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少年Aの異世界漂流  作者: 樹実源峰
第一章 第一部 少年Aと異世界漂流
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第四話 シスターの秘密

 雨川慎也。現在17歳。異世界のとある村にて、現在シスターアンジェラの護衛兼狩人として生計を立てている少年Aだ。村人Aと言い換えても良い位にはこの村に馴染んで来た・・・と思う。


 シスターのアンジェラを筆頭に世話焼きで、ゴツい体の鍛冶屋をやってるとっつぁん、同じ狩人で2歳年上の狩人先輩のクレン、小物売りの美人レイノールさんなどの優しい人々のお陰でこの村に馴染んでいると思う。

 ・・・やがて、ここから去るのだと考えると流石の俺も寂しさを感じてしまう位にはこの村には思い入れがあった。

 そんな日々を過ごして一週間経つある日のこと、俺はクレンと一緒に結構強いモンスターを狩ったので仕事もいつもより早く終わる流れとなり、家に帰ったときに事件は起きた。


「帰ったぞ、アンジェラ」

「え・・・?」


 ノックをしなくてもいいですよ、ここを自分の家だと思ってくださいという彼女の言葉に甘えて、ノックをしないままに部屋に入ったことを俺は悔やんだ。

 ・・・いや、正確にはあとで気付いて後悔したと言うべきか。

 なぜなら、この時、目の前にはヴィーナスがいてそれどころではなかったのだから。

 つまるところ、裸のアンジェラがいた。

「きゃあああああああ!!!」


 ようやく事態に気付いたアンジェラが胸元を手で隠しうずくまった。涙目で抗議するような目を受けて俺はようやく正気に戻った。・・・流石に美少女の裸というものは見たことが無かったので態勢が無かったようだ。


「・・・お前、アンジェラ」

「うぅ・・・、シンヤさんにバレてしまいました・・・」

「痴女だったのか・・・シスターなのに」

「ええ、私はち・・・って、違います!!私は痴女じゃありません!!」


 おっと、かける言葉を間違えた。・・・どうやらまだ混乱しているらしい。

 その時になって、ようやく俺は回れ右をして、今度こそ正解の選択肢を選んだ。


「・・・その、なんだ。見えてなかったぞ?」

「嘘です!!」

「・・・」


 即答で嘘と言われ、何も言い返せなかったが、その時に背中に柔らかいものが二つ押し付けられるような感覚が・・・。


「・・・何してるんだ、お前?」

「あの、シンヤさん」

「俺は何も見てなかったぞ」


 俺は飽くまで・・・・違う全然見てなかったと主張しようとしたが、そのあとに彼女が発した言葉に驚いた。


「わ、私はどうなってもいいから村の人は・・・!村の人には手を出さないでください!!」

「はあ?何を言ってるんだ、お前は?」

「だ、だって私森妖種エルフですから匿った村の人も皆殺しに・・・」


 そこまで聞いた時にようやく俺は得心がいった。それは、彼女が言ったエルフという発言から、やはりこの世界は人間じゃない種族が迫害される世界ということを理解したのだ。しかも、どれほどのレベルでかを、だ。

 一週間前にやって来た時にこの世界の情勢についての説明を聞いたところ、他の亜人種と人間種ヒューマンの関係性について語っていた時に若干彼女が悲しそうな表情をしていたことに俺は気付いた。そこから彼女は亜人種、もしくは亜人種を嫌っていない恐らく少数派の人間だということを予想していたがまさかここまで奇麗に的中するとは思わなかった。村の人間はすべて人間種だったのでこっちも人間種の方の可能性が高いと思っていたけれど。

 しかし、この一週間の生活の中で彼女は俺の前では決して修道服を脱がないどころか頭の頭巾すら外そうとしなかったので亜人種という可能性も捨て切れなかったが。

 まあ、予想していたから正直動揺はしていない。


「・・・はあ?なんで俺がそんな面倒くさいことをしなければいけないんだ?」


 だが、亜人種を別に毛嫌ってもない俺はそんなことに価値を見いださない。という旨の返答をしたが彼女は違う意味で取ったようだ。


「な、なんでもしますから!!!」

「ふぅん、なんでも、ね・・・」


 正直、薄い本とかでよく聞く台詞だよなあと思いながら、この言葉を利用することとした。もらえるものはもらっとけの精神である。


「じゃあ、まずは服を来てくれるか?修道服でいい」

「ふぇっ!?」

「俺は後ろを向いておく。終わったら言え」

「は、はいっ」


 正直先程の姿を思い出すと、同時に春香の不機嫌な顔が浮かんでくるので心臓にとても悪かった。ヘソ曲げると長いんだよな、アイツと思いながら暫く待っていると「お、終わりました・・・」と声がかかった。

 振り返るとそこには顔を真っ赤にした、いつもの修道服を来たアンジェラがいた。・・・顔を見た時にヴィーナスと春香が横切ったが顔に出さないようにする。


「じゃあ、俺は寝る。今日は手強い奴を倒したからすこし疲れてる。いつも俺が帰ってくる位の時間に起こしてくれ」

「え?・・・あ、あの・・・?」

「なんだ?まだ、何かあるのか?」

「い、いえ・・・」

「なら、俺は寝る。ああ、さっきの『なんでもする』という言葉を使わせてもらうなら、だ」


 その時、アンジェラはビクリと反応するが、俺は気付かなかったことにする。正直、いろいろあって早く寝てしまいたい気持ちが勝っていたからだ。


「自分の身は安売りするんじゃない。そもそも、お前を護るはずの護衛の俺がお前を傷つけてどうする。少しは自分の身を弁えろ」


 そう言って俺はベッドに向かう。アンジェラが呆然としているのか全く動かないのが見えたがどうでもいい。

 さっさと目蓋を閉じて俺は眠りの世界へ落ちていった。


#####


「・・・さん、シンヤさん、起きてください。時間ですよ」


「ん・・・?もう夜か?」


 欠伸をしつつ伸びをして起き上がった俺が目撃したのは裸エプロン姿のアンジェラだった。寝たはずなのにドッと疲れが湧き出て来て、目元を揉みながら俺はアンジェラに尋ねた。


「おい、何だその格好は?」

「はい?なんですか?」

「その格好だ、その格好」


 そういうとぽっと彼女は頬を染めた。赤らめるくらいならやめてくれと思う。本当に・・・目に毒だ。だいたいエプロンで窮屈に押し付けられた双丘や、下から覗くふとももなどを見せつけられても俺の脳裏に般若を背負った春香くらいしか出てこないのだから何も良いことが無い。


「お、お気に召しませんでしたか?」


その所為か、そのことばにプチンときた。


「・・・おい、アンジェラ。俺はさっき身分を弁えろと言ったよな。何俺の顔色伺いやってんだ、さっさと普段着に着替えろこの護衛対象」

「あぅ・・・、はい・・・」


 目の閉じた俺の耳に衣擦れの音がするがするが無視する。というか何処で着替えているんだコイツは。バカなのか?バカなのだろうな。しかも、「私魅力無いのかな・・・」とか呟いているのも聞こえたが無視する。当然だ。


「お、終わりました・・・」

「そうか。で、エプロンしてたからには飯の準備は終わっているんだろうな」

「え、は、はい!」

「そうか。なら、準備してくれ。腹が減って死にそうだ」

「わ、分かりました!」


 何故か元気になっていくアンジェラに反比例して下がっていく俺のテンション。胃でも痛くなりそうだ。


 キッチンエリアから戻って来たアンジェラが持って来た今宵の夕餉は、パンと野菜スープに、昨日狩った猪のようなモンスターの肉を使った酢豚のようなものだった。こういう地球のっぽい料理は勇者が広めたらしい。

 そして、この話から派生したのだが、俺の予想通り勇者は何度も召還されているのだとか。俺の「勇者は捨て駒」という予想が当たってようで春香の身が心配になる。呼ばれたばかりだからいきなり亜人種の国へと特攻はないだろうが、心配なものは心配だ。

 まあ、それはともかく、なんで俺がこの旨味の無さそうな村に滞在しているかと言うと、この村で培った人間関係ということが原因でもあるのだが、このアンジェラの料理もまた理由の一つなのだった。しかも、これが一番でかい。なんといっても彼女の料理は美味しいのだ。これは食事が趣味な俺にとってとても得点が高い。最初からこういう奴に出会えてよかったと思っている。

 ちなみに、これらの料理はほぼ村のお裾分けによって成り立っている。シスターは大人気らしい。


「今日も旨かった」

「あ、ありがとうございます」


 旨いものには旨いと言う。それが俺の矜持だ。たとえ作ったのが俺をいらだたせる奴でも食事に罪は無い。


「あ、あの、シンヤさん」

「なんだ、アンジェラ?」

「明日村へ一緒に行ってくださいませんか?」

「村になら一人で行けるだろう?」

「・・・森妖種エルフとバレたことを言いに行かないと・・・」

「だったら、俺も同行するしかないか」


 彼女のことを気にしないと言うアピールをするしかない。村人が全員彼女のことを知っていて、俺も知ったのならば、敵と認識されるかもしれない。それだけは断固拒否する。



 そして、翌日、俺とアンジェラは焼き払われた村を見た。

次はいよいよシンヤ君の最強の力が存分に振るわれます。乞うご期待!・・・更新は火曜日の予定です。

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