第二十二話 少年Aの状況整理
前回のあらすじ:美女剣士がパーティーにはいりました。
名前:アンジェラ
性別:女性
種族:森林種
年齢:185歳
出身地:エルフリア森林国
職業:シスター
Lv.151
HP:5788/4889(8690)
MP:8965/7780(8965)
ATK:1868(5785)
DEF:1540(4389)
AGI:2785(6788)
装備品:風の護符(DEF+14,AGI+20)
:王家の指輪(DEF,SPD×2)
:精霊樹の弓(ATK+2260)
【特殊能力】:『神の導き』-{加護}{慈悲}
称号:一途なる者・悪魔の従者・シスター・(精神的)癒し手・超人
名前:エルセリア・メルクス・クレスフォード
性別:女性
種族:悪魔種・悪魔族
年齢:417歳
出身地:魔国サルトニス
職業:剣王
Lv.768
HP:134684/245366(389604)
MP:98000/114567(259605)
ATK:8468(422300)
DEF:6750(9762)
AGI:18766(65434)
装備品:千呪の剣(ATK×5)
:魔剣死の刃(ATK×3)
【特殊能力】:剣王・根源回帰・心眼
称号:一途なる者・悪魔の僕・超人・剣王・無に還す者・戦闘狂・殺戮王・生ける伝説・自重を知らぬ者・ドラゴンスレイヤー
『剣王』・・・『剣士』の上位称号。剣を極めた者に与えられる称号。剣を使った闘争に於いて、攻撃力が上昇補正される。
『無に還す者』・・・『根源回帰』を持つ者の称号。全てを土に還すという意味でもある。闘争に於いて攻撃力が上昇補正される。
『戦闘狂』・・・闘争を好む者の称号。闘争に於いて全てのステータスが上昇補正される。
『殺戮王』・・・数え切れぬほどの者を殺し尽くした者の称号。未来は血塗られた道にあり。闘争に於いて攻撃力が上昇補正される。
『生ける伝説』・・・レベルが500を超えた者の称号。全てのステータスが上昇補正される。
『自重を知らぬ者』・・・レベルが700を超えた者の称号。全てのステータスが上昇補正される。
####
フム、と思って前を見る。そこにはこの世界でも類稀なる美貌を持った2人の女性、アンジェラとエルセリアがいた。片や人助けにかけては世界一の人材と、片やこの世界でも最強と名高いであろう人材である。
そもそも、この世界に於ける最強戦力であるAランク冒険者でも、レベルの高い者で300か400がいい所であるので700もあるエルセリアは下手するとたった一人で国を滅ぼしかねない人材であろう。
どころか、下手をするとAランク全てが200,300を超えた者ばかりでもないのでアンジェラでもほとんどの者に勝てるかもしれないのだ。
つまり、このメンバーで世界征服という子供くらいしか考えないような空想をも実現し得るのだろうが・・・生憎なのか、幸運なことなのか彼らには全員そのつもりはない。
アンジェラは人助けを至高としているし、エルセリアは支配より闘争に興味を持っている。それに慎也は恐怖政治や独裁は長く続かないし平和とはほど遠いということを知っていたからだ。
とはいえ、これだけの戦力が一カ所に集まっているのでやりたいことは大抵やれるのが事実だ。なので慎也はこの後の方針を決めかねていた。
「・・・まあ、とはいえ最優先目標は春香であることには変わりないか」
正直な話、春香のことがなければ俺はあの村での永住を決意していただろう、と考える。それほど、あの村は心地よかったのだ。・・・今はもうないが。
などと、そう言うことを黙考している間に遠くから一人の老人がやってくるのが見えた。敵か、と思ったが丸腰なようなので特に身構えるようなことはしなかった。そして、やって来た老人は切り裂かれている冒険者たちを唖然として見つめ、その後大量の亜人種たちが倒れている戦場に立つ俺らを見てからこちらにやって来た。
「あ、あ、あなた様がこれを・・・?」
その瞳に浮かぶのは恐怖の色だったが慎也は気にしなかった。ただ、若干興奮していたようなので冷たい目で見るとようやく落ち着いたのか喋り始めた。
「す、す、すみません・・・。わ,わ、私はこの町の町長です。き、き、今日は冒険者の方々に依頼をして、この港に来る予定だった邪神教団の連中を返り討ちにしてもらおうと思っていたのですが・・・」
「だろうな。あいつらの様子を見れば分かった」
面倒くさいと思ったがさっさと俺は考え事に戻りたいという思いがあったためここから逃げたいという案が思いつかずそう返した。
「で、で、では、あれはあなたが・・・?」
そう言って町長が見たのは冒険者たちの死体だった。フム、と少し考えてチラリとエルセリアを見る。エルセリアはぴくりと反応するが特に何も言わなかったのを確認して俺は口を開く。
「いや。アレは背後からやって来た別働隊にやられたようだ。俺の背後から来た連中もいたからな」
「で、で、では、あちらは・・・?」
そう言って今度は亜人種たちの死体を指差した。
「ああ。俺がやった。連中には恨みがあったからな」
「で、で、では、そちらは・・・・?」
今度はエルセリアを指差した。悪魔種のしかも悪魔族だから気になったのだろう。
「こいつは俺の従者だ。邪神教団とは何の関係もない」
「そ、そ、そうですか・・・。す、す、すみませんがあなたのお名前は・・・?」
「・・・ヤンシングだ」
「や、や、ヤンシング様ですか!こ、こ、この度はこの町を救ってくださりありがとうございます」
そのまま地面に頭をぶつけそうな勢いで頭を下げた町長に頭を上げるよう促してから俺は去った。
####
アルド歴567年、6月15日、シェーテルの町の近くのシェーテル港に邪神教団が襲来し、ヤンシングと名乗る男がそれを全て返り討ちにしたという、後の歴史書に記される『シェーテル事変』。これは、邪神教団には失敗という記録しか残らなかったが、人類側には邪神教団が人類に対して起こした最初のテロ行為と位置づけられている。それを止めたヤンシングのことはあまり表沙汰になることはないが、噂と言う形でその存在は広がって、現在は『シェーテルの英雄』と呼ばれている。しかも、その噂には尾ひれがつき、本当か嘘か・・・というかとても信じられないとし伝説のようなものになっていた。
曰く、龍に姿を変えられる。曰く、口から火を噴ける。曰く、頭上からレーザーを降らす。曰く、巨大なクレーターを作った。曰く、何千人も妻がいる。曰く、神の化身・・・など。
そんな彼の存在はここで一旦消える。それすらも噂に加担し、神の国に帰っただの『大陸』に渡っただのという渡航説や急病説などが歴史家たちの中で議論されるのだが・・・それはさておこう。
別に彼らには何もなかったのだから。
「おい、オヤジ。チェックアウトだ」
「は・・・?今からか?宿代は返さんぞ」
「要らん。急ぎなんだ」
「おいおい・・夜だぞ?女連れだろ、分かってるのか?」
「知るか。邪魔する奴はぶっ飛ばす」
「・・・まあ、そう言うなら止めはせんが、気を付けろよ?」
「ああ、分かってる」
宿の主に鍵を渡し、夜の町へ出向く俺とアンジェラとエルセリア・・・いや、ヤンシークとアンジェリーナとエルセンティの三人は町中の浮かれた雰囲気を無視して町の門へ向かった。
「あの・・・シンヤ様?」
「何だ、アン」
改名するにあたり、俺は2人の呼び方を変えていた。アンジェラは『アン』でエルセリアは『エル』だ。本人たちはいたく気に入ったらしい。
「どうして町を出たんですか?」
「ああ、それか。それには二つ理由がある。まず一つ目は、俺が目立ち過ぎたと言うことだ。これをきっかけに王城に呼ばれて異世界から来たとでもバレてみろ、相当面倒なことになるだろう。・・・たとえば、戦争に駆り出されたり、な」
「では、名前を変えたのは・・・」
「行った先でヤンシングと名乗った時にヤンシングの名が広まっていたら捕まえにくるかもしれんからな。飽くまで保険だ」
普通、英雄的行動をした者がそれを表彰したいと言う者から逃げることはないだろう。そういうところもついてみた行動だ。
「ではもう一つは?」
「二つ目はお前らのことだ。王城で亜人種とバレたらなにがあるか分からない。もしかすれば王が亜人種嫌いなのかもしれないしな」
「・・・私たちのため、ですか?」
「まあそうだな。まあ、いざと言う時は俺とエルで反抗すればいいだろう。どうなってもいいさ」
「でも、それだと同じ種族を裏切って・・・」
「アン、いいか?」
アンジェラの言葉を遮るようにして言葉を発し、アンを立ち止まらせる。
「お前たちにくらべれば他の人間はゴミでしかない。ゴミに遠慮する人間がいるか?」
「ですが・・・」
「まあ、優しいお前のことだ。自分が犠牲になれば解決するならその身を捨ててでも解決しようとするだろうが、それは許さない。絶対にだ。やるなよ?」
「・・・はい」
「それに他の理由もある」
「他の理由ですか?」
俺の言葉にアンは立ち止まり俺もそれにあわせて立ち止まる。
「ああ。MPがもったいないし、そもそも俺は快楽殺人鬼ではないからな。『敵』であるなら容赦は要らんが無理に『敵』を作る必要もないだろう?・・・ふむ、と考えると俺もずいぶん変わったな」
「・・・?シンヤ様?」
確か前は、そんなに強くなかった頃の俺は戦いを避けていた。それは俺が非力だったが故なのだがしかし、こちらの世界では確かに戦いを避けているが(復讐は別だ)、それは単に面倒くさいとかそんな理由だと言う天と地もの差があることに気付いたのだ。
「シンヤ様・・・私は・・・」
「マスター、ワタクシは昔のマスターを知りませんがワタクシは現在のマスターになんら不満を抱く所はございません」
「・・・そうか、まあ悪いと言われるよりはいいか?」
俺の先ほどの言葉に体する慰めだろうかと思って首を傾げながらそう返す。アンが膨れているのが気になったが、たいしたことではないのだろうな。
「まあ、2人とも心配をかけたようだな。礼を言っておく・・・・ん?」
俺が礼を言ったときアンが怪訝な顔をした。何だ、何かあるのか?
「あの・・・シンヤ様、どこかで頭を・・・?」
「そうか、お前に礼を言った俺が馬鹿だったか」
アンの一言で言いたいことが分かった俺はとりあえず拳を頭に落としておいた(無強化)。それでもかなり痛かったのだろうか涙目になるアンジェラに意識を向けていると鋭いエルの声が夜の闇の中に響く。
「どなたでございますか!」
「え、あ、ちょ、ちょっと待った!」
嫌に気配が薄い人間にエルは一瞬で肉薄し首に剣を添える。いつでも首は切り落とせると言うように。・・・以前の彼女ならすぐに切り落としただろうが、俺が「すぐに殺すな。話を引き出せ」と厳命したので恐らく大丈夫だろう。たぶん。
そして俺は振り向いた時に動揺した。そこに立っていたのは黒目黒髪の黄色人種。そう、日本人に極めて酷似した特徴を持つ人物だったからだ。・・・ただし、その人物の名前どころか顔も知らない。つまるところ、この世界の人間種だろうか?とも思ったがその男から放たれている『強い』という空気にその考えを捨てた。人間ではないかもしれないという考えを思いつく。
「ま、まあまあ、そんなに殺気立たないでよ。僕は敵じゃないよ?」
「信じられるか。そんなに強そうな雰囲気を持ちやがって。アンタ、何人だ?」
「何人?あ、もしかしてやっぱりだけど日本の人?」
「・・・チッ、本当に異世界人かよ」
何人?と聞いたらこの世界ならこう答えるだろう。「何言ってんだ、どう見ても人間種だろう!」とか「人間種に見えたか?スマンな、俺は獣人種だ」とか。この世界の人間は人種と言うものを分けていないので何人といってもアメリカ人とかそういう答えは返ってこないのは目に見えていた。
しかし、この男は『日本』という単語を発した。それはこの国では全く使われない・・・どころか存在しない単語だ。つまり、この男は異世界人、しかも自分と同郷の存在だと言うことが分かったのだ。
「しかし、アンタ、見たことがないな。俺のクラスの人間じゃないだろ」
「そりゃ当然さ」
「は?」
訝しむ俺を前にしてその男は言い放ったのだ。ある意味、俺が欲しかった言葉を。
彼は口元をほころばせてから言った。
「僕は君たちの前に召還された勇者なんだから」
※注意、ステータスは大抵テキトーです
どもども、作者です。受験生の皆様はセンターが終わって山を一つ超えたとかいうじょーきょーかと思われます
かく言う私めも去る1/17,18にセンターを…受けたんだよなぁ……ハァァァァ……。何あの数学2・B、ばかなのしぬの?
まぁ、そんな暗い話題はさてさておきおき今週もお届けです。とはいえ、まだ来月も受験が残ってるんで更新スペースはやや遅めとなりますが続けて行こうと思います。合格が出た日にはもう、ね、更新しますよ。
次回予告。突如慎也の前に現れた「元勇者」を名乗る男。彼の話に慎也の反応は…?
次回『少年Aと元勇者』お楽しみに




