第三十一話 少年Aと人獣戦争2日目1
不定期ドーン!!
・・・めっちゃストック食いつぶしてるなう。そろそろ毎日更新キツいかも・・・。
前回のあらすじ:戦争回と見せかけ戦争シーン無くてごめんなさい!
二日目、この日は九時過ぎに始まった。
西側に陣取る獣人軍は3000の兵と20人の第三位強食者と呼ばれる百人長クラスの強者と、一人の第二位強食者という千人長クラスの化物を投入した。
対して人間軍は、一万の兵士と近衛騎士団から三名、そして冒険者を400人投入。その中にはAランクと名高い冒険者も数名いた。
そして、その日は正しく泥沼戦争が始まった。
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「よし、行くぞ!お前ら!!」
「「「オーッ!!」」」
テントの中から勢いのあるかけ声が聞こえ、そしてその中から四人の人物が出て来た。その一人目は金髪で天パの男で様々な方向へ髪が飛び跳ね伸びていてだらしなく思えるが、その顔の彫りは深く整った顔立ちをしていて非常に女性にモテそうな外見をしていた。しかし、その体は服の上からガッシリと鍛えられていて、その手には無骨なデザインの長槍を持っていた。彼は、冒険者チーム『自由の鳥』のリーダーであるジャーキー。その強さと顔の良さから色々な意味で業界に知れ渡っている男だ。
二人目は背も小さく可愛らしい、どちらかと言えば童顔の少女で、緑の髪を短く肩口で切りそろえていた。胸部走行は・・・航空力学的にも徹底的に洗練された素晴らしいシルエットを描き出すことは火を見るよりも明らか・・・というものだ。その手には大きな宝石が埋め込まれた長杖をもって、尚かつローブを羽織っていて、如何にも魔法使いという外見であった。彼女はエリーン、冒険者チーム『自由の鳥』のメンバーだ。
三人目はとても大きな男で身長は優に二メートルは超える大男だった。その髪はつるりと剃り上げてあり不思議な模様のタトゥーが彫られている。はち切れんばかりの筋肉と汗でてらてらと光る肉体が彼の特徴だろう。その手には常人には手の持つことも能わぬだろう大きさの大鎚を握っており、その凶悪なほどの握力が伺えた。彼はカルデス、冒険者チーム『自由の鳥』メンバーである。
そして最後の四人目は、少し目が吊り上がってキツそうな感じの青髪の女だ。エリーンとは違い非常に男が好みそうな肉感的な肉体を持つ女性で、周りの冒険者の注目を浴びていた。その彼女の武器は短仗で彼女もまた魔法使いであるのだろうことが伺える。彼女はソーサル、『自由の鳥』のメンバーだ。
この四人は数ヶ月前に冒険者を初めて以来メキメキと実力をつけて行き注目を集める話題のパーティーだ。現在のランクはB。数多くある冒険者たちの中でも、最速とも言われる早さでこの地位に上り切った実力者であった。つまりは、『ちょっとした生きた伝説』とも言える。
通常は六人で組むべきパーティーがこのチームが四人なのは単純に、このランクアップスピードについて行けたのがこの四人であったからで、六人を常に推奨しているギルドがこの四人を認可しているのはやはり、その理由によるところがる。それだけ、この連中は才能があるのだ。
そんな注目度も実力もある彼らは昨日の戦争には参加できなかったようで、武器や防具に一切の汚れはなく疲れた様子もなかった。・・・最も、次の日まで疲れや汚れを引きずるようなものがBランク冒険者を名乗れるほど、冒険者の世界も甘くはないのだが。
つまり、自分たちである程度、疲労感を緩和させたり武器をある程度手入れできるかどうかがBランクとCランクの違いとなり、かつ大きな壁である。なぜなら、防具などの手入れをできるということは同時にその防具の限界や自分の限界をしることにも繋がり、そしてそれがそのまま生存率にも直結するからだ。
そして、冒険者には次の格言があった。『死ななきゃ経験を積める』と。これは、単純に死ななければその失敗を次につなぐことができるという意味だ。
力量もなにもかもが他の種族に劣る人間種は経験を積むことによって他種族から優位性を確立しようとしているのだ。
そして、彼らはここ数ヶ月でかなりの経験を積んでここまでたどり着いたのだった。
「ムム・・・何か空気が震えているんだな・・・」
地獄から響く・・・とまでは行かないが結構低めの声でカルデスは呟き、それに対してジャーキーは聞き返す。
「分かるか、カルデス?」
そう、彼らは戦場の奥に三つほど大きな気配を感じていた。そこにいたのは獣人種で、おそらくはそれが強者とかいう強食者とかいう連中だろうとジャーキーは思った。
「あー、これは昨日見た雑魚じゃないわねー」
同じく、その気配を感じ取っていたソーサルは面倒くさそうにいう。『昨日見た』というのは彼女が遠くのものを見通す『千里眼』の魔法を使えるからだが、その話は置いておく。
ちなみに『自由の鳥』のメンバーは全員がこの気配を感じ取っていたが、他は流石のAランクは気付いたが、Bランクパーティーは一部が若干違和感を感じた程度である。
「・・・昨日は・・・向こうも・・・本気じゃない・・・みたい・・・」
エリーンの漏らす言葉に『自由の鳥』の面々はコクリと頷き、警戒心を高める。そして、両軍はぶつかり合った。
「フンッ!!」
ジャーキーは槍を横に薙ぎ、目の前に迫った巨大な獣人を乗っている馬ごと穂先で斬り殺す。そして、その際に槍の穂先から生じた風が他の馬に乗っていた獣人種を落とし、彼らは自分の馬に踏まれた。それにぎょっとした顔を獣人は浮かべたが、その時に出来た隙に飛びついたものもいた。・・・そう、ジャーキーの一撃は大きな隙を生む位のものだったのだ。・・・だが、彼は一人ではなかった。彼に迫る三人の獣人に後ろから『ファイア・ボール』の魔法が飛び込み三人を燃やす。
「助かったぜ、エリーン」
「・・・ん・・・油断・・・ダメ・・・」
「お前を信じてただけさ」
そう軽く言葉を交わして二人は戦争に集中する。二人とて戦争は初めてだったが油断すれば死ぬということはBランクとしての冒険者の勘が伝えていた。ちなみに、二人とも同じ馬に乗っている。が、騎手であるジャーキーの前にエリーンは座っており傍目から見ると小柄なエリーンがジャーキーに抱きかかえられているようだった。・・・が、小柄であるが故にこの方が色々と楽なのだ。ちなみに、二人とも互いの体を合わせることに違和感はない。・・・寧ろ夜の方がもっとすごい位だ。
そして、同じことはカルデスとソーサルのコンビにも言えた。ソーサルは平均女性並みの身長だがカルデスが大きいので同じようなことになっているのだ。
「フッ!!」
剣を振り下ろすときより先に槍で腕を突きそこにエリーンの放つ風魔法が相手を吹き飛ばす。そのような戦術でたくさんの獣人種を殺して行った二人だったが、これからと調子づいた時に後ろから味方の声を聞いてあわてて後退した。
「準備できた、でかいの行くわよ」
「え、ちょ、ま・・・」
「『ケルドラン・グレイトス』」
ソーサルが締めの呪文を口にした時、ソーサルが使える最も威力のある超級魔法が発動した。それは一言で言うなら極太のレーザー。触れたもの全てを焼き払うレーザーが敵を吹き飛ばしながら先ほどの三つの反応があったところへ向かう。
ドカァァァァァァァン!!と凄まじい音とともに砂埃が舞い上がっているのが『千里眼』を使わずとも目に見えた。
「やったかしら?」
そう呟いたソーサルは次の瞬間、息を飲んだ。
本拠地の手前、数多の死体が散らばる中、一人の男が一本の槍を持って立って居た。
「まさか、あの槍でっ!?」
「・・・!!・・・来る・・・!!」
その瞬間、野生の本能が働いたのだろうか、ジャーキーは小柄エリーンを抱えて、馬の背中を蹴って上空へ。瞬間、彼らの乗っていた馬は腹の位置から半分に切られていた。
「クソッ・・・、カルラ・・・!!!」
その馬は彼らにとって長い付き合いで仲間とも言って言い位の馬だった。名前はカルラ。名馬だったらしくとんでもなく高かったが、苦労してお金を貯めて買ったのだ。
だが、彼はそのまま怒りに飲み込まれることなく冷静に周りを見ながら地面に着地。エリーンを下ろして、一瞬で移動して来た獣人に向かい合う。そう、今までは遠い本拠地に居た男がほぼ一瞬で目の前にせまり、カルラを殺したのだ。レベルの低い連中には瞬間移動でもしてきたかに移るかもしれないが、数多の経験値を積み、それなりに高いレベルを持つ彼らには辛うじて見えた。なんと、彼は本拠地の壁を蹴って、それだけでここまで移動したのだ。地面を、馬を殺した後足をつける以外まで一切触れずに。
だが・・・と、思ってジャーキーはチラリと、カルデスを見た。彼らもまた地上に立っていたが、カルデスの右腕は肘の部分から切断されていた。馬を切られた時にやられたのだろう。むしろ、このパーティーの中では一番俊敏力が低いのに右腕一本で生きたのは儲け物と言いたいが・・・まだ生還ではないので結果は分からないままだ。彼は右利きではあるが、左でもそれなりに武器を使える訓練をしていた。・・・全ては生き残る為に。
「ふむ、先ほどの一撃といい、今の回避といい、中々に強い連中のようだ。よかろう、貴様らの相手はこの二位強食者、サイクロス・ホーンが務めよう」
「二位強食者!?・・・チッ、はずれを引いたか!?」
この日の頂上決戦とも言える戦闘が開始された。
というわけで今回はまともに戦闘シーンを少し入れれました。いやあ、筆がノリノリ♪次回は『自由の鳥』VS第二位強食者、勝って生き残るのは誰だ!?じゃあ、また明日(多分)
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