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少年Aの異世界漂流  作者: 樹実源峰
第一章 第二部 冒険者ヤンシング編
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番外 シスターの優雅な一日

番外編となります!別に読まなくともストーリー進行に影響はありません。あと、今回の主人公はアンジェラさんです!

 人助け。

 それは人を助ける尊い事。とは、アンジェラが信じていた神『ヤルハ』の教えだった。

 もちろん、彼女自身、信仰する『神』が変わったとは言え、人助けは大切な事だと思っている。その為には全力を尽くす事をいとわない彼女だからこそ、『神の導き(ガイダンス)』という神業級ゴッズ特殊能力スキルの持っているのだろうと、いつか彼女の父は言っていた。


 『神の導き』・・・神業級ゴッズ特殊能力スキルの中では最も有名なものである。その情報源ソースは、昔の英雄の話、『千槍ゴッズランス』シャーテンという英雄の物語だ。


 彼の仲間の一人で、シスターである彼女、シル・クーリナは清楚な聖職者でシャーテンが毒を喰らった時、大けがをした時、村人を助けようとした時に力を発していたのだという。誰かを助ける時は無限大にパワーを呼び寄せられる『神の導き』の能力を使って。

 だが、その彼女は人を信じ込みやすいという性格を利用されて、英雄シャーテンに敵対していた者に毒殺されてしまったのだが、彼女はそれでも、最期までその者が改心する事を信じたのだと言う。


「・・・でも、このスキルはなんなんでしょうか?」


 そうアンジェラは呟いて二つの派生能力を見る。先日、メルトスライムを倒した時に得た新しい力だ。だけど、英雄譚にこの能力の名前が載っていたことはなかったため、彼女もその日まで知らなかったのだ。

 その二つの能力は『加護』と、『慈悲』であった。その名前から察するに人を助ける為の能力なのだろう。しかし、何故か詳細を見ることができなかったのだ。


「どういうことでしょうか?普通これで見れる・・・と皆さん言っておられましたし」


 何度かその名前の所をタッチしてみるが、全く反応していないのか説明が出てくる事は無い。でも・・・


「『神の導き』が消えた訳ではないですからいいんですけれども・・・」


 やはり分からないのは不安である。


「まあ、気にしても仕方ありませんし、食事してからクエストに行きましょう」


 えいえいおー、とやって彼女は食堂に向かった。


 彼女の現在いる宿は安い割に結構美味しい食事が出ると専らの噂だが、実のところ冒険者のみが寝泊まりできる宿になっている。なんでも宿の主人が昔ある冒険者に救われたらしく、冒険者に恩返しがしたいと始めた宿なのだとか。

 そのため、部屋は六人一部屋となっており、冒険者が仲間を募集するのにぴったりな場所となっているのだ。


 とは、言ってもアンジェラと彼女の主人である雨川慎也はちょうど六の倍数の人数が止まった時に訪れた為、実質の二人部屋となっているが。


 と、そんなことを考えていると自分の目の前に誰かが座る。また、誰かが自分をナンパしようとしているのかもしれないと考えて顔を上げてみるとそこにいたのは意外な人物だった。


「シンヤ様!?」

「どうした、アンジェラ。朝から機嫌でも悪いのか?」


 そう問うてくるのは彼女の主、シンヤだ。『神』を冠する特殊能力スキルの持ち主で、彼女の知る限り最強の人物である。そして、彼女の好きな人でもあった。


「あ、あうあうあう・・・」


 途端に思考回路がショートし、顔が赤くなっていくアンジェラの内心を知ってか知らずか平然とした顔で朝ご飯のトースト&スクランブルエッグを食べながら彼は口を開いた。


「まあ、機嫌が悪いんだったら済まないがちょっと今日は独りで出かけたい所があるのでな。今日は別行動で構わないか?」

「あ、あうあ・・・は、はい!シンヤ様の望むままに!!」

「そ、そうか・・・。やけに気合いが入った返事だな?そんなに一人でいたかったら言っても良いんだぞ?」


 何故か今日は妙に優しい慎也が気になったが、彼に気を使われていると知っただけで彼女は満たされてしまったので、もうどうでも良い気分になる。本当に身も心も委ねたいと考えた時に彼女の思考は冷静になった。


(だ、ダメです!!そ、そういうのはまだまだ・・!!)


 何を考えたのかは知らないが、恥ずかしそうである。


「・・・ま、とにかくはだ。今日は別行動だ。なんなら自堕落でベッドに一日中ごろごろしてても良いんだぞ?」

「い、いえ、いいです・・・」

「そうか。じゃあ、俺は行く。じゃあな」


 いつの間に食べ終わったのか慎也はお盆をもってこのテーブルから去っていく。


「わ、私も食べましょう」


 そういって恥ずかしさをまぎらわせるかの用に彼女はご飯を食べ始めた。


####


「・・・どのクエストがよさそうですかね」


 昼頃、ギルドの中に彼女はいた。酒場のような喧噪が一日中溢れているここはしかし、今日は別種の騒がしさに包まれていた。その原因は、人離れした美しさを持つアンジェラだった。

 ある種の芸術品のような美をはなつ彼女はそれだけで周りを魅了してしまうのだが、声をかける男はいなかった。何故か?理由は簡単だ。彼女の主人が怖いからである。


「あ、これなんか良さそうです♪」


 そんな周りの微妙な雰囲気を無視しているのか、はたまた知らないのかフンフンと鼻歌を歌ってご機嫌そうな彼女は、周りを魅了するスキップをしながらクエストカウンターに向かうのであった。


####


「到着です!」


 三十分後、アンジェラはとある教会にいた。そこの信仰している神は『ヤルハ』。そう、彼女がかつて信仰していた神であった。

 しかし、彼女はここに礼拝をしに来た訳ではない。仕事をしに来たのだ。教会の扉を開けてヤルハ神に敬意を示すべくお辞儀をしたあと、教会へと入る。荘厳な雰囲気を放つ教会内部は、それだけで静寂を保つための力を持っているように、重く、しかし優しい雰囲気を出していた。


「これはこれは・・・シスター殿、我が教会に何の用事で?」


 そう言って彼女を向かい入れたのはこの教会を管理している神父のアルンである。彼は、彼女の事を他の教会から来たシスターだと思っているのだろう。


「はい、クエストで掃除のお手伝いに来ました!!」


 にっこりと笑ってそう言うと、神父の方もにっこりと笑い返した。


「そうですか。お手伝いの方でしたか。・・・こちらへどうぞ」


 そういって案内されたのは掃除用具を置いている部屋である。


「ここからお好きな道具をお使いください。・・・それと、お掃除用の服は・・・」

「大丈夫です。これで行けます」

「あぁ、そうですか。それはよかったです。それでは、私は礼拝室を掃除していますので何かあればそちらまで」

「分かりました。ありがとうございます」

「いえいえ、こちらこそありがとうございます」


 そう言って神父はその部屋から出て行った。


「ふっふーん、久々の教会掃除です♪」


 そして、彼女は手近なモップを取って・・・


####


「な、なんですか・・・これは・・・?」


 時は午後七時。掃除の終わった教会を見て、神父やシスターたちはその変わりように絶句していた。

 時が流れ少し汚れていた壁が真っ白に。ところどころ汚れの目立つステンドガラスは新品同様に、床は顔を近づければ移るのではないかという程にピカピカに、とまるで新築の時のような教会へと生まれ変わっていた。


「ご苦労様でしたー♪」


 フンフン鼻歌を歌ってご機嫌なアンジェラはそう言って去ろうとすると、ようやく神父は意識を取り戻した。


「ちょちょちょちょっとまってください!お礼が・・・」

「あ、お礼ですか?別に私は要らないですよ」

「そ、そういうわけには行かないんですって!!」


 中々お礼を受け取ろうとしないアンジェラを引き止める事数分、彼女は受け取る事に同意した。


「・・・すこし、祈りを捧げていきます」


 だが、受け取った彼女は先程のようにすぐ帰りはせず教会へと入っていった。それを訝しんだ神父が中に入るとなんと彼女は、さっきの報酬を袋ごと寄付金箱に入れていた。

 そして、額を拭うような仕草をして「よし、一仕事終わり」とでも言うような満足げな顔をして教会を立ち去った。


「・・・一体彼女は何者なんだ?」

「さぁ?ひょっとしたら街の有名人かもしれないですね。今度聞いてみます」


 違う所で、彼女は彼女なりの伝説を作るのであった。


####


「ただいまーっです♪」


 フンフーンと帰って来た彼女を出迎えたのは


「おう、お帰り。やけにご機嫌だな」


 主の慎也だった。


「フフーン、分かりますか?もう今、私すっごく気分がいいんですよ〜!」

「そうか、それはよかった。ところで、お前に渡したい者があるんだが」

「私に渡したい者ですか?」


 キョトンとして慎也を見つめるアンジェラ。


「あ、あぁ。ま、開けてみてくれ」


 そう言って慎也が、珍しく歯切れ悪く言って渡したのは小さな箱だった。


「なんでしょうか、これ?」


 そう言ってアンジェラは小箱を開ける。すると、そこには


 ハートダイアモンドと呼ばれるピンク色のダイヤをつけた指輪が入っていた。


「え・・・?」

「あー、ほら。お前今日が誕生日なんだろ?」

「なんで、それを・・・?」

「あー、クレンが前に言ってたんだよ。もう少しでお前の誕生日だってな。・・・まあ、俺を助けてくれた礼もまだだったしな、ってことでな」


 クレン。その名前を聞いて、彼女はつい数日前の惨劇を思い出した。燃えた村と村人たち。その中には彼女と親しく付き合ってくれた人々がいた。毎年毎年、彼女の誕生日となると盛大に祝ってくる村の人たち。そんな彼らは、もういない・・・。


「ぅっ・・・」


 そう考えると、アンジェラの目には涙が浮かんで来た。それを見て慎也は言う。


「おい、アンジェラ。泣きたいなら泣け。泣くのを我慢するのは体に悪いらしいからな」


 そんな事を言った慎也に彼女は抱きついた。これ以上なく抱きしめ泣いた。


「安心しろ、お前が俺の従者である限り、絶対に見捨てはしない」


 そんなアンジェラをそっと、しかし力強く抱きしめる慎也。


 そんな彼らを月だけは優しく見守っていた。

 誰だこれって思った方、怒りませんから手を挙げて。

 なんて冗談です。自分でも書いてて思いましたよ、こいつ誰やねんと。いや、慎也君だって冷血漢の無慈悲男ではないですから、ね。

 ツンデレでもないですよ?・・・多分。


 さて、今回は、学校に今回の話のプロットを置いて来てどんな話にするのかが分からなくなっているため、番外編として製作しました。楽しんでいただければ幸いでございます。特に意味なんてありません。アンジェラは優しいよーとか慎也君はこんな人だよとかそんなこと書きたかっただけです。


 さて、次回予告というかこれからの展開予告。来週からシェーテル事変編に入ります。シェーテル事変と言うんがどういうものなのか、新キャラ出るのか?新キャラはロリか、ロリなのか、などと楽しみにしていてください。早ければ来週更新しますね。では、シーユーアゲイン、ハバナイスデイズ!

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