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黒兎堂  作者: シャン
序章
1/2

プロローグ

「さて…どうしたものか」


地下に広がる巨大な空間…その片隅でこれからどうすべきか、ただひたすら考えている。

それにしても…


「かなり深く落ちて来たと思えば

地上とあんまり変わりは無いんだな。」


まぁ…明かりは人工の物が発する光しかないし、とてもジメジメしてて自然もない、

雑草や苔が生えているくらいだ。…とても住みやすい環境とは言えないな。

場所によっては太陽光が差しているようだが…


「ここが俺の新居か!!いや、新居と呼ぶにはあまりに酷いありさまだけど…」


大きな洞穴の中に申し訳程度にある小屋…

どうして俺がこんな所に住む事になったのか…


地上で暮らしていた俺は生まれながらに持ったスキル「収集」を使い

ありとあらゆるレア物を集めて暮らしていた。


数ヶ月前のある日

「ものすごい量の荷物ですねぇ」

いつもの用にレア物を集めていた俺に1人の男が話かけてきた。

「そんなに多くの[レア物]どうやってお集めに?」


見るからに怪しい見た目だが

こいつ…見る目があるな!

俺のスキル[収集]はありとあらゆるレア物を集める事ができる。


例えばこの発火草!!ジャーン!!

植物でありながら光合成で火を蓄える特性を持っていて、刺激を与えると発火する。

火力の調整が難しいのが難点な上、あまり多くは手に入らないが、光合成により蓄えた火はとても質が良いらしく、一流の鍛冶師は好んで使う者も多いらしい。


俺のスキルにかかれば簡単に集められるけどな!!


「発火草に…金鉱石…おぉ…これは!」


謎の男が俺の集めたレア物に手を伸ばす


「おい!勝手に触るなこれは俺のスキルで集めた物だ!

これから商店街の鍛冶師の所で買い取って貰うんだ

まぁ、お前が買い取ってくれるって言うなら話は別だけどな」

「ほう?あなたのスキルで?」


やばい つい口がすべってしまった、こんな怪しい奴に安易に話すべきじゃなかったな…


「とにかく俺には用事があるんだ、じゃあな」

「あぁ待ってください

あなたにビジネスのお話があるんです!」

「ビジネス?」

「えぇ…あなたのそのスキル、どうやら役立つ物を集める…と言ったような物ではないでしょうか?」

「まぁ…そんなところだな」


どうやらこの男は初めから俺がレア物を持ち歩いてるのに目を付けて来たらしいな…


「それはそれはとても素晴らしい能力です、こんな所で腐らせるには勿体ない能力!是非あなたのそのスキルを生かして商売を初めて見ませんか?」

「商売だって…?面白そうじゃないか、詳しく聞かせてくれないか?」


俺にビジネスを持ちかけてきたその怪しい男は、意外と話の分かるやつで。

俺の集めたレア物の価値についてとても詳しかった。


俺のスキルでは物の価値まではわからない。

だがその男の目利きは素晴らしく、俺の集めたレア物の価値を見定めた。


「あなたのその能力と私の知識で、それを必要とする人達に向けて商売をするんですよ。」

「なるほど…!確かにそれは大儲けできそうだ!」


願ってもないチャンスだった。

毎日レア物を集めては街の鍛冶師に売る…こんな生活ともおさらばだ!


それから数日

俺はこの男に商売のノウハウを叩き込まれた。

物の価値の見定め方や取引の仕方。

商売に関する知識を学んだ。

詳細は何度聞いても教えてくれなかったが、この男もどうやらその手の[スキル]を持っているらしい。


俺とその男はしばらく順調に商売を続けていたが…


「俺のスキルはそんなに便利な物じゃない!!

好きな時に好きな物を好きなだけ手に入れられるわけじゃないんだ!!」

「そんな事言ってももう前報酬は貰ってるんです!あの天界からの直々の依頼なんですよ!あなたのスキルならば凡人に比べ遥かに見つけやすいはずです!」

「そんな事言っても覇王山で緋々色金の収集なんて、危険すぎるだろ!

第一なんで天人共にそんな物が必要なんだよ…」


天人は空の遥か上空にある天界に住む住人達

そんな奴らになんで伝説の金属 緋々色金が必要なんだ?

それに覇王山には竜や魔人が住んでいる。

とても危険すぎる…


「それに天人は地上では考えられない用な能力を駆使するんだろ?

自分達で行けば良いじゃないか。」

「それが既に天人達も覇王山で捜索をしているようですが、見つけるのが困難な用で…」

「それで俺に依頼したって訳か…だが俺は行かないぞ、あんな所…いくつ命があっても足りない。

話はここまでだ、いくら貰ったかは知らないが、依頼料を返して断るんだな!」


だが翌日…俺は天人達に追われる身になっていた

あの野郎…相当な報酬をもらっていたらしい。

今まで稼いだ代金も。

俺の集めた収集品も全部なくなってた。

……………逃げられた


「くそおおおおおおおおお!!!!!あの野郎!!!次見つけたらボコボコにしてやるぅぅぅぅ!」


そんな事よりもこの状況を何とかせねば!

天人の追っ手が来る!

あの男……連中から預かった前報酬も持って消えやがった!

街を飛び出して来たはいいが夢中で走っているうちに迷ってしまった…

ここはどこでしょうか!?

結構深い森に入ってしまったが…


「向こうに洞穴があるな…

しばらくあそこに身を潜めるか…」


薄暗い洞穴の中を奥へと進んで行くが…


「うぅ…狭いな…だが今外へ顔を出したら連中に見つかってしまう…」


仕方がない…と更に奥へ身を潜めたその瞬間足下に不自然な感触が…


ガラッ…


「ん?」


ガラガラガラガラ…


「え?ちょ…」


ガララララララ…!!!


「底が抜けたああぁぁぁぁぁぁ……!?」

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