表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少年Aの異世界漂流  作者: 樹実源峰
第一章 第一部 少年Aと異世界漂流
2/47

第二話 『神様』の手紙

 チュンチュン・・・チュンチュン・・・


「・・・。・・・んぁ、朝か?」


 雀の声に起こされる朝。実にのんびりしてていい気持ちだが、俺の感覚だと今日は平日のはずだ・・・と思いながら目を開くと、そこにあったのはいつもの照明がついている天井ではなく、木造の家の梁とかがむき出しになっている家の天井のようなものが見えた。というか、木造の家だろう。


 ふぅ、と深呼吸をして口を開く。


「知らない天井だ・・・」




 十数分後(おそらく)、疲れが取れていなかったのか二度寝をしていた俺はようやく身を起こし、自分の置かれた状況を確認する。


「たしか、『神様』とやらに異世界に送られたと思ったがあれは夢だったのか?」


 声に出して呟いてみるが、それが夢ならここは何処なのだという話になる。おとなしく異世界に来たのだろうと考えることにした。そう思った瞬間、思ったより自分が混乱していないことに気付いた。


「・・・ふぅむ、異世界に行きたいって思ってたからかな?」


 単純にそう結論を下し辺りを見渡す。そして、この家が木造建築であることを再確認した。家具もタンスや鏡台などはあるが、テレビや電話などは見当たらなかった。これで一つ異世界へ来た可能性が高まった。


 窓の外を見ると木ばかりが生えており、どうやら森の中であるだろうことが伺えた。そして、誰の気配もしないことから俺はどうやらこの家に一人しかいないらしい。・・・誰の家なんだ一体。


 外に出ようかと思ってドアの近くへ行くと鍵がかけられていた。正確に言うと内側からかける形式の鍵であるため、閉じ込められたわけではない。


 つまり、誘拐とかの可能性は低いと考えても良いだろう。と、いうか俺にたいして人質が成立するとも思えないのだが。


 そこでようやく俺は今の所自分の身の安全があることに少なからず安堵して、今までに呼んだ異世界転生の話を思い出すこととした。


「・・・まあ、アレだよな。大体が大体エルフとかドワーフとかいるよな。人間と仲が悪いパターンがあるが、ここはどっちだ?友好的な関係を結べているのか?あるいは人間が奴隷の可能性もあるな・・・」


 考えだせばキリは無い。そもそも一口に異世界と言っても俺のいた世界と全く違うというわけでもないかもしれない。最悪のパターンだが、ここが俺の家だったとして俺がこの世界の俺と出会い何かが生じるのかもしれない。と、後半はだんだんとネガティブな無いようになって来た所で一旦思考を打ち切った。


「そういえば、クラスメイトごと転生する話って大抵は皆凄い力持ってたりするよな」


 少し希望が見えて来たのでよし、とガッツポーズをとるがすぐに問題点に気付いた。


「・・・どうやって確認するんだよ?・・・ステータス!ステータス展開!ステータスメニュー!メニューオープン!」


 そうやって思いつく限りの言葉をならべたてステータスを呼び出そうとするが出てこない。もしかしたら、無いのかもしれない。・・・早急に知るべきことだというに・・・。


 一旦頭が混乱して来た為にいつものクセで両手をズボンのポケットに突っ込んだ時にクシャッっという音がして何かが中に入ってるのに気がついた。


「・・・なんだ?」


 ハンカチをいつも入れていた右ポケットから、ハンカチの代わりにメモ紙のようなものが見つかった。四つにおりただんでおり、『シンヤ君へ』と書かれていた。


『やぁ、やァ。皆大好き「神様」ダヨ。この手紙を読んでくれているということは君は無事に生きてくれているんだろう、実に嬉しいヨ。これはボクからの「餞別」ってやつサ。ボクの目的に気がつくことのできたシンヤ君とハルカ君にだけ送った、まあご褒美ダヨ。

 さて、君は恐らくどういう状況かおそらく分からないダロウ。だけどこの世界の神とボクは飲み友なので結構この世界の事情に詳しいから、すこしだけこの世界のことを教えてアゲヨウ。見返りは期待してないし、お礼も言わなくていい、これはボクの気まぐれだからネ』


 ・・・ふむ、どうやら親切な『神様』のおせっかいのようだ。お礼も言う必要ないな。頼んでないし。


『いや、そこは嘘でも喜んでほしいんだけどネ』


 ・・・面倒くさいなあ。


『それはさておき、この世界は実は君の元の世界の下位に位置する世界なんだヨ。まあ、簡単に言っちゃえばマザーコンピューターとパーソナルコンピューターみたいなものダネ?間違ってるかもしれないケド』


 たぶんこれはツッコンだら負けな気がして来たので一気に読むこととした。


『んでまあ、下位の世界だから本来上位の世界の住民の君は世界に対する影響力が高いのサ。なにも鍛えなくても普通の成人男性くらいならタイマンで張り合えると思うヨ。

 で、この世界には独自の要素がアル。それは特殊能力スキルというものダ。・・・まあ、分かりやすく言えば超能力みたいなものダネ。それで、この特殊能力によって(依存して)人々は生活しているんダ。この特殊能力も色々あってネ。剣の腕に関係するものや酪農に関係するもの、家事に関係したりとかそりゃまあ色々と、ネ。

 そして、君たち転生者もまたそれを持ってル。何を持ってるかはボクの口から言わないし、確かめ方も教えないがこの世界の人々と交流を深めて幸せな人生を送ってほしいのがボクの目的ダネ。

 さらに言うと、この世界の特殊能力にはレア度とでも言うべきものがあって低い方から、普通級コモン希少級レア超越級スーパーレア神業級ゴッズ幻想級ファンタジーダネ。特殊能力は進化することによってレア度も上がるらしいけどほとんどないことラシイ。その中で君たちが手にしたのは最低でも神業級ゴッズ、良くて幻想級ファンタジーだよ。

 もちろん、レア度だけで戦力差が決まったりする訳でなく、能力によってはレア度が低いのに勝つ場合もあるラシイ。もっとも、レア度が高い方が普通に強いんだけどネ。

 さて、そんな異世界の事情なんてシンヤ君にはお宝みたいな話はここまででやめて次はハルカ君の為の話をシヨウ。

 ボクがこの前ちょちょいっと作ったルーレットによって君たちの高校が選ばれてその高校の生徒と教師を全員異世界へ送り込んだ訳だが全員が全員同じ所へ行った訳ではナイ。・・・そんなことをすれば他の世界が圧迫されてボクが文句を言われるハメになるからネ。

 その世界にいるのは君たちのクラスメートとその担任副担任の先生二人。他のクラスの生徒はいないから、安心しなヨ。・・・さて、じゃあなんでクラス全員を送り込んだのにバラバラになってしまったカ。これにはとても深い事情があるんダ。

 ボクとて君たちをバラバラにしようとした訳でもナイ。馬鹿馬鹿いっても結局子供がかわいいってことサ。だけど、転生直前にそちらの世界で《勇者召還の儀》を行った連中がいるらしく、ボクの輸送手段がズタズタ。結果、勇者の素質を持つ何人かはその連中の元へ行き、他はバラバラになっタ。・・・不幸中の幸いと言うかボクの編んだ術式が完全に破壊された訳ではないので君たちは全員人間の国に送り込まれたということだろうネ。なんで幸いかはこの世界の情勢を知ると分かるヨ。

 最後になったが、君たち二人はボクのお気に入りダ。偶然の邂逅とは言えこんな形で会いたく無かったヨ。だからせめて君たち二人はそちらで幸せになってホシイ。

 君と君の人生に幸アレ』


 そこで手紙は終わっていた。うーむ、とうなって頭を再起動する。


「とりあえず、異世界かどうかって問いには完全に信用するしか無いか。手紙を読んでる俺の心を読むとか『神様アレ』くらいしかできないだろうし。そういえば、特殊能力があるとしか言ってなかったが魔法は無いのか?それとも、魔法は特殊能力ではなく学ぶものなのか・・・それともスキルの一部か?考えることが多いな」


 ふぅ、一息つき少しだけボウッとする。それだけですべきことが思い浮かんだのでそれを実行することにした。


「なにはともあれ、ハルカは助けないとな」


 とはいえ、具体的な案が思い浮かばない俺はがっくりときてふたたびベッドに横になった。

 すると、その時だ。


ガチャリ。


 誰かがこの家に入る為に鍵を開けたのは。

 どうも作者です。あらすじの主人公の最強の力については登場までしばらくかかりますのでお待ちください。さっさとだせるよう尽力したいと思います。マジで。今の所四話まで原型はできているのですがまだ出てきません。勇者として召還された方の情報も書かないと行けませんし。まあ、ちょびっとですね。

 ふむ、ぱっと予定では七話か八話ってところでっしょうか?

 次回は、ヒロイン(二人目)と勇者サイドについて書く予定です。あまり早く来いと期待せずゆっくり待っていただければ幸いです。


感想や、評価などお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ