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2人の始まり
「行ってきまーす」
一人暮らしの私に返事が返ってくる事はないが、今日も頑張るぞ。という意味を込めて、鳴りっぱなしの携帯を片手に、誰もいない部屋に向かって挨拶をするのが私の日課である。
マンションを出ると、あまりの眩しさに目を細めた。
夕方だというのに気温を太陽も下がる気配がない。
私は電車に乗り、仕事場へ向かう。
「おはよう」
まるで女王様かの様にキャッシャーに入り、ロッカーの鍵を取り、更衣室に入る。
ドレスに着替え、ヘアメイクをしてもらう間に物凄い量のメールに返信しながら、私はもう一人の私「ヒトミ」へと変身する。
私の職場『club GOLD』には在籍して半年、成績も毎月No.5には入っているので、そこそこ大きな顔をして歩ける。
さあ、ヒトミの1日が始まる。