不安
学校から青山さんの家までは電車3駅分だ。駅から歩いて5分、家に着いた。
直人がインターホンを押したら家から母親らしき人が出てきた。青山さんに似て、美人だ。みんなは挨拶して早速青山詩織は家にいるか聞いた。母親は黙りこんだ。
「詩織さんに何かあったんですか?」
直人が聞く。沈黙の後に母親はみんなを家に入れた。母親は話し出した。
「詩織は5日前から帰ってきてないのよ…。友達の家にお泊まり会するってメールで送ってきたの。でも学校から詩織が欠席してるって電話がきたから心配なの。」
「詩織と連絡とったの?」桜が言った。
「連絡したわ。学校は休むけど、友達と一緒に1日中遊んで過ごしたいからいいでしょって返事がきたの。まあ、高校生だしそういう時間も与えた方がいいのかなって考えたから許してるの。」
「最近詩織さんに何か変化がありましたか?」直人が静かに聞く。
「特にないけど…。アナタたち何か知ってるの?今日会うのが初めての人もいるし、ここに大勢で来られるのなんて変ですよ。」
「いえっ、何も知りません(汗)。友達なので心配してただけです。」
母親にあのことを言うわけにはいかなかった。この人は青山さんの異変を何も知らなそうだと悟ったからだ。
俺達は母親と別れて家を出ることにした。
「なんか手がかりはつかめたかつかめてないか分からないねー。」
「詩織のお母さんは何も知らなそうだったからね…。」
志保と美弥が言う。
「でも、なんかこのままだと詩織さんが危ない気がすんぞ?」
「俺もそう思う。中島が何か仕組んでるかもしれないな…。」
誠二と俺が共感した。直人はずっと黙って考え事をしていた。
「とりあえず帰ろっか。わたしお腹減ったよ~。何かおごってね、なおと☆」
「マジでっっっ!(汗)、まあいいよ。今日は帰ろっか。」
これで解散になった。今日は考え事が増えた気がする。詩織がなんで帰らないのか、詩織になにがあったのか…。まだ全然分からない。
…家から出てきた6人を陰から見ている坊主の青年がいた。その青年の顔は強ばっている。
(注)この坊主は中島じゃありません(笑)