表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/10

三礼『日常』

※この物語は限りなく事実を元にしたフィクションです※


「俺は女が好きだ!」


それは突然に唐突に 当たり前の事をニックが放った。


「突然どうした?」と言いたかったが

口から出たのは「じゃろうな」の一言だ。


「いや そこは『本当は男が好きなんだ!』じゃね?」

「なんでだよ!?きめぇ!!」

「いや!お前のその流れが可笑しいんじゃって」


ゼフの言う通りだ。

『ニックが男だから』と言う安直な考え方だが

ニックの恋愛対象も性的対象も女性なのは

誰だって分かるし もし仮に男性に興味があっても

それこそ私には興味ない。


「突然どうした?」


私が当初言おうとした事を非番のポリケンが言ってくれた。


「いや 俺は女が好きなんだが」


さっきも聞いたが

ポリケンのおかげでやっと話しが進みそうだ。


「俺に興味がある女が好きなだけで

俺に興味のねぇ女が嫌いなんだよ」

「クズ」

「ーーブッ」


言い終わったニックの言葉を尽かさずに『クズ』と放ったゼフの言葉が笑えたのだろう。

リカちゃんが吹き出した。


「お前等だってそうじゃろうが!

誰だって優しくされたいに決まってる」


「ママンと喧嘩したろ?」


図星を突かれたのだろうニックがしばらく黙る。

その光景にゼフもポリケンも鼻で笑った。


「うるせーよ!

お前は黙ってろ!!」

「えー」


「そんな事 言ってる奴に

誰も優しくなんかしねぇと思うけど?」


流石ゼフ。

思わず拍手してしまう。


「今のは不可抗力っつーか無し。

親は関係ねーから 女の話じゃねーよ」

「『女の話し』じゃったろ」

「ちっげーよ!!そう言う意味じゃなくて

女が入ってくるような話じゃねーって言ってんだよ!!」


「なら帰ってくれます?

ここ教会なので 好きな所で好きなだけ話しててくださいアーメン」


「ウケる。

『話しててくださいアーメン』って何だよ」とゼフの言葉に

ポリケンもリカちゃんもお腹を抱えて笑い

思わず自身も『確かに』と笑ってしまう。


「とにかく!だ!

俺は女は大好物だが

俺に優しくない女は嫌いだ!!」

「クズ」


これの流れは流石の私も

笑うのに耐えれなくなってしまい崩れ落ちてしまった。


「るっループすなし」


ポリケンが涙をぬぐっては水を一口飲んだ。



「ねー なに はなしてんの?」



私達の異様に流石の子供達も気になって来たようだ。


「いやぁ このオジサンが『クズ』だなぁって話し」


「しってるー」


もうやめて。

子供達の『当たり前じゃん』の態度に

更にお腹が捩れる。



「出ていけ!

このクソガキども!!!」



只でさえ野太い声に

この巨人の見た目の迫力のせいで

笑いが一瞬にして止まってしまい

子供達も一斉に泣き出してしまった。


「シスター!」「アリスー!」と子供達が

私の服に袖を引っ張る。


「急に怒鳴るなバカ!!」


泣く子供達を前にポリケンがニックの前に立つ。

ニックは「ケッ」とタバコを一吹きした。


「おぅおう 怖かったなー

ほらほら教会まで逃げよう」


子供達の手を引き

流石の私も怖かったので一旦 教会へ避難する。



【私が居なかった時に起こっていた状況】


「あぁ シラケたシラケた。

ガキ相手に怒んなよな」


「うるせー」


「全くいい歳してみっともない」


「うるせーよ。

これ以上 喋るとやんぞ?」


「お前が勝てる訳ねぇだろ。

しかもバカか?相手は警察っーー」

「ーーーーーーーーーやめろゼフ」


だいぶキレているニックに

ゼフもキレたのだろうが

流石にこの辺で止めないと大事になると判断し

まだ話の分かるゼフを止める。


だが そんな事を分かったって

怒りが収まらないゼフは大きなため息を落とす。


「見てみろよ?

リカちゃんがビビって動けないで居んじゃん」

「知るか」


どちらも更に怒りが増してるようで

2人して舌打ちをした後にタバコを吹かす。


「だからモテないんだろうが」とボソッと呟くゼフ。


「ーーやめんか」

「なんか言ったかよ?クズヒモ」


止めに入る声よりも

ニックの圧倒的な威圧感の声の方がよく聞こえる。


「言ってねぇよ。クソニート」


何時 喧嘩に発展するか分からない

結構ピリピリしている だいぶ気まずい雰囲気。


その中を「おーい!」と高い声が響く。


シスターが帰ってきたのだ



「うわ 何この空気重っ」



自分が居ない間 更に状況が悪化したのだと

見て分かる程にニックとゼフの表情が険しい。


「空気重いのは タバコせいか

ほらほら2人共タバコ吸うな!!

更に空気が悪くなる!!」


この重い空気が断ち切れるかな?と口に出したが

ポリケンが『今じゃない』と顔にでてる。

だが『それどころじゃない』と言い返したくなる程に

ここの空気は重く そして恐かった。


「………やっぱ良い女だな。お前は」


突然そう言ってくれたのはゼフだった。


多分ゼフの事だから

私がしたかった事を色々察してくれたのだろう。


「どこが?」


しばらくしてニックが呟く。


「良い女だろ?

空回ってたけど この状況をどうにかしようとしてくれたんだろ?」


頷く私に「下手したら逆効果……」とリカちゃんがボソッと呟く。


「え?【俺】はリカちゃんと喧嘩すりゃあ良い?」


リカちゃんを指差すと「ぇッ」と小さく声が聞こえた。


「やめろやめろ。

マジで止めてください。

流石に4人も一気にしょっぴれん」


「喧嘩する前提かよ」


呆れ顔のポリケンにケラっとゼフが笑う。


「ハハ……ハ はぁああ

あぁぁ何かさ どうでもよくなったわ」


「………確かに な」


ゼフもニックも肩の力が抜けたのか

声色に威圧感はなかった。


「……………飯 行くか?」


そう先に言い出したのはニックだった。


「お 賛成」

「でもお前 金ねーじゃん」

「ゴチになります!」

「ーーなりません」


ゼフの言葉にポリケンが畳み掛け

更にゼフが載っけては ポリケンが叩き折る。


「ーーーー吉野の家」とリカちゃんのボソッとした声が聞こえた気がした。


「いいねぇ 牛丼!」

「じゃから お前金ねーじゃろ」


ゼフの集り(たかり)に今度はニックが突っ込んでいた。


「てか 近場にあるのすきの家しかねーけど?」


「パト出して……」

「アホか」


空腹に弱い上に『これが食べたい』と言い出したら

テコでも考えを変えないリカちゃんに

流石のポリケンもリカちゃんに対して「アホ」と言うしかない。


「ま 適当に食ってくるか。

じゃぁ またなシスター」


「あばよ」


「では 今日はこの辺で失礼します」


「……………吉野ノ家」

「わあったわ(分かった)!!!!」


先頭を歩いたのはゼフだが

どうせ今日も奢らせるのだろう。


その後ろをニックとリカちゃんが歩き

ポリケンは律儀に会釈してから立ち上がると

吉野ノ家を譲れないリカちゃんにニックが折れる。


その背中を見送っては

私も教会へと戻ろうと振り返る。


「ーーー因みに シスターは?」


背後からゼフに声をかけられたが

何時ものように「【俺】は遠慮しとくよ」と断る。



「…………だよなぁ」



何時ものように5人で集まると

下らない事で言い合っては しょっちゅう喧嘩して

何時の間にか 野郎4人で飯に行く事になって


別れ際に何時も誘ってくれるのに 私が断って

少し寂しい感じが残ってサヨナラする


私達には 何時もの日常だーーーー。

あの時 ニックが泣かした子供達あやすの

本当に大変だったんじゃからな………


私も かなりビビってて動揺してた(・д・`;)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ