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少年Aの異世界漂流  作者: 樹実源峰
第一章 第三部 人獣戦争編
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第十九話 エオウプレス邪神教団の来襲

お久しぶりです!年末年始は忙しく更新が早くなるとかいったことは(今年は)なさそうです、すみません!!

 浩の死から早くも一週間が経った。

 彼の死は俺の心に深い傷を負わせ、彼の今際を俺はこれから一生忘れることはないのだろう。


 だが、後ろを向いたまま人は歩けない。前を見なければいつかは転んでしまうだろう。死が、地球よりも近しいこちらの世界では、転ぶことは死に直結することもある。なればこそ、俺は立ち上がる。友の思いを無駄にしないため。そして、復讐の為に。


 現在、俺とアンジェラは浩殺しの主犯の悪魔族デビルから得た情報から、港町である『シェーテル』ヘと来ていた。カモメのような鳥が空を飛び、波は穏やかに砂浜に打ちつけ、市場は活気に息づいている。これが普段ならば、この町の美味しい食べ物や海の幸と言ったものを味わうのであろうが、俺にはそんなものに構っている暇はなかった。


 とはいえ、今の俺は殺気が抑え切れていなかったか、誰も寄って来ないのだが。


「あの・・・シンヤ様?」

「何だ、アンジェラ?」


 そのような俺に仕えるアンジェラは、その顔を悲痛に歪めて俺に声をかける。


「・・・やはり」

「俺は浩の仇を討つ。たとえ、殺戮者と罵られようと、な」

「・・・。でしたら、死なないで、ください」


 俺の不退転の決意を聞き、アンジェラは目から涙をこぼし始めた。それを見て、俺は告げる。


「当然だ、アンジェラ。救われたこの命、あっさりと終わらせることはできない」


 そして、アンジェラから視線を外して海を見る。快晴故に青い海。その上に、骸骨に剣をクロスした、所謂海賊旗のようなものを掲げる船が多数迫っていた。


「反 人間種ヒューマングループの一つ、エオウプレス邪神教団か」


 エオウプレス邪神教団。あの浩を殺した悪魔族も所属していた反人間種グループだ。だが、これは人間種のみに害を及ぼすのではなく、この教団員以外の者達を襲撃するのがグループの目的らしく、亜人種達が住んでいる『大陸』でも過激派テロリストとして知られているらしい。

 なぜ、他の人々を害するのかと言うと、それはこの教団に伝わる神話に関係があるのだとか。


 この邪神教団の神、つまり邪神は名を「エオウプレス」といい、他の神々を殺めて唯一神として君臨したらしいため、この教団では他を排斥し頂点に立つことが教えなのだとか。ただし、この神は自身の僕には手を出さないどころか保護してくれるというため、入団者が絶えないのだとか。


 そして、この教団員は亜人種で構成されており、そのため反人間種的性格が強いのだ。・・・もっとも、人間種を入れてくれるかどうか知らないため、本当に人間種に対する風当たりが強いのかどうかは知らないが、この船は間違いなく、この港町を害そうしてやって来ていることは明白である。


 冒険者には必須の望遠鏡を覗き込み船の中を確認するとすでに大砲の玉などが甲板に置かれたり、帯刀してる柄の悪い連中や、悪魔種イービルもいる。これで和平に来たなどと言った日には全世界の平和を信じられるだろう。


 さて、それでこの教団、たまたま海に出ていた漁師達が見つけたこともありギルドでは早速緊急討伐クエストが発注されていて、海岸にはたくさんの冒険者たちの姿があった。


 だが、俺には関係ない。重要なのは浩を殺した奴の所属するこの教団を破滅させることである。一人一人残虐に殺すと言う手もあるにはあるが、このような連中に施すMPがもったいないため、一撃必殺もしくは適当に殺すしかない。そう思って、地面に落ちていた、拳大の石を拾い上げる。やろうと思えば空気圧を何倍かにして圧殺もできるがそれもMPを大量に消費するからやめる。やはり、シンプルイズザベストだ。

 それに、万一生き残りがいた場合が面倒くさいため陸上に上げてから殺した方がいいのだろうが。


「野郎ども!!覚悟を決めろ!!奴等はエオウプレス邪神教団!!話し合いの通じる相手ではない!!徹底抗戦あるのみだ!!」


 冒険者の中で銅のギルドカードを胸に書けた三十路手前くらいのおっさんがそう発破をかける。まわりに銀や金のギルドカードをもっている連中がいないか探したが、いなかった。どうやら、彼がこの冒険者の集団を取りまとめるリーダーのようだ。


 通常、このような緊急で多人数によるクエストは一番ランクの高い者が冒険者たちを統率していくのが主流である。ならば、なぜ『金』の俺が行かないかというと、それは単純な話、俺はクエストを受けていないためだ。クエスト受けた所でこんな連中を相手にする時間があれば仇を討つ方を俺は選んだのだった。


 と、その時、空中に半径5mほどの大きさの赤い魔法陣が突如出現した。魔法陣の大きさからすると上級魔法なのでスキル魔法らしく、色からして炎属性だと知れた。


 魔法陣は魔法のレベルによって大きさが変わるのだ。初級魔法と呼ばれる日常でも使えるレベルで、かつ魔法系特殊能力スキル持ちではない人々でも扱える第一型習得魔法は目に見えない程小さく、中級魔法というこれまた魔法系特殊能力を持たない人々でも扱える第二型習得魔法は半径2〜3mほど。そして魔法系特殊能力持ちしか使えない第一型スキル魔法の上級魔法は5〜6mほどだ。


 また、魔法陣の色はそれぞれの属性に対応しており、赤が炎属性、青が水属性、緑が風属性、茶色が土属性、白が光属性、黒が闇属性と言った具合である。これを知っていると(この世界の常識なのだが)相手の魔法陣から相手の使う魔法を予測できて予防策を取れるのだ。とはいえ、もちろん適切な行動を取れなければあっさりと攻撃を受けてしまうため大きさや色だけ覚えていてもダメなのだが。実践に於ける勘を養わなければ生き残れまい。


「・・・エメルカ・デルス・アリ・ナルス・フレア・ランス!!!」


 男の威勢のいい詠唱により魔法が発動して魔法陣から炎で出来た槍が生えてくる。全長3mくらいの大きさで、大きい船でもあれに穴を開けられれば沈没は免れ得ないだろうという大きさ。それを見た俺は即座に石を投げる。一瞬にして高速を超えた石は魔法陣と槍を破壊しどこかへ消えて行った。


「な、なにがおこった!?」


 そう怒鳴るおっさんに俺は軽蔑の目を向けて呟く。


「馬鹿か、アンタら」


 ソレが聞こえたのか、こちらをじろりと睨む冒険者たち。だが、その睨みを俺は意にも介さず俺は船に意識を向ける。・・・一番後ろの船がもう少しで俺の能力の射程圏内だと言うことを確認する。


「・・・おい、小僧、今何と言った?」


 そう凄んでくるおっさんを一瞥し答える。


「馬鹿なんじゃないか、といっただけだが?」


 なんの気負いもなく言った俺にそいつは剣を抜きかけるがすんでのところで後ろから仲の良さそうな奴がすっ飛んで来て止めに入り、考え直したようだ。少しして言葉を投げてくる。


「理由を聞こうか」

「船を破壊したら奴等がどこぞに漂流してその先で殺戮を始めるだろうが。せめてやるならもう少し近づいてからにしろ」


 それを聞いて確かに、と納得したような顔を浮かべた男。しかし俺は「だが」と続ける。


「俺が足止めしておくから討伐するならやれ」


 そう言って氷刀アイシアを召還する。そして


「『氷結斬撃コキュートス』」


 この刀の固有能力を放つ。それだけで大気が冷えて海が凍り付いて行く。・・・それはあの船の下の海もまた例外ではなく、船は海が凍ったことにより動けなくなり敵がどよめいているのが分かった。そして、俺は悠然と歩みを進める。すると、混乱も少し治まったのか、悪魔族や獣人族ビーストの羽を持つ奴等が空から、ソレ以外の奴等が陸から攻撃の準備を整える。距離約20m。しかし、既に射程圏内なので見逃すことはない。


「海抜8m以上の空気組成率を酸素100%にする」


 そう告げた瞬間、世界のルールがねじ曲がる。俺を中心とした半径50mは俺の支配領域なのだ。

 空を飛んでいた連中が一斉に体の中身を酸化されてもがき苦しみながら堕ちてくる。だがそれに注意を払わずに俺は、再び拾った石を投げつける。


 すると、スロット5の効果『武器として投げたものが第二宇宙速度で飛んで行く』が発動し群れている連中に突き刺さる。飛び散る血は一人などではない。あり得ない速度で打ち込まれた石は貫通性を持って敵を穿って行く。


 もちろん石は一発だけしか持っていない訳ではない。・・・何十個と確保してある。それが全て第二宇宙速度で飛んで行くのだ。・・・果たして敵は残るのだろうか?


 だが、無論敵にかけるかけるべき容赦などない。圧倒的力で踏みつぶすだけだ。


 次の瞬間、何十発という石つぶてが邪神教団を襲う。


####


「な、なんだ、これは・・・?」


 今回が初めてとなるエオウプレス邪神教団の大規模な人間国侵攻作戦。その記念すべき一回目の司令官として選ばれた魔骸族リッチのマルズは目玉なき目を剥いた。彼は事前にたくさんの策を練って来て圧勝が予想されていたのに、実際始まれば海は凍らされるわ、空襲部隊は落とされるわ、地上部隊はおとされるわという三重苦が待ち受けていたのだ。しかも、すべて一人の敵によってなされていることは容易に想像がついた。だが、その肝心の敵には一切の痛手を与えていないのだ。


 その事実にマルズは頭を抱える。だが、これはまだ奇襲なのだ。一騎当千の輩がいるとは思っていなかったがこの男さえ潰せばまだ取り返せると彼は考えた。故に作戦を変更し、とりあえずあの男を抹殺する旨を各部隊に通達した。


「エオウプレス様・・・ご加護を」


 そして、彼は自身が信じる邪神に祈って気分を落ち着かせる。怒りに塗れていた頭の中は冷えて自分が何をすべきかが一瞬で分かる。そう、彼がすべきことは


「私も出よう。やはり奴を殺さぬ限りは計画に支障が出よう」


 そう言って船内に設けられていた司令室から出る。そして甲板に向かうと彼の背後にはいつの間にか、彼と同じようにボロボロとなったローブを纏った骸骨が複数いる。・・・今回彼が使うとは思っていなかった最強の部隊である。


「征くぞ、魔骸部隊。我らがエオウプレス様に勝利を!我らが教団に栄光を!」

「「「「勝利を!栄光を!!」」」


 そして、彼らは地上に降り立った。・・・Bランク、個体によってはAを超えたSランクとも分類される手強い悪魔種の魔骸族の部隊が戦闘するという事実に冒険者たちは遠くから息をのんだ。


 戦いは始まったばかりだ。

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