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 プログラムによる機能をフルに使い、私は標的である機械人形と相対する。

 機械人形の方は多弾頭ミサイルやレーザーなどを備えた完全な戦闘特化型である。

 しかも私を完全にターゲットとして捉えているのか、近隣の被害もお構い無しで襲ってくる。

 加えて可変飛行も可能らしく、此方の間合いになかなか入って来ないので内心で焦りが生じる。このままでは劣勢だろうが自動的に動くいまの私の状態で出来る事は限られている。


 はてさて、どうしたものか・・・。


《──タイムアウト》


 悩んでいる間にも私の限界稼働時間が過ぎて熱を放出して身動きが取れなくなる。

 そこへ機械人形のレーザーブレードが迫ろうとする。


 しかし、直後で機械人形が下がった。


「遅かったな、相棒」

「・・・すまん」


 そう言って現れたのはレオ君と禿げ頭の男性だった。

 レオ君同様にスーツを着ているところを見るに魔族なのだろう。


「そんじゃあ、仕事と行きますかっと」

「・・・魔族をなめるなよ」


 そう言ってレオ君達は機械人形に向かって突撃する。

 その間に私は全ての機能を冷却機能に回して再起動の準備をはじめる。

 前回のバックアップがある為、ブラックアウトはないが、フルスロットルで動いた反動で体内に熱が籠ってしまった。


 それにしても、タイムアウトによるリミッターの再設定で動けなくなるとは不覚だ。


 そんな事を考えながら私は二人の戦いを見守る。

 禿げ頭の男性は格闘特化らしく素手で戦っている。

 そして、レオ君は警棒らしきものを手にしつつ、男性をサポートしながらジリジリと肉薄していく。素人目にも解るが、この二人はかなり戦い慣れしているな。


「よう、相棒!例のブツは持って来たのか!」

「・・・もちろんだ、相棒」

「今日は残業はなしだぞっと!」


 そう叫んでレオ君が跳ぶと相棒と呼ばれる彼が間合いを詰め、機械人形を殴り飛ばす。


 瞬間、大爆発が起こった。


 その腕にはいつの間に持っていたのか、パイルバンカーのようなものが装着されていた。

 レオ君の相棒が再び間合いを詰めようとすると機械人形が可変飛行モードに変形して逃げる。


「逃さないぞっと!」


 レオ君がそう言って取り出したのは手榴弾のような何かであった。

 レオ君はそれのピンを抜くと機械人形に投げるが距離的に届くとは思えない。そう思った途端、何かが手榴弾から弾け、金粉のようなものが広がる。

 それは機械人形にとって弱点なのか、フラフラと左右にブレて墜落する。


「動けるかい、ネコさんや?」

「あ、はい。なんとか・・・」

「俺と相棒は地下のマザーコンピューターを止めてくる。

 その間、奴の相手を頼むぞっと」

「え?なんで、そんな事を?」

「こいつは端末の一部だ。本来の本体はこの街のマザーコンピューターだぞっと」


 そう言ってレオ君は「バ~イ」と言ってレオ君の相棒と一緒に地下へと向かう。

 私はクレイモアを手にすると満身創痍な機械人形に向かって身構える。

 機械人形も会話の意図を察したのか、武器屋の地下へ向かおうとするが、その先を私が阻む。


「お互いに満身創痍だ。相手としては対等だろう?」

「・・・邪魔をする、ナァ!」


 私と機械人形は互いに渾身の力でブレードを振るう。

 レーザーブレードの熱でクレイモアが切り捨てられ、その光の刃が迫る。


 そんなクレイモアを私はすぐさま復元し、機械人形の胸を貫く。レーザーブレードは私の顔スレスレで止まり、徐々に勢いを失って消失する。

 私はクレイモアを握っていた手を突き放すように前に押して停止した機械人形を見詰めた。


 レオ君達がいなかったら、恐らくは負けていただろう。

 それだけ、今回の相手は手強かった。

 そして、この街はアーティファクトの手助けなく、自力で立て直さなくてはならなくなる。

 この街がどれだけアーティファクトの恩恵を得ていたか想像出来ないが、並大抵の事ではないだろう。申し訳なくも思うが、私達に降り注ぐ火の粉を考えると仕方なくも思う。


 こうして、一つの街が機能を失い、混沌に満ちた場所と化すのであった。

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