仲間と進展
部活終わりの帰り道。学校を出て少ししたら、
「ヤバっ!!部室にケータイ忘れちまった!すぐに追い付くから先行っててくれ。」
誠二が走って行った。俺は一人で駅まで歩いたが誠二は戻って来ない。そんなうちに駅まで着いてしまった。
仕方なく改札入口で待っていると、後ろから声をかけられた。
「お前、志保からあのこと聞いたろ?」
そいつは学校の廊下で何度かすれ違う奴だった。
知り合いではなかったが、かなりのイケメンだからすぐに印象がつく。
身長は180cmありそうなくらい高く、スラッとした体格で入学式から今までずっと女子からモテモテと噂で聞いてある。
「感謝しろよ。お前と話すためにわざわざ部活途中で抜け出したんだからな。」
「俺に何の用?中村さんの話しってもしかして青山さんのこと…?」
「もちろん。俺は志保と幼なじみだから、アイツから青山のこといろいろ聞いたよ。」
「じゃあなんでわざわざ俺に用があんの?」
「…手っ取り早く言うと、お前のクラスに青山を拉致した仲間がいるはずなんだ。だから、そいつをなんとか見つけてほしい。」
「……なんで、なんでそんな人がいるってわかるんだ?ってか拉致とか、やっぱし中島か誰かに誘拐されたのか?」
「この歳で誘拐とか笑えるけど、その通りだ。
詳しく説明すると長いんだけどな。簡単に言うと、俺の仲間が中島の仲間の中に潜んでる。俺の仲間が、アイツラの仲間の一人がメール打ってる最中に後ろから覗きこんだら、
"2年B組であるお前のクラスを引き続き監視しろ"
ってメールを送ってたらしい。2年B組はお前のクラスだ。だからそいつを探すのを手伝ってほしいんだ。」
俺は黙って聞いていたが、代々のことはわかった。
「あんまりこの事に手伝うのは危なそうだけど…、でも誘拐されてるって知ってて青山さんをほっとくことも出来ないな…。」
「悪いけどいろいろ事情があって、時間が無い。青山が殺されるかもしれないんだ。迷ってる時間は無い。」
俺は驚いた。
「殺されるって、どういうことだよ!?」
「アイツらの目的は金と青山自身を手に入れるってだけの腐った連中だ。
そのうち青山の家族に、青山詩織を人質として脅迫してくるはずだ。そうなる前になんとか助けだしたい。」
俺は今度はぼーっとして聞いていた。
これはまるでドラマや小説の話の展開みたいだ。こんなことが身近にあるなんて…。
その男に再度、協力するか問われた。
「…わかった。協力するよ。
でも質問だけど、あんたらの仲間は中島のとこにスパイみたいな感じの奴がいるっぽいから、そいつらだけで青山さんを助けに行けばいいじゃん? それに俺が仮に同じクラスの中島の仲間を見つけたとしても、特に意味ないし何も変わらないと思うけどな…?」
そいつは関心したような顔をした。
「お前いい質問だな~☆ 俺の仲間は確かに中島の仲間としてあっち側にいるけど、中島の仲間の溜まり場と青山の居場所は別々だから、青山がどこにいるか分からないんだ。
多分、居場所知ってるのは中島と本当の中島の仲間である人間だけだろうな。
俺の仲間は、最近中島の仲間に加わったばっかだから居場所は教えてくれないんだ。アイツらはグループとして身内の信頼関係が厚い分、新入りとかそれ以外の奴らにはかなり疑いの目をかけてて常に慎重だからな。 そこでもし、お前と同じクラスである、中島の仲間を見つけたら、そいつを尾行するか青山の居場所を吐かせるかして、知ることが出来るってこと! 俺の仲間はまだまだ中島のグループのスパイとして潜りこませたいから少しでも危険なことは避けたいんだ。」
説明が長すぎて疲れたが、こいつの言ってることが代々分かった気がする。
「なるほど、代々分かった。協力はするけど、中島の仲間が俺と同じクラスってだけじゃ情報が少ないと思うけど…?」
「俺の仲間が、中島の仲間がメールを送信する時に、送る相手の名前の名字の一部に微かに " 田 " っていう文字が含まれてたそうだ。 俺の仲間がメール見てるの気付かれて、メガネがちょうどその時に中島の仲間に割られてな…。よく見えなかったみたいだ。」
メガネ割るとかヤバいだろ。やっぱし雰囲気的に殴られたのかな。
「じゃあ、名字に" 田 " がある人を調べればいいんだな。分かった。」
「不審に見られないようにやるんだぞ。手段は全部お前に任せる。早ければ明日からでも中島の仲間を探してくれ。
それと、お前とはこの先話すことがまだまだあるから俺のアド教えとく。」
アド交換したとき、そういえばこいつの名前を知らなかったことに気付き、名前を見てみた。
" 佐藤勇人【はやと】"
え…!!よくこの名前ってまさか…。あの高2のイケメン芸能人の"ハヤト"? マジで…。似てるけど…。気付かなかった。驚いた。
この高校生活1年半通して全く気付かなかった。みんな気付いてたのかな!?
そういえば、俺はこいつがモテると聞いてから、こいつの噂は気に入らないと感じ、誰かがこいつの話題出そうとしたらそこからすぐ離れて聞かないようにしてたけど…、こればかりは聞きたかった。
今更だが、なんとなく後悔した。
それから勇人に、《気をつけろ、何かあったら直ぐに俺にしらせろよ。》、と何度も言われてから勇人は電車に乗って帰って行った。
今回は話しが長くなってしまいましたm(_ _)m
なにか間違いや不適切な点、理解不能な点があったらどんどん書き込んじゃってください☆o(^-^)o