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第2話

それは、一瞬の出来事だった・・・。


唖然とする俺と、笑う彼女。


俺は彼女から視線をそらした。


「初めて?」


いたずらに彼女が聞いた。


動けずにいる俺。


「そうなんだ。」


彼女のペースにどんどんのせられていく。


「茶でも入れてくる。」

俺はただたんに、その場を離れたかった。


立ち上がろうとした次の瞬間。


「行かないで…。」


背中全体に彼女を感じた。    



時間が止まったように感じる。


彼女のぬくもりが、俺の体を包んでいく。


俺の鼓動はどんどん早くなっていく。


「離せよ…。」


言葉は裏腹だった。


彼女は何も言わなかった。


俺には我慢の限界が迫っていた。


「離れろよ。」


さっきより口調がキツくなった。


それでも彼女は何も言わない。


「どういうつもりだよ…。」


ため息まじりの3度めの警告。


離れない彼女。


「どうなっても知らないからな。」


そして、俺たちは自分たちの傷を舐めあうように重なっていった。



腕の中で眠る彼女を見つめて考える。


名前も知らないのに・・・。


自分の考えをめぐらせているうちに、窓の外から見える月の光が、優しく俺を眠りへと導いた。


次の日は、忘れようにも忘れられない日になった。


目覚ましがわりの着信音。


「はい。」


電話に出たのは俺ではなかった。


「だから、もう知らないって言ってるじゃん!」


だんだんとキツくなる彼女の口調。


ぼうっとしていた俺の頭も、次第に目覚めてくる。


聞きなれた電話の向こう側の声に、俺は心を握られた。


声の主は・・・。俺の兄貴だ・・・。  

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