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少年Aの異世界漂流  作者: 樹実源峰
第一章 第二部 冒険者ヤンシング編
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第十四話 少年Aとモモタリューヌの冒険2

お待たせしました。二話目です。

「第三回戦はバードウォッチャーとカイン!!!」


 モモタリューヌの鬼が島の大鬼族オーガ討伐作戦である(?)殴り合いもいよいよ後半戦。しかし、前半の一回戦と二回戦に敗れている彼女のチームはもう後がないという状況だ。・・・そもそも四回対戦というのが不自然だ。2−2となった場合はどうなるんだろうか。


(ま、俺には関係ないか)


 そう結論付けながら俺はちらり、とモモタリューヌの顔を見る。・・・相変わらずひどい顔だが、その強面には感情という者がない。先程は口の端を歪めているようだったのだが、あれは、笑っていたのだろうか・・・?


「さぁ、3、2、1・・・勝負開始!!!」


 かけ声変わってるぞ、浩。というツッコミを送らず(恐らく待っているはずだがのせられるのは癪だ)、バードウォッチャーの試合を観戦することにした。・・・というか、あいつは本当に鳥か?

 豪快に服を脱いで上半身裸となった彼は、どうやら着やせするタイプというやつらしい。服の上からだと分からなかったがそうとう引き締まった体をしており細マッチョという感である。ばさり、と背中の羽を見せつけるように伸ばしている。

 それに対する大鬼族のカインとやらは、先程の二人と同じく、でかいマッチョだった。以上。


 正直、バードウォッチャーが勝てるヴィジョンが見えないのだが・・・、どうなることやら。


 そう思った瞬間、二人は動き始めた。


「・・・ふん」


 一瞬で掻き消えた二人は互いに相手が先程居た場所の後ろにおり、互いの姿を認めるや否や互いに一歩で間合いを詰める。バードウォッチャーの方はまだしも、あのカインと言う筋肉だるまは、外見の割りにはかなり敏捷力が高いんだろうな。そんな感想を抱きながら試合を見守る・・・・


「んぐっ?!・・・おい、アンジェラ、そこはやめろ」

「・・・え?あ、痛かったですか?」

「ああ」

「でも健康にいいんですけど・・・」

「・・・チッ、そのままやっててくれ」

「はーい」


 さて、お互いに間合いを詰めた後、互いに拳の一撃を放ち激突。凄まじい音が鳴り二人は吹っ飛ぶが、どちらも場外の少し前で踏みとどまった。そして、再び間合いをつめてカインは飛び蹴りを繰り出す。

 タイミングを読んだ一撃。回避は間に合わない。・・・しかし、その時バードウォッチャーはにやりと笑い、あろうことかその胸で受け止めた・・・。


「かかったな」


 そんな呟きが俺の耳に届く前に、飛び蹴りを放ったカインが吹き飛ぶ。驚愕の表情を浮かべながらもなんとか場外直前で踏みとどまったカインにバードウォッチャーはまたまた一瞬で間合いを詰めて追い討ちをかける。

 ラッシュ。かと思いきやローキック。ソレを避けた所で腹に凶悪な一撃を喰らうカイン・・・。どう見てもどちらが優勢かは目に見えていた。

 そのまま、・・・俺は一時間くらいに長く感じたが実際は数分くらいだったらしい・・・の間バードウォッチャーは攻撃の手を緩めず最後に相手の顎を蹴り上げて勝負は決した。・・・勝者はバードウォッチャーだ。


「お、オォォォォォォ!!!!!!!なんとバードウォッチャー選手勝利!!相手を寄せ付けない完全な勝利でした!!!」


 そのバードウォッチャーは実に優雅に落ちている服を拾って来た後、何事も無かったかのように仲間の所へ戻っていく。

 そして、モモタリューヌが前へ進み出る。その威圧感に数人の大鬼族が気圧されたのか後ずさるが、族長らしき男は堂々とした態度で彼・・・もとい彼女と向かい合う。


「お、おら、もうだめだア・・・母ちゃあん・・・今そっちいくだア・・・」

「うぐ・・・おらは無理だ・・・おいてけ・・・ガクリ」

「ぐっ、精神おせ・・・・ん・・・・・・」


 ・・・大鬼族は阿鼻叫喚の地獄絵図だった。怖いな、モモタリューヌ。


 チラリ、と後ろを見るといつの間にかアンジェラは気絶していた。・・・臨戦態勢に入ったモモタリューヌはそれほどまでに恐ろしかったと言っておこう。俺が何故影響がないと言うかと恐らくだが、『スロット2』の『俺の意識外の攻撃に対し、衝撃を0にする不可視の障壁を発生させる』という効果が働いているのかも・・・精神的なものに作用するかは知らないが。


「・・・ぐはっ・・・・、第四試合・・・かい・・・し・・・」


 息も絶え絶えな浩の声で試合は始まる。お互いに筋肉だるまの二人の試合は俺の予想通りに動く。ゆっくりと互いに近づき合い拳を放ち、受け、弾く。ドン,ドン、と空気を振るわせながら戦う二人の姿は圧巻の一言につきた。・・・それこそ、キャストを変えて周りの死体・・・もとい大鬼族たちをどければ英雄譚の一シーンにもなったかもしれない。完全にミスキャストである。


 しかし、こいつ本当に女か、と思った瞬間吐き気がした。・・・吐き気がして来た。


 そしてしばらくすると、そのまま拳の放つ速度が上がり、お互いにラッシュとでも言う速度に上がって来たって・・・おい。


「オラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!」


 ととある話の第三部並のラッシュを始めた。ちなみに前者が族長で、後者がモモタリューヌである。・・・完全に悪役じゃないか。

 しかし、しばらくすると・・・


「無駄ダァッ!!!!」

「ぐはっ!」


 悪役が主役を・・・あっ、モモタリューヌがDI◯様だった。ややこしい・・・


「フハハハハッ、アッパーダ!!!!!」

「がふっ!!」


 そして完全なアッパーをDI◯様が・・・もといモモタリューヌが放ち完全にクリーンヒットした。そして


「マダマダダッ!!!無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!!!!」


 モモタリューヌは空中に浮かび上がった族長にラッシュを放ち、そして場外まで吹き飛ばした。ただし、俺の他の人はモモタリューヌしか意識を保ってないため、拍手などが起こることは無かったが。


####数時間後####


「「ワハハハハハハハハ!!!!」」


 族長とモモタリューヌが互いに肩を組み笑っていた。・・・正直どういう状況か分からないだろうから説明を加える。

 単純に言えば、そう、河原で殴り合って「お前やるな・・・」「へへ、お前もな・・・」というやつだ。


 そんなこんなでモモタリューヌの一味と大鬼族は酒宴を開いていた。そう、今は第五試合は酒飲み比べ・・・・だったが、完全にもう勝負が関係なくなっている。


「オデ、オ前タチヲ誤解シテイタ」

「おら達も誤解してただ。おめえがこげなよかやつたア思わなかっただよ」


 なんか訛りと言うか方言と言うかがかなり混ざり合って何とも言えないことになっている。大丈夫か、こいつら?


「今までんこたあ済まんかったのお。奪ったもんは返すけえ許してくんろ」

「ワカッタ。ケド、オ願イガアル」

「なんだあ?」

「ウン。オデト取引シヨウ。オデハオ前タチニイロンナモノヲ送ルカラ、オ前タチモナニカ送ッテクレ」

「なるほどだあ。それはいいだあ。これからもよろしくだあ」

「ウン、ヨロシク」

「じゃあ、飲め飲め。友を迎える酒宴じゃあ!!」


「「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」」」


 夜が深まるに連れ、ますます、盛り上がっているモモタリューヌたちを見る。


「なあ、浩」

「なんだ、慎也?・・・お、この酒美味いな、どうだ?」

「俺、こいつら殺していいか?・・・酒は飲まない主義だ、二十歳までな」

「・・・無視されて癪なのは分かるがやめとけ。・・・本当に飲まないのか?美味いぞ?」


 俺と浩も酒宴に呼ばれていたが俺は酒を飲まない主義だったし(未成年だからな)、大鬼族の料理の虫料理は合わなさそう・・・というか食いたくないので(美味いものが好きとはいえこういうのはあまり食べたくない)、簡易食事用のカ◯リーメイト的なバー状の物質を食っていた。しかし、万能だな、これ。アンジェラは既に寝ていた。


「俺も寝るか」

「俺はもう少し飲んでから行くわ。おやすみ」


 手持ち無沙汰となった俺は寝袋を敷いて寝た。


####


 次の日、再び帆の張らないヨットに乗って帰った。そしてギルドで、報酬以上の高額を受け取った。・・・正直割りに合わないほどに高額だったが、そのあとにウィンクされて『モモ商会ヨロシク』と言われた。死ぬかと思った。やった場所はギルドだったからあっという間に地獄に変わってしまった。・・・正直、これでも足りないんじゃないかと思った。


 そしてモモ商会の三人・・・ん?なんか一人足りない気がするが気のせいか・・・は、ささと帰ってしまいどのような事業をしているか教えてくれなかった。・・・まあ、いいが。


 その後、ギルドカードは俺とアンジェラは完全に金色に変わり、浩は銀色に変わった。まさか、モモタリューヌの最後のウィンクが経験値といて処理され・・・いや、気のせいだ。うん。


「さて、帰るか」


 そう言って俺らは宿に帰った。今夜は美味い食事と柔らかい寝床が待っているはずだ。・・・もう泊まり込みの依頼は勘弁だ、と思った。

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