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動機
ここ最近、人生そのものに嫌気がさしてきた。
新しい部署へ配属になってからというものの、とにかく仕事が辛くて仕方がない。
単純にやりたくないとか好きじゃないとかではなく、根本的に合わなさすぎる。
そもそも俺に向かないことぐらい分かってただろうに、どうして前の部署から変えさせたんだ。
先輩の声が怖い、仕事が上手くいかない。
苦手な俺にこの仕事をさせる必要性が分からない。
今の職場に居場所がない、相手にされないのが心底辛い。
上の考えていることが理解できない。
辞めるか?
いっそ辞めてやるか?
いいや、無理だ。
辞めたとことで、この先どうして食っていくのか?
退けれず、引けず、進めず、去れず。
ただただ心の吐瀉物を吐きながら、呪詛と涙を垂れ流す毎日。
無気力ともやさぐれとも取れないぐずっぐずの気分の中で、ふと見つけた一冊の本。
最近流行りの、旅行本だ。
「旅、してみるか」
そう思った時には、本を片手に支払い台の前に立っていた。
それが、俺の旅の始まり──。