お坊っちゃんとアイドル
昼休みが終わり、部活の時間。俺と誠二はテニス部だ。でも決してテニスが好きで無く、ただ友達欲しさと練習が楽なだけだから入部しただけだ。誠二も同じ考えだ。
直人はバスケ部で、かなり強いらしい。
帰り道、誠二といつも通り帰宅する。
「中島ウザくね!?テニス上手くも無いのに部長ぶってさー。今日なんか俺が座って休んでたら、学校周り10周しろとか言ってきたし…。」
「アイツは金持ちの坊っちゃんだからな~。きっとすぐ調子乗りたがるノッポさんなんだよ。」
「いつも顧問と仲良くしてチヤホやされてるから、気に入られただけで部長になれたんだよな。マジでむかつく!」
帰りながら中島の愚痴を言っていた。そんなとき、電車のホームに着いたら向かい側の真正面に噂のノッポさんがいた。ノッポはチャリ通学だけど…、なるほど女と一緒にいた。あの人は確か同じクラスの青山さん!?髪が長く、足も細く、モデル級の可愛さで学校で結構人気者の人だ。
あの2人は何かぎこちなく話しをしているっぽくてこっちに気付いてない。俺は誠二とニヤつき、2人であのカップルの写メを隠し撮りして直人に送った。
俺達は電車の中で話した。
「ノッポのどこがいいんだ?顔は普通だけど性格が最悪だろ…、青山さんもボケてんのか!?」
「アイツ女の前だとかなり紳士ぶってるらしいぞ。でも学校のアイドルを彼女にするとはな~。」
そういう話しをして帰り道で別れた。誠二とは中学が一緒だから降りるホームも同じだ。
帰り道にさっき写メった写真を見てみた。それにしても青山さん綺麗だな。でもさっきも気付いたけど顔が喜んでない。どちらかといえば何かに絶望した、青白い顔をして無表情になっている。中島を怖がってるようにも見える。この疑問はなんでかわからなかった。