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少年Aの異世界漂流  作者: 樹実源峰
第一章 第三部 人獣戦争編
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第三十七話 少年Aと人獣戦争3日目4

不定期ッドーン・・・ではないですね、日曜ですし(ギリギリ)


前回のあらすじ:虎にキレる。

 虎を斬ったと思った俺だったが、その感触は得られなかった。そう、虎は避けていた。その結果俺は威力を殺し切れずに別の獣人を一人斬り飛ばすことによってなんとか止まることが出来た。次いで振り向きながら先ほど襲われていた女を見る。・・・やはり春香だった。遠くから見てだったからいまいち確信はなかったがやっぱりそうか。


 そして、すぐに振り向き虎へ向かって地面を蹴って、切り掛かった。


「永劫の闇へと堕ちて死ね、『漆黒の死(ブラック・エンド)』」


 だが、この一撃も躱されてしまう。・・・能力を底上げしてくれるアンを置いて来たのは失敗だったか?だが、だからといって、こいつは許せない。・・・春香に攻撃を仕掛けた罪は重い。


「召還、氷刀アイシア。氷結世界で凍え死ね、『氷結斬撃コキュートス』」


 だが、別に他にも殺り方はある。氷刀アイシアによって辺り一面の地面を凍らせて敵の行動を制限する。氷刀アイシアには、氷面上でのスリップを防ぐ効果も存在するので俺の動きは制限されない。幾ら、人間種ヒューマンよりステータス面で優遇されている獣人種ビーストが相手だとしても、これで性能差はカバーできる筈だ。たとえ、相手が獣人種ビーストの奥の手である完全獣化をしていたとしても。


 完全獣化とは、獣人種が完全に獣の姿になるというものだ。たとえば、ライオンの獣人ならライオンに、虎の獣人なら虎にといった具合に。そして、これによって彼らはステータスが軒並み上昇するという効果がある。攻撃も、素早さも、そして体力さえもだ。正直、この状態になった獣人種ビースト人間種ヒューマンの中でもトップの数人しか戦えない強さなのだとか。


 だから、機動性が素の俺を上回るくらいあっても不思議ではないが、実際に体験してこれはかなりの者だと思った。・・・最も、エルほどではないが。


 とはいえ、虎の方も知能はあったらしく、爪を立てて、人間軍の兵士の用に無様に転ぶような真似はしていなかった。


「チッ、対抗されたか。だが、さっきより動きにくそうだな、虎」

「問おう、何者だ貴様」


 その時、虎が話しかけて来た。・・・普通なら目と耳とついでに頭を疑うようなものだがまあ、この世界はファンタジーとも言える。不思議ではないし、奴は獣人種ビーストだからな。


「あ?・・・ふむ、そうだな」


 名乗るべき名は、いくつかある。一つは本名、雨川慎也。二つ目は『シェーテルの英雄』とも呼ばれる偽名、ヤンシング。三つ目は現在の偽名、ヤンシーク。だが、ここで、四つ目の名前を思い出した。そして、俺はそれを選ぶ。


「では名乗るか、アンタにはこの名前で十分だろう・・・『悪魔』。俺は『悪魔』だ」

「『悪魔』・・・?貴様は自分が悪魔族デビルだとでも言う気か?」

「いいや、違う。俺はこの身の通り人間種ヒューマンだ。『悪魔』って呼ばれるだけの、な」

「・・・そうか、思い出した。確か、少し前に奴隷商人惨殺事件が起こったと部下から報告を受けたことがあったな。その現場の凄惨さから正体不明の実行者を『悪魔』と呼び始めた・・・とな」

「物知りだな。だが、正解だ。正体不明の殺戮者、『悪魔』。それもまた俺の名だ」

「ならば、何故貴様はそちらに付くのだ!貴様は亜人種の奴隷化を反対する者だろう!?それであれば、我々獣人種ビーストに付く筈だろう!?」

「・・・は?何を言っているんだ?」


 いきなりキレて来た虎に俺は本当に意味が分からなかった。・・・もしかして、完全獣化には狂暴化バーサークの効果もあるのかと疑いかけたほどだ。


「貴様は我々(獣人種)の味方ではないのか?では、何故、あの日・・・奴隷商人を殺した?」

「・・・単純だ。これ以上に無く単純だ。ただ、俺は目の前で知り合いの死体を見て、そしてまた殺されそうな知り合いを見て、怒った。それだけだ。だから、俺はお前ら(獣人種)の味方ではない」

「そうか、ならば・・・!!」

「そして、人間種ヒューマンの味方でもない」

「なに・・・?!」


 俺の言葉を聞いて虎は切り裂こうとした爪をピタリと止めた。


「そう、俺はお前たち(獣人種)側でも人間種ヒューマン側でもない。第三勢力だ」

「・・・なんだと?」


 動揺して動きの止まる虎を尻目に俺は言葉を続ける。


「さて、獣人種ビースト人間種ヒューマン、両軍に忠告する。これはそれぞれの王に告げろ。第三勢力として俺たちがこの戦争に介入する。あと、そこの虎。今退けば、見逃してやる」

「愚問。我に退却の意思無し」


 俺の放った言葉を嘲笑うかのように両軍は俺を包囲する。まあ、隣り合った者同士は牽制し合ってるが、共通の敵が現れると結束するという奴だろうか。おそらく、本能で分かっているのだろう、俺が危険だと。


「退かないなら、死ね」


 パチンと右手を鳴らすとその瞬間虎の動きは止まる。大量のMPを消費して。


「なっ・・・動か・・・」


 その虎に近づき型も何もなく、ただ、浅く、黒刀ノワールで突く。そして、その浅い一撃をもって『漆黒の死(ブラック・エンド)』は発動する。漆黒な幻覚を・・・相手に送り込む。そして死を与える。


「ぐ・・・・ぁ・・・・・」


 泡を飛ばし、虎は絶命した。その最期に何を見たかは知らない・・・知る必要も無い。


 そして、ようやく倒れたままの春香を見て、その後ろで怯えている勇者たちを一瞥して俺は立ち去った。


####


「第三勢力だと!?」


 人獣戦争三日目は突如現れた女連れの男と悪魔族デビルの女によって隊長や、百人長・・・等と言った指揮する立場の人間ばかりを殺して去ったため、一端仕切り直しになった。だが、いままでとはまるで状況は違う。そう、第三勢力を名乗る連中が現れたのだ。

 現状確認できる戦力は悪魔族デビルの女一人、シスター一人、暗殺者のような格好をした女が一人、そして、『悪魔』をなのる人間種ヒューマンの少年が一人。


 まだ、他にも戦力がいる筈だ。だが、四人とは言え油断はできないというのが大方の意見だ。

 なにせ、戦闘力が桁違いだった。


 悪魔族デビルの女は一瞬で第三位強食者を一瞬で三人斬り殺し、五秒でさらに三十人の一般兵を殺した。しかも、第二位強食者ではやや若手であった二人を十秒たたずに殺害。

 一方で『悪魔』。こちらはAランクパーティーを一つ、Bランクパーティーを五つ、同時に相手にした上で全員鞘で当てて気絶させて、悠々と帰ったらしい。


 しかも、彼らの本拠地にはかなり強力な結界か何かが敷かれているらしく、全ての攻撃が跳ね返されるのだとか。


「・・・まさか、邪神教団か?」


 そう獣王は呟いた。だが、それを自分で否定する。邪神教団・・・は、人間を迫害する組織だ。ならば、わざわざ人間種ヒューマンの冒険者は気絶させず殺すだろう・・・と。


「王よ、タナカがやってきました」

「む、そうか。入れろ」


 ガチャ、とドアを開けて一人の人間種(・・・)の男が入って来た。いや、男と言うには幼く、少年というべきだろうか。少しこけた頬、黒い髪の中に隠れた爛々と輝く眼、そして不健康そうな白い肌の少年。


「どうした、タナカ。呼んではないぞ」

「・・・王。私の真名はタナカ・エルス・オルタ・ジャスティンガー・フェルドルト・リン・ガーラ・ズベラット・ガーナ・サーラ・カルカランテ・ライトです」

「・・・覚えたいものだが、長い。タナカで良かろう」


 そのとき、タナカはがっかりとした表情をしたがすぐに用件を話そうと思ったのかすぐに、口を開く。


「今日の話は『悪魔』・・・でしたか、ともかくそいつのことです」

「フム?知り合いか?」

「ええ、まあ。遠くから見ただけなので確信は持てませんが」

「しかし、知り合いと言うことは・・・」

「ええ、奴も同じ異世界人でしょう。おそらく、あいつは雨川慎也」


 そして、話は終わったとばかりに踵を返すタナカに獣王は声をかけようとする前にタナカは言った。


「俺が殺すべき相手、ですよ」

 というわけでサッと戦闘を行った主人公でした。ってか、遠くから春香の姿が分かるとかどこのラノベのしゅじ・・・失礼、主人公ですね。

 しかし、その裏でなんか暴れ回ってたエルさん。なんだかんだ言って彼女も強いです。主人公に負けましたが(ほぼ不意打ちで)。能力抜きの純粋な肉体勝負なら圧勝ですね、彼女。まあ、戦闘にずるもなにもないのですが。


 さて、つまらないだろう話はこのくらいにして次回予告。


 次回はなんと、戦争が始まってそこに主人公が乗り込みまた、同じことをするのかと思えば・・・おおっと・・・これは思い切りましたねえ。まさかの人間種ヒューマンVS慎也、エルVS獣人種ビーストですか。え、どういうこと?と思った方は次回をお楽しみに。

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