第二十五話 少年Aと元勇者3
前回のあらすじ
元勇者「王権倒したーい」
慎也「子供かよ・・・」
元勇者「協力して」
慎也「断る」
「戦争を終わらせれば、一番安全だろうが」
「え・・・・?」
その言葉に斎藤とアリサは絶句した。当たり前だ。正面からぶつかるのを防ぐ為に会談や交渉が催され、どうにもこうにも話が平行線となり様々なしがらみやらなんやらが爆発して勃発するのが戦争である。つまり、行き着く所まで行った戦争を止めるのは容易いことではない。ましてや個人で一旦始まったソレを止めようと言うのは無謀と言うものだ。
勇者や、こちらに召還された『世界の漂流者たち』は、過去に戦争に巻き込まれた経験がある者もいるのでその困難さが身にしみて分かっている。
だと言うのに、目の前にいる男は止めると言う。自分の気にかけている者に危害が及ぶのを危惧して短期間で集結させようと言うのは態度に出ている。そんなのは、幾ら自分の仲間を一人で対応できる手下がいたところで大した根拠にならないはずだというのに。
普通なら、どうにもならない。だが、彼の眷属と言われた2人の女性は平然としていて、それが返って斎藤とアリサを動揺させる。
「で、できるわけないでしょっ!!あなたたちだってそう思うわよね!?」
半ばヒステリックな口調でその2人に問いかけるアリサだった。だが、
「・・・・ですが、シンヤ様ですし」
「マスターに不可能なことなど存在する筈がございません」
2人の返答は己の主人に体する信頼(?)の言葉だった。
「そ、そんな・・・」
その言葉に真っ青になる『世界の漂流者たち』の2人。それに追い打ちをかけるかのように慎也は続ける。
「皆殺しにすれば早いが、別に殺す必要も、全員を相手にする必要もない。指揮官だけ潰せば簡単に終わるだろ?」
「な・・・!?」
更に色を失う2人。だが、勇者として前線に立っていた経験が活かされたのか、斎藤は慎也にか細い声ながら質問を口にすることが出来た。
「ど、どうやって、ですか・・・?」
その質問をした斎藤に慎也は一瞥をしてから言った。
「三すくみって知ってるか?」
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その後、作戦の概要を告げ、『世界の漂流者たち』の目の前から去ろうとしたが、またしても止められた。それを無視しても良かったが、食べ物を振る舞うと言われるのであれば致し方なかった。・・・食べ物に罪はない。
「へえ・・・じゃあ、地球では読書が趣味だったんですか」
「今でもな。・・・だが、この世界の本は高い上に数も少なくてな。これと言って買おうと思う本がない」
「なるほど。印刷技術とか発展していませんものね」
「まあな」
「お金は・・・」
「余る程ある。・・・しかし、この果物は甘いな」
「ここらではねダンッが張るんですよ、それ」
ほぅ・・・と、いいながら目の前の、林檎のような形でありながら、パイナップルのようにちょっとギザギザしてる果物を見る。名前は『パップン』というらしい。・・・どういう命名基準なのだろうか。それを言ったらアップルやパイナップルの意味も分からないのだが。
「まあ、いい。寄越せ、言い値で買う」
「いや・・・これで最後なんです」
そんな風にくだらない話をしながら斎藤と食っていると、ふと視線を感じた。だが、その主は誰か見ずとも分かった。『世界の漂流者たち』女性陣だ。・・・要するに、斎藤以外の全員だ。
「・・・で、何人と寝たんだ?」
果物がないことに苛立ち俺はそう質問を投げる。もちろん、目的はこの質問によって沸き起こる混乱を見ることだ。大概、このような奴は誰とも寝ていないチェリーと相場が決まっている。
「え?・・・いやいやいやいやいや!!!!!」
「ん?皆いつでも大丈夫って顔をしてるが?」
「いやいやいやいやいや!!!ってか、そういう雨川さんはどうなんですか!!」
「あ?何がだ?」
「ほ、ほら・・・女性2人連れてますし・・・」
チラリと、アンとエルの方を向くと、アンは目を逸らしエルは真っ直ぐこちらを見返した。拒絶の色はなかった。
「あぅ・・・。いよいよ、今日が私のハジメテ・・・」
「・・・マスターの命ならばどのようなご要望にもお答えする所存でございます」
どちらも間違いなく美少女とか美女とか讃えられる美貌の持ち主だが、頭の脳裏に春香が・・・うっ頭が・・・。
「いや、やったことないが?」
「ですよね!!だから、僕がそうでなくても・・・」
「アンと出会ってまだ一ヶ月程だしな」
「・・・・」
「お前は何ヶ月だ?」
「・・・一番付き合いの長いアリサが一年といった具合です」
「ふむ。・・・まあ、いい。あてつけもやめよう。これ以上突っ込むと面倒くさいことになりかねん」
話を続けようと思ったが『世界の漂流者たち』の面々の目がギラギラとしていることに気付き、俺は話を切ることを決意した。
「さて、俺から質問させてもらう。・・・お前らは以前、王に仕えていた時、というか保護されていた時に捨て駒のような使い方をされた。だから、怨んでる・・・そう考えてもいいか?」
俺がそう言った瞬間、『世界の漂流者たち』は拳を握ったり、唇を堅く噛んだり、涙を流したりと、皆が皆悲壮な表情を浮かべていた。
もちろん、斎藤とて例外ではなく何かを耐えるかのように拳を握ったり開いたりしたあとに短く肯定した。
「・・・はい」
「だろうな。36回も呼び出せるほど勇者召還が楽なものならば簡単に切り捨てても奴等の懐は痛まないからな。しかも、俺の町で聞いた話だと、勇者たちは何年か経つと姿形を変えて生活するというまるで変な怪物のような話もあったしな。
なら、その話を覆すような証拠となるアンタたちが何故全滅せずに一部だけが残っているのかが疑問だが、おおよそその捨て駒となる戦いでたまたま大きい怪我を負って前線でも退いていた時に仲間が全滅して逃げ出したってとこだろ」
俺の言葉に全員が怒りや悲しみで肩を振るわせ、それを隠すかのように押し黙る。しかし、その沈黙こそが答えだった。
例えば、くのいちらしいアリサは敵の偵察とか巡回中とかに本部を離れていた所仲間が全滅し逃げ出したとかそんなところだろう。他も、怪我をして違う場所に居た結果助かったとかそんなところか。
一人一人が運良く、もしくは運が悪く生き残ってしまったのだろう。そして、後に自分たちが捨て駒として使われたことを知り、王を怨んでいるのだろう。
「さて、先ほど俺を呼び止めたと言うことは俺の質問に対する答えが出たということでいいのか?」
「ええ。この国を救います」
「救う?この国の秩序を壊そうとしているのはお前たちだぞ?」
「いい手本があります。日本だ。あんな平和な国にすれば・・・」
「庇護する国家があればこそだろう。なければ他の国による略奪が始まるだけだと思うが?」
「確かにそうですが、そのために自衛するための組織を作ればいいじゃないですか」
「まあ、そうだな。そこらはお前の信用できるやつと相談するといいが。誰も信用できぬものに政治は勤まらないと思うからな」
「分かりました」
コクリと頷く斎藤。俺は眠いので欠伸をした。
「・・・眠いから寝るか。夜も近いしな。それで、お前らはどうするんだ?」
「どうする。とは?」
「戦争だ。俺は三人で終わらせるが、お前たちも活躍などして名前を売った方が後々のためになるんじゃないか?」
「行きます。・・・が、参加はしません。今の我々に必要なのはあの国を見定めることですから」
「・・・そうか、なら付いてくるといい。それに、戦争の最中に勇者と接触して引き抜ければお前たちの目標も近くなるだろう」
「確かにそうですが・・・貴方の学友でしょう?すこし冷淡では?」
「春香以外はどうでもいいからな」
「ハハ・・・そうですか」
俺の言葉に何か言いたいことがありそうだったが、俺はもう眠気が限界だったので、襲い来る睡魔にその身を任せた。
「とりあえず、もう寝る」
そして、次の朝、俺はアンジェラとエルセリアに挟まれた状態で目が覚めるのだった。
どうも、はっぴーばれんたいん?たべられんの?の樹実源峰です。
まあ、そんな戯れ言はさておき皆さんチョコは貰えましたか?え?クラスメイトから?職場の同僚から?近所の女子大生から?そうですか爆発してください。え?僕ですか?爆ぜてください。・・・まあ貰えた皆さんはおめでとうございます。もらえなかった皆さんは僕と同類ですやったね、仲間が増えたよ。嬉しくないですね!ですが、来年度は貰えるように頑張りましょうとエールを送ります。びびびと。
まあ、貰えた人も貰えなかった人も最近寒いので頑張りましょう。そうすれば、きっと来年貰えるかも。とりあえず、千里の道も一歩から。石のように堅いそんな意思で。とも言います。落ち込まずに頑張りましょう!
それでは、また次回をお楽しみに。




