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楽園

作者: 無頼
掲載日:2026/09/06

七色の花園は、枯れることを知らず。

赤色の血流は、止まることを知らず。

橙色の太陽は、熱を冷ますこと知らず。

黄色の月光は、夜を終えることを知らず。

緑色の大樹は、命を絶やすことを知らず。

空色の海原は、波を止めることを知らず。

青色の大空は、果てることを知らず。

紫色の花弁は、落ちることを知らず。

私は夢から醒めることを知らず。

長々とすまない。

では、どうぞ。


第一手記

七月一四日。

楽園と聞いて、何を思う?

全員が楽して暮らせる場所。

大抵はそう思うだろう。

私もそう思った。

私は今中学二年で、教科書の中の物語に出て来たその「楽園」に引っかかった。

どんなものなんだろうと思った。

今、住んでいる場所より良いのだろうか。

というのも、私は内向的で、人とうまく話せない。

運動も、勉学もできない。

これでも親は良い大学を出たのだがな。

ただ家はほんの少し貧しく、金がない。

それはつくづく思っていた。

一人っ子(高齢出産だったので)で、兄弟がおらず、ろくに遊んだことがなかった。

そんな私でも友達はできた。

数少ない心を許せる友だ。

そいつとは一年からの知り合いだ。

まあ、一年の頃は思い出したくないな。

今(今の生活)もだがな。

一年の頃も、今も虐めの対象だ。

やる奴はいつも同じ。変わらない。

無視はしているが、ストレスは溜まる。

当たり前だ。

ストレスフリーな人生なぞないのだ。

学校でも、家でも。

二回目だが、私は話すのが苦手だ。

親は変なイジりをしてくる。

私は少し抵抗するぐらいで、強く言わない。

言えないと言った方が良いだろう。

虐めの事についても、親を心配させまいと、ずっと言ってなかった。

奴らは無視すれば憤慨し、手を挙げる。

ただ大振りだ。避けやすい。

そしたらまた憤慨する。

だから少し抑えはするが、当たる。

そうすれば猿供はキィキィ言って去ってゆく。

そういえば、猿というのは奴らだけではない。

親もそうだ。

理想通りに行かないとヒステリックに叫び、手を挙げ、まるで知性のかけらも無いような奴だ。

これで私より頭が良いと言うのだから、胃が痛くなる。

大学は猿山か何かなのか。

私は大学には行かない。

元から行きたくなかった。

高校が終わってまた四年学ぶなんて面倒だ。

適当に働いて、そこらへんで野垂れ死んだって私はいいんだ。

学歴がどうの就職がどうの、耳が壊れるほど言われた。

まあ私にはそれに対する鼓膜がない。


第二手記

道沿いの、学校のフェンスの向こうには桜が少し前まで咲いていた。

五月六日。

あれから随分と時が経った。

書く気力も起きなかったからだ。

三年生となった今も、猿供は私にたかる。

何が楽しいのだろうか。

特に反応しない壊れた玩具のような私を弄って。

あの友とはまだ良好な関係だ。

ただ親がうるさい。

進路だの職業だの。

前々からそうだったが更にうるさい。

いい高校へ行け。いい職業に就け。

私の人生を殺そうとしている。

私ではない。

私の「人生」だ。

私は私立に行きたかった。

ただ、家計を引き合いに親は拒む。

なぜ私が私立に行きたいかって?

やりたい事が出来たからだ。

動物関係のコース。

動物保護の仕事をしたいから。

これらはオマケのようなものだ。

本当の理由。

私の友が行くからだ。

一人でも知っている奴がいれば、拠り所というのは成り立つからだ。

私のことをよく知らぬままで、よくキィキィと言えたものだ。

まあ私から言ってなかったのだがな。

この前、言ったは言った。

ただ聞き入れられなかった。

紙のように薄い理由は通さないんだと。

虐めを受けたことのない奴はわかるまい。

外野がどうこう言おうと私は行く。

黒板を引っ掻いたような不協和音がピアノでもなく、口から出る。

声楽にでも行けば良かったものをと思い、眠る。

これくらいにしよう。

また、会おう。


第三手記

短めに行こう。

十月二十三日。

私は閃きを感じた。

楽園の正体について。

楽園とは、終点。

人の情熱の終点だ。

こうなりたいを叶えた奴の終点。

長い長い電車旅を終えた先の駅。

容姿の檻を抜け出そうとして、変な格好をした人も、終点には辿り着いた。

ただ、何か囚われたくないと抜け出しても、囚われないという信念の檻の中。

何重の檻の中に楽園はある。

その重なった檻こそが楽園と言っていもいい。

人は檻の中で自己満足と自己嫌悪を繰り返し、サイクルを築いて生きている。

私の楽園?

私の楽園は、全員が人間である世界だ。

何を言っていると思うだろう。

この世には猿と、人間がいる。

猿は、私の親と、虐める奴等だ。

奴等を人にしたい。

と言っても、そういう不条理や不平等があってこそ正しいのかもしれない。

宇宙の楽園、「地球」の不条理を叫ぶ人々は自身の楽園を築く。

楽園に楽園を築くのだ。

それが普通になったら、また楽園を作る。

楽園は続く。

永遠に。


と、まあ長々と書き連ねました。

これは誰かの実体験です。

フィクションと思った貴方は正常です。

誰かというのはここでは言いません。

私かもしれないし、私の知人かもしれない。

なんなら何処かから拾った話かもしれない。

では楽園へ、また会おう。


完

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