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かの名著の序文より抜粋
――このように、数多の先達たちの功績を礎にして、我々は、大いなる宇宙の混沌から、一つの真理を掬いあげるに至ったのである。
真理とは常に単純で美しく、そうでありながら普遍的な法則のことを指す。
少なくとも我々は、そこに至るために、それのみを目指して、日々の研究を重ねたのだった。
だからこそ。その理念と、その成果を書き記した本著の要諦もまた、美しく単純に述べられなくてはならないだろう。
これから先の、複雑で、難解で、時に退屈な数百ページは、畢竟、次の事柄を主張しているにすぎない。
すなわち――
『精神とは、物質である』と。
――――――T・R技術研究所編纂『形而上下の物理学』序文より