが、短剣ならばここまで高くはないと思います。持ち歩いている人の方が多いですから」

 特にギルド登録してる人らにしたら必需品ではあるかもな。俺みたいにいちいち魔法で解体しないだろう。


 そんな会話をしていると、金属を叩くような音が鳴り止む。カウンターにある扉が開くと、頭にタオルを巻いており身長が高い、タンクトップ一枚姿の汗だくの男が立っていた。身体中から湯気を放出している。俺の太ももくらいあるんじゃないかと思うほどの二の腕。殴られたら一発KOするだろう。

 その男は俺達の存在に気付き近付いてくる。


「悪い悪い、気付かんかった。何か欲しいのがあるのか?」

 顔に似合わない軽いノリで話してくる男。近くに寄ると一際体格の差を見せつけられ、威圧感がある。


「えっと、短剣が欲しいんですけどいくらになります?」


「短剣か。うちに置いてあるので一番安いのは金貨一枚だ」

 やっぱりそれくらいするか。


「今は買えないんですが、すぐお金作ってくるのでとっといて貰うことって出来ます?」


「ああ。そりゃ構わんが、そんな簡単に作れるのか?」


「はい。多分今日中には来れると思いますんで。よろしくお願いします」


「はいよ」


 俺達は武器屋を出て、ギルドへ向かう。ゴブリン退治なら今銀貨三枚持ってるから約二十四体分か。余裕だな。

 ギルドに着くとフィオナに良い依頼がないか、見に行ってもらい俺は外で待機する。昨日に引き続きゴブリン退治があれば良いのだが。


 ふと道の先に目を向けると、朝同様、馬に跨がっている鎧を纏った人らがこちらに向かって歩いて来るのが見えた。

 地球の頃、警察官が近くに居る時、別に悪いことをしてる訳でもないのに無駄に緊張してたことがあったのを思い出す。今そんな感じの心境になったため、ニート宣言をしてしまい気まずくなったギルドの中に入り身を潜める。


「何をしてるんですか?」

 背後から声が聞こえ、少しだけ驚く。振り向くとフィオナが立っていた。


「フィオナか。あれ、何かわかるか?」

 鎧の人らを指差しフィオナに問う。


「あの方達はヘールリッシュ様の私兵ですね。何故こんな所にいるんでしょうか?」

 フィオナの言葉を聞く限り俺が予想していた巡回って訳ではないらしい。


「それでマコト様は何故隠れてるんですか?」

 俺の様子を見てとったフィオナが聞いてくる。


「目を合わしちゃいけない気がした」

 フィオナは俺の言葉に首を傾げる。

 事情聴取等されてみろ。ボロが出てしまう自信しかないぞ。記憶がないんです、なんて言ったら何処に連れてかれるかわかったもんじゃない。まあ、確実に今の状況を見られた方がまずいけどな。

 無事やり過ごし、溜め息をつく。


「何か悪いことでもしたんですか?」


「いや、そういう訳じゃない。それで、良さそうな依頼はあったか?」

 話を反らして本題に入る。フィオナは少しだけ不満そうな顔をしながら話す。


「はい。昨日と同じゴブリン退治を見つけました。報酬も同じです」


「あったか。じゃあそれやろう」

 フィオナは受付へ向かう。パパッと二十四体倒して短剣買うか。


 その後、昨日と同じく街を出てゴブリンを探し、フィオナと交互にゴブリンを倒す。日が落ちる頃には三十体分の耳をギルドに持ち帰る事が出来た。今後を考えて余分に六体狩っておいた。倒す時間より探す時間の方が長いのはどうにかならないものか。

 フィオナに報酬を受け取ってもらい、銀貨九枚を手に入れる。その金を持って武器屋に行く途中、フィオナがまたもや受付嬢に驚かれたと話す。いつかフィオナがゴブリン狩りの悪魔として有名人になる可能性があるな。

 

「すみません、朝来た者なんですけど」

 スキンヘッドの武器屋店主が店の中にいたので話し掛ける。


「ん?おお、兄ちゃんか。金貨一枚手に入ったのか?」


「はい」

 袋から銀貨十枚を取り出して見せる。それを確認した店主は今持ってきてやる、と言い残し裏へ入っていく。


「短剣はフィオナが持ってていいぞ」


「良いんですか?」


「ああ。護身になるしな」


「ありがうございます」


 店主が奥から戻ってくる。


「ほれ。これだ」

 鞘に入った短剣。刃渡り二十センチといったところか。銀貨十枚と交換するように渡し合う。


「丁寧には作ってあるが、素材は安物だからな。刃こぼれしたり、切れ味が悪くなったらまた来な。直してやる」


「ありがうございます。また機会があれば寄らせて頂きますね」


「おうよ。よろしくな」

 フィオナに短剣を渡し、武器屋を後にする。

 外見に似合わず良い人だったな。次行くときはしっかり金を稼いだ後に行って剣を買おう。

 途中寄り道をして串焼きを買い、フィオナと頬張りながら宿へ戻ると、女店主が何やら深刻そうな顔をしていた。


「どうかしたんですか?」


「どうかしたも何も……! あんた……!」

 途中で言葉を中断し、フィオナを一瞥する。フィオナに気を使ってるのだろう。何か俺に関わることで問題があったらしい。迷惑かけるような事をやった覚えは一切ないが、ここは話を聞くべきだろう。


「フィオナ、先に部屋に戻っててくれ」


「しかし……」

 フィオナも気になるんだろうか、食い付いてくる。


「命令だ」


「……はい」

 肩を落とし、階段を上っていく。扉の開閉音を確認した後、話を戻す。


「で、何があったんです?」


「あんた……この街で指名手配になってるんだよ……!」


「……は?」


 ……指名手配? 一体どういう事だ?




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