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少年Aの異世界漂流  作者: 樹実源峰
第一章 第二部 冒険者ヤンシング編
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第十話 少年Aとスライム

「えっと・・・。たしか、依頼はサラマンダー二体の討伐だったと思うんですけど・・・?」

「何かマズいのか?」


 サラマンダー討伐のクエストを終えて、クエストの報告をした俺に恐る恐る尋ねて来た受付嬢に俺はそう返した。証拠としてギルドカードも提出しているため、嘘の報告ではない事は分かるはずなのだが・・・。

 ちなみに、ギルドカードには自分の受けているクエストの進捗状況を表示するクエストカウンターと言う機能がある。大変便利であるし、同時に虚偽の報告を防ぐ効果もあるのだ。

 そして、今回の俺のギルドカードにはこのように書いてあったのだ。

 サラマンダー討伐数41/2と。


(え?これ、なんかの冗談ではないんですか?なんで昨日入ったばかりの人がCランクの壁とも呼ばれるサラマンダーをこんなに、しかも短時間で狩って来ているのよ・・・?というか、これが本当ならこの人シルバーのはずなんですけど)


 呆然としてギルドカードを見る受付嬢のエリーナだが、そのギルドカードはにもその色を強情にも変えようとしなかったのを見て、ため息をつく。今日は厄日か・・・と思うが、それを答えてくれる人はいなかった。


「では、回収された素材はどうされますか?」

「ん?どうするって?」

「自分の手元においておく事もできますし、こちらで買い取ったりもできます」

「・・・んー、使い道無さそうだから売るか」


 そうして、容量拡大の魔法が使われている冒険者必須のアイテムポーチから彼が取り出した素材の量は41体を討伐した割には少なかった。


「・・・少しは手元に置いておくのですね」

「いや、これが全部だが?」

「はっ?」


 と言って、彼女は再度机の上の素材を見る。・・・多く見積もっても5体分くらいのそれを。


「えと、これじゃ、41体分もないですよ?」

「ほとんど原型をとどめなくてな」

(どういう怪力してんのよ!?)


 さらっと告げられた衝撃の事実に彼女は驚きを隠せず、じっと彼を見つめる・・・が、どう見ても鍛えているようには見えない。精々、木こりとかそこらくらいで、ある。

 だが、そういった者たちが過去にも原型をとどめないモンスターの討伐をした人間もいたのだ。それらは、そう言った関係の特殊能力スキルを持っていたが、それでもサラマンダーを、等という話は残念ながら、彼と同じCランク帯では聞いた事が無い。・・・あるとすれば、それはBランクの上位に名を連ねる強者たちや、Aランクに名を連ねる怪物たちだけである。つまり、世界最強の人々だ。

 一体何者なのよ!!と、ギルドカードに叫んでしまいたい気持ちを抑えつつ、ギルドカードに刻んである称号を確認する。すると、登録称号欄にはこう書いてあった。『シスターの主人』と。

 ・・・もはや訳が分からないと、彼女は頭を抱えたくなった。

 そして、そんなエリーナに追い打ちをかけるように慎也は言った。


「で、次のクエストだが・・・」

「もう、行くんですか!?」


####


「それでシンヤ様、次はどれを討伐なさいますか?」


 新しいクエストを受けて来た彼を出迎えたのはアンジェラだった。周りの男たちの下卑た視線を気にせずに真っ直ぐ彼を見つめる。

 そんな彼女に彼は目を合わせる・・・こともなく、周囲に視線で威嚇していた。何、俺の従者を見ているんだ、と。その鋭過ぎる眼光に何人かは怯え、何人かは目をそらした。一部は泡を吹いたが。


「次はサラマンダーと対をなす凶悪なモンスター『メルトスライム』を討伐しろって」

「え?!あの、【災厄の化身】をですか!?」


 なんだ、その二つ名は・・・?と、彼は思った。彼に取ってのスライムは、某RPGの序盤から出て来て主人公に蹴散らされるあの『スライム』だ。中には人を飲み込み消化するとか言う設定もあるので『メルト』もどうせそこから来ているのだろうと思っていたのだから、そのアンジェラの驚きようと、周りのさっきとは違うものにおびえる様子には流石におかしいと思った。


「・・・一応聞いておく。どんなモンスターだ?」

「はい、それはなんとも説明しにくいので実物を見れば分かります」

「・・・そうか」


 そして、その足で依頼のあった森の中の泉に向かう俺たち。途中、出てくる雑魚は全て黒刀ノワールで切り捨てる。・・・中々に切れ味が良い。流石は伝説の武器。


 そして、その件の泉に着き回りを見渡していると・・・


「ん・・・?あれか?」


 それは緑色のジェルっぽいなにかだった。某RPGみたく可愛いお目目や、口は付いておらず、どろっとした体があるだけ。・・・。


「いえ、あれは普通のスライムです。初心者の経験値稼ぎようです」

「・・・そうか」


 普通のスライムか。・・・なんだ、ひょっとしてメ◯ルスライムとか、キン◯スライムとかいるのか?もやもやしながら黒刀ノワールを振り下ろすと、あっさりと両断されて、切断面から枯れるかのようにしぼんで行くスライム。・・・弱い。


 と思っていると次は茂みから赤いスライムが出て来た。こいつが件のやつか。そう思って黒刀ノワールを振るうとあっさりと、さっきの緑と同じ結末をたどる赤いの。


「それも普通のです」

「・・・」


 なん・・・だと・・・?とか思っていると急に湖の水が真ん中へと集まるように渦巻きが形成される。それに気付いた俺はしかし、なにもせずボーッと見てる。なんか、湖の主でも現れるのだろうか。・・・だが、俺はメルトスライムに用があるのだ。


「あっ!あれが、メルトスライムです!!」

「なに?」


 しばらくすると、べ◯ベトンのような水の塊ができて、それを指差しアンジェラはそう言った。

 ・・・これが、メルトスライム?


「気をつけてください。メルトスライムは体が強烈な酸で出来ているのであれの体液や体に触れるだけで溶けます!!」

「服とかだろ・・・?」


 はいはいどうせ薄い本のお約束ですよと聞き流そうとした俺の言葉はしかし否定された。


「全身です!!なんで服だけを溶かすんですか!!」

「コイツ本当にスライムなのか・・・?」


 凶悪なスライムだ、とか感想を抱いている間にも迫ってくるので俺は舌打ちして、特殊能力スキルを使う事を決めた。危険な事を敢えてやる意味が無いからな。


「物理現象介入。三メートル先に幅十メートル、縦十五メートル、奥行き三メートルの物理現象の一切を停止させる障壁を構築」


 その瞬間、スライムは物理現象を原子レベルまで停止させられ、あっという間に凍り付く。


「続けて、メルトスライムだけに影響するブラックホールを形成する。重力加速度は、無限大」


 その命令を出したとき、思わず膝を着けそうな程の疲弊を感じ、俺は何かを失敗したと、直感する。俺の『近神者パーフェクト』は、下した命令の困難さに応じて消費するHPやMPが多くなる特殊能力スキルだ。なので、俺はこの疲労感から己のやった事の困難さを実感した。俺の命令を思い出す。そう、俺はこういった。『「メルトスライム」だけに影響するブラックホールを形成する。重力加速度は、無限大』、だ。・・・目の前のメルトスライムに固定するのを失念していた。と、いうことは、だ。


 目の前のスライムが、俺の遥か頭上に形成されたブラックホールを吸い込まれる。・・・だが、それだけでは終わりではなかった。泉が再び盛り上がる。


「・・・おい、下がれアンジェラ」

「ひゃうっ?!」


 嫌な予感がしたのでアンジェラを抱き上げて後退すると同時に泉から巨大な大きさのメルトスライムが出てくる。そして、すぐにブラックホールへと吸い込まれた。


「クソ・・・、やっちまった・・・」

「あの・・・、シンヤ様・・・?」


 ちらり、と腕の中を見ると顔を赤くしたアンジェラがいて、ようやく俺は彼女をお姫様だっこというアレをやってしまっているのに気付き、落とした。


「あうっ!?な、何するんですか!?」


 落とした事に抗議するアンジェラを完全に無視して俺はブラックホールを見上げる。そこには続々と、地面から、湖から、空から、川から様々大きさのメルトスライムが吸い込まれて行く。


「・・・まさか、な」


 更に嫌な予感がして、ギルドカードを見ると・・・ぐんぐんとレベルが上がっていた。


「・・・あの〜、シンヤ様、あの黒いのはなんですか?」

「・・・多分メルトスライム消滅魔法」

「ほえ〜、シンヤ様は魔法を使えたのですか?・・・あと、どのくらい続くんです?」

「・・・多分この世のメルトスライムを全て滅ぼすまで」

「ほへ〜」


 呆然としながら見上げるアンジェラが、しばらくすると『ん!?』と驚いたような表情へと変わり、俺をもう一度見てくるが、俺は無視する。重要なのは、だ。どこまでレベルが上がるのか、だ。

 そんなことを考えている間に更に三体の、かなり大きいスライムを吸い込み、レベルが60を超える。・・・コイツと戦う前は30だったというのに、だ。


 それから、一時間後、そのブラックホールはこつ然と消え、俺は顔がひきつりかけた。


 レベルが、超人と呼ばれる域の100レベルを目前とした96まで上がってしまったからだ。


「おー!!おーおー!!」


 俺と同じくギルドカードを覗いているアンジェラは、俺とパーティーを組んでいる為に経験値が共有されている。・・・俺とほぼ同レベル・・・つまり、人間やめましたレベルにまで上昇している事だろう。

 ちなみに、俺のギルドカードは変色を起こしたが、なぜか、四分の一が金色で他が銀色と言うあいまいな色になっていた。・・・迷ってるのか、こいつ?


 ただ、まあ、レベルが上がるのは良い事だと思う。カスカスだったHPとMPは、先程とは比べ物にならない程に上昇し、体の倦怠感もほぼ消えていた。・・・おそるべし、レベルアップである。

 その実際的な数値を見よう。


名前:ヤンシング

性別:男

種族:人間

年齢:17歳

出身地:不明

職業:冒険者

所持金:80,205,607,000C

登録称号:シスターの御主人様


Lv.96

HP:2142/3752(6873)

MP:5483/8432(10072)

ATK:628(4896)

DEF:471(1345)

AGI:4758(8765)


装備品:冒険者の帽子(DEF+3)

   :冒険者の服(DEF+4)

   :俊足の靴(AGI+17)

   :黒刀ノワール(ATK×5)


特殊能力スキル】:『近神者パーフェクト』-{スロット1}{スロット2}{スロット3}{スロット4}{スロット5}


称号:異世界人・人殺し・シスターの御主人様・近神者・悪魔・サラマンダーキラー・メルトスライムデストロイヤー


 ステータスが様変わりしていた。あきらかにHPとMPとAGIが偏り過ぎである。というか、初期装備の防具がカスのようだ。・・・実際カスだ。防御がとても低いが、これは多分アレだ。『当たらなければどうということはない!!』というやつなのだろう。HPは高いが防御力が低いのであんまり当てにはできない。


 ただ、実のところこのレベルで全員が全員このようなスペックになるのではない。これは称号の効果である。称号は飾りではなく、ボーナスを与えてくれるものもあるのだ。


『異世界人』・・・異世界より来たりし者の称号。全てのステータスに補正が掛かる。


『人殺し』・・・人を殺した者の称号。その勇気に脱帽。攻撃力に補正が掛かる。


『シスターの御主人様』・・・アンジェラの主人の持つ者の称号。アンジェラが近くにいる時、大幅にステータスがアップする。


『アングリーピッグキラー』・・・アングリーピッグを倒した者の称号。突進する時の威力が上がる。


『サラマンダーキラー』・・・炎の精サラマンダーを倒した者の称号。炎属性に対する耐性(小)が付く。


『スライムデストロイヤー』・・・スライムのトップ、メルトスライムを滅ぼした者の称号。毒耐性(完全)が付き、液体化ができる。


『近神者』・・・神に近き者の称号。全てのステータスに補正を得る。ただし、100レベルごとに加算される。


以上が俺の持つスキルだ。正直、アングリーピッグのやつは使い道が分からない。それと、メルトスライムの液体化。液体化する事で何のメリットがあるのか。デメリットの方がでかいなら使いたくない。と、いろいろ言いたい事があるが、毒耐性は恐ろしい。もしかして、メルトスライムは酸でできているだけじゃなく毒も持っていたのだろうか、とても恐ろしい。・・・よく、Cランクの人々狩れるな・・・と感心する。


 そして、俺は現実と向き合う。メルトスライム・・・全滅してたのか・・・。

 ちらっと、ギルドカードのクエストカウンターのところを見て、俺は公開した。


 39,968,572,759,695,259,856,684/1


 一体、世界とはどれだけ広いのだろうか、ということを考えさせられた。

アンジェラのスペックはこちら。


名前:アンジェラ

性別:女性

種族:森林種エルフ


年齢:185歳

出身地:エルフリア森林国

職業:シスター


Lv.98

HP:2160/3560(6759)

MP:3680/5760(7890)

ATK:1048(2679)

DEF:968(2370)

AGI:608(1656)


装備品:風の護符(DEF+14,AGI+20)

   :王家の指輪(DEF,SPD×2)

   :木の弓(ATK+5)


【特殊能力】:『神の導き』-{加護}{慈悲}


称号:一途なる者・悪魔の従者・シスター・(精神的)癒し手


『一途なる者』・・・一人の人間を愛する者の称号。その人物を思う限り強くなれる。


『悪魔の従者』・・・『悪魔』シンヤに仕える者の称号。シンヤの近くにいれば全ステータスに大幅な補正が掛かる。


『シスター』・・・神に仕える敬虔な修道女の称号。闇属性に対する耐性を得る。


『(精神的)癒し手』・・・見る者を和やかな気分にさせる者の称号。



今日はここまで。です。

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