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少年Aの異世界漂流  作者: 樹実源峰
第一章 第二部 冒険者ヤンシング編
7/47

第七話 少年Aの冒険者デビュー(前日)

ということで、今日も更新更新。

今回の注意。瞬殺一丁上がり。

 アンジェラを従者に任命して、彼女からお金やらなんやらを受け取ろうとしたときに彼女は言った。


「あれ?そういえば、シンヤ様はギルドカードを持っていませんでしたよね?」

「ん?あぁ、そうだな」

「実はお金って普通ギルドカードに入れるものなんです」

「・・・入るのか?」

「まあ、だったらギルドカードを受け取った時にすべて渡します。・・・あ、ちゃんとそのあとで私に給料くださいよ、従者だってタダじゃないんですから」

「違うのかよ」


 と、そんな一幕もあり今、全財産は彼女が握っているまま俺は冒険者ギルドへとやって来た。ニコニコと何やら楽しそうな笑顔を浮かべ男女の注目をあつめる彼女の隣で、俺は注目されてるせいでどんよりしていた。俺は目立ちたくない。勇者とかそう言う役目は他のやつに投げて俺は少年Aでもやっていたい。やっぱり、目立つのは嫌いだ。


 そんな感じで不機嫌になりながら冒険者ギルドと書かれたなんかRPGでよくありそうな酒場っぽい場所に入ると、その瞬間静かになり再び注目された。・・・不機嫌メーターが上がった。


 で、外見は酒場みたいな様相だったが、中身は・・・そのまま酒場だった。全身ムキムキの大男が大ジョッキに入った発泡酒をゴクリゴクリとやり、なんか怪しい男が新入者っぽい少年相手にもみスリしながら高そうな壺を持っている。奥にはたくさんの女を侍らしたやつもいたし、喧嘩してるやつもいた。・・・俺はうるさいのも嫌いだった。


 チッ、と舌打ちして奥のカウンターに進む。途中何人かが足をひっかけにきたが、その度にアンジェラが転びそうになるので、足を潰しながら行く。踏み出した足の圧力が何倍にもなり足をかけた男たちは哀れ、脛がくの字に。・・・すこしだけスッキリした。


 ようやく、カウンターに着くと愛想の悪そうな女がタバコをすいながら尋ねてくる。


「何の用?」

「冒険者の登録をしにきた」

「そう。この紙に書ける事はかいて。別に全部書かなくてもいいけど名前だけは書いといて」


 そう言って差し出された字が俺には読めずチラとアンジェラを見ると


「は〜い、分かりました。シンヤ様」


 と、言ってペンを取った。


「あぁ、頼んだ。『ヤンシング』って書いてくれ」

「ふぇ?でも・・・」

「あとで説明してやる」

「は〜い・・・」


 そう言ってササッと書くアンジェラを見て、俺は早急に文字を覚える事の重要性を認識した。そもそも、字も読めなければ本も読めない。


「終わりました」

「そうか・・・。で、他に必要な事はあるか?」


 そう言って女の方をみると気怠げな表情を浮かべて


「あとは、冒険者としての準備じゃない?まあ、死に急ぎたいならしなくても良いと思うけど」

「そうか、じゃあ明日取りにくる」

「朝から来ても意味ないから昼以降が良いんじゃない?」

「分かった。行くぞ、アンジェラ」

「はい!」


 元気よく返事をしたアンジェラに顔をしかめつつギルドを出ようとすると巨漢がドアの前に立っていた。全身が肉の鎧という風に筋肉でムキムキな男はあたまつるっぱげでハゲマッチョと名付けるか。


「おい、邪魔だハゲデブ」


 訂正する。やはりハゲデブの方が短くていい。ただ、今はまだイライラしているので正直怒りはピークだ。


「お?今度の新人は活きがいいな!」

「げっへっへ、兄貴に喧嘩をうるなんざ百億万光年はええぜ!自殺願望者め!」


 その男の取り巻きらしい二人の発言に更に怒りは募る。・・・(物理的に)潰すか?


「死ね、くそガキ!!」


 そして男は腰をひねりつつ、素人目からもかなり威力出ているパンチを放つ。それをマトモにくらえば読書が趣味の俺は軽く吹き飛んでしまうだろうが、俺はまったく怖くなかった。

 そして、相手のパンチが届く寸前に、パチンと指を鳴らす。すると、男の動きがピタリ、と止まった。


「・・・な、なに!?う、うごかない!?」


 男が慌ててるようだが、俺は全く気にしない。ゆっくりと背中にかけてあった鞘にから剣を抜き、振るう。「ひぃっ!」と男が目をつむる中、俺は寸止め・・・なんて高等技術は会得していなかったので少し切ってしまった。・・・まあ、薄皮程度だ。


「解除」


 俺がそう言うと男がどさりと地面に崩れ落ち、アンモニア臭が漂う。


「ったく、臭いな。・・・どっちが自殺願望者だよ」


 顔面が蒼白になってしまったままの男をフン、と鼻で笑って俺はギルドをあとにした。


####


「あの、シンヤ様?」

「なんだ?」

「・・・先程のは一体?」

「フン、教える必要は無いだろ」


 まぁ、軽く種明かしするなら昨日新たな発現してた特殊能力スキルがあり、それを使ってみただけだ。新たに発現した、といっても多分これは派生スキルというやつだろう。まあ、この世界にそのような特殊能力スキルがあるのかは知らんが。

 で、その特殊能力スキルだが、名前は『スロット』という。俺の特殊能力は相手を指定したり曲げる理を選ぶ必要があるので、即断即決しないと発動できないが、このスロット機能は、簡単にいうとショートカットキーだ。このスロットに特定の特殊能力スキルの発動条件とその結果を記録できる。今は一つあって、それには『指を鳴らすと、目で見ている目標の首から下を摩擦無限大の空間にする』というもの。

 ようするに、パチンとやるだけで相手は行動不能になる。

 なぜ、首から下かと言うと、首から上も封じてしまうと息もできなくなるためだ。殺したら困る相手はこれで捕縛すればいいし、殺していいやつもこれで捕縛した上で頭をつぶしたり、もしくは新たに能力を発動させ地面と合体・・・というか染み化させればいいだけである。とても便利だ。

 ・・・ただし、俺が心配なのは、この世界にもし瞬間移動なるものがあるとすれば脱出できるかもしれないのだ。一度体を分解し、再構成するのなら、その分子の移動を摩擦で止められるが、瞬時にいなくなり現れるのならお手上げだ。そんな相手に会わない事を祈る。


「じゃあ、名前の方だけでも」

「あ?あー、そうだな、あれは俺の名前が目立ってほしくないからだ」

「え?なんでです?」

「考えても見ろ。記憶喪失だぞ?そんなやつに俺は昔お前の友人だったんだとか言って敵とか現れたら分からんだろ」

「あぁ、そうですね」


 そう言ってアンジェラは納得したが、実のところこれが本当な理由でもない。というか、記憶喪失でもないしな。

 本当の理由はそう、目立ちたくない。というのも、あるし万が一本名でそれが王城にまで届くと、俺まで呼び寄せられるかもしれない。・・・誰ともしらんやつの為にはたらくのも俺は嫌いだ。


「さて、道具でもそろえに行くか」

「はい!」


 元気よくうなずいた彼女の胸が揺れたくさんの人の目を奪う。そのとなりで俺はやはりストレスを募らせた。


####


「それでは、只今より勇者方の特殊能力スキル開封の儀をおこないますじゃ!」


 そう老婆が宣言し、水晶の玉を覗き込む。


「にゃむねーらにゃんにゃーらくりゃーりゃぺらん」


 そこはかとなく不安な気持ちになったのか静音が私の服の袖を握ってくる。・・・たしかに不安になる。

 今、私たち勇者四人が受けているのは特殊能力スキル開封の儀。文字通り、私たちの特殊能力スキルを発現させる為の儀式だそうだ。

 通常、この世界では赤ん坊のときにやっておくらしいが私たちは異世界から来たのでやっていない。何故こんなに時間がかかったのかと言うとどうやら異世界人の私たちは、使う触媒が強力なのではないとダメらしい。・・・なんで知ってるかはやはり、勇者召還を前にもやっているからだろう。


 さて、最初に桐原君が呼ばれる。彼は緊張の面持ちで老婆の前にいく。そして老婆はまたうにゃうにゃいいながら水晶を覗き込むと『おお!』と声を上げた。


ぬしの能力は『操者ルーラー』じゃ。自分より格下の相手を従える事もできる力じゃ。かつて英雄シュルドの持っていた能力で、ランクは神業級ゴッズ


 それを聞いた私は正直呆れた。神からは最低でも神業級とは言われていたが本当にそうなるとは。しかも、昔の英雄の特殊能力スキルで内容もチートっぽいわ・・・。


 そして次に静音。老婆は一連の動作のあとまた『おお』と言って、


「主の特殊能力スキルは『神恵マーシー』じゃ。傷ついている者を癒せる能力で、場合によっては攻撃力を上げたり防御力を上げたりもできる、かつての英雄シルの能力じゃ!ランクは神業級ゴッズ


 また英雄!?チート出過ぎよ!?というか、全員が英雄の能力を持ってる気がした。

 次には天ヶ崎君が呼ばれた。・・・あれ、私じゃないの?


「ほほう!!これはこれは!!主の能力は『戦王(ウォ—ロード)』!持つ武器の能力を伝説の武器と同じレベルにまで強化でき、かつすべての武器を最高のレベルで扱える能力じゃ!!夢幻級ファンタジー!!!」


 そのとき、いままで黙っていた大臣側から『おお・・・』という感嘆が聞こえた。・・・最高レベル出たよ・・・。というか、チート過ぎるじゃない。何よ、武器の最高レベルの強化でかつ扱う腕も一流とか・・・なんていう化物よ?

 そして、ついに私が呼ばれた。


「ククク・・・主はこの中で一番過ごそうじゃったから最後に回したのじゃ。いやはやたのし・・・・カハッ・・・」


 水晶を覗き込んだ老婆は吐血した。・・・どういうことよ?


「し、師匠!?」


 そのとき老婆の後ろにいた女がそう言って老婆の体を起こす。・・・弟子なのか。

 そして、老婆はぷるぷると・・・まるで今際の・・・


「フ・・・ハ・・・ハ・・・、十二歳のころから・・・・この役目を担って来たがよもや・・・こんなものを見れるとは・・・な・・・

 主の能力は『全知オーナー』、能力はすべてのスキル魔法と習得魔法を使える・・・のじゃ・・・、ランクは唯一級オリジン。さ、最後にこんなすばらしい能力を見れて・・・我が生涯に・・・一片の悔い・・・なし・・・・・・・・・ガクリ」


「「「「し、師匠!!!!!!!!!!!」」」」


 後ろに控えてた他の占い師っぽい服を来た人たちも来て老婆を囲み泣く。あとに残された私は呆然といていた。


 ・・・というか唯一級オリジンって何よ?夢幻級ファンタジーまでじゃなかったの?

 そして、スキル魔法と習得魔法ってなによ?

 ・・というか、私これ、天ヶ崎君以上の化物になったんじゃないの?


 その日、最高の特殊能力スキル鑑定士、バババアが死んだとの一報が世界中に轟いたと言う。

 はい、こんにちは、作者です。今回は一般の冒険者に対する慎也君の強さでも、と思いましたがあれですね、スキルで瞬殺。まったくもって参考にならねえ!と。まあ、今暫く主人公無双やるのでお楽しみに〜。そのうちきっと苦戦させてくれる敵が出てくるよ、きっと。たぶん。おそらく。ネイビー。じゃなくてメイビー。


あ、ちなみにスキル魔法と習得魔法の違いですが、軽く説明するとスキルで使えるようになる魔法と学ぶと習得できる魔法です。やっぱりスキル魔法の方が凄い威力でますし、そもそもスキル魔法持ちは習得魔法全部つかえるようなもんなんで凄いですね!


 次回予告!慎也君はなぜかいきなり中級者向けのサラマンダーと戦うハメに。え?RPGでお馴染みのゴブリン&スライムは?でないの!?

 さて、次回『少年Aのはじめてのくえすと』(予定)そのうち更新!

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