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プロローグ

第0話:プロローグ


地球とは別の世界、名を『アースレイヤ』。


種族間の争いが絶えぬこの地の海上に、突如として現れた強大な漆黒の穴が現れた。アースレイヤの住人はこの強大な漆黒の穴を『アビスホール』と名付け、アビスホールの正体を探るべく調査を行った。


アースレイヤにアビスホールが現れてから数十年の月日が流れたある日、突然アビスホールから見たことのない獣と人の形をした何かが現れた。


 アビスホールから見たことのない獣と人の形をした何かは直ぐにアースレイヤの住人や動物を襲だし、アースレイヤへ侵略を始めた。


 アースレイヤに住まう種族『人族』、『エルフ族』、『ドワーフ族』、『妖精族』の4種族は、この侵略者を『魔族』と名付け、魔族からの侵攻を防ぐ為、魔族との戦争を行った。


 魔族との戦争から数年後、徐々に強力な魔族がアビスホールより出現するようになり、アースレイヤの武具・魔法では低級、中級の魔族は倒せても上級以上の魔族は倒せないでいた。


 4種族の中で、最も魔法に長けているエルフ族は、上級以上の魔族を倒すべく新たな対抗策を模索。魔族侵略から数十年後、遂に自身に宿る力、神力を消費し触媒を元に武具を創造する魔法、『神器創造』を完成させ上級以上の魔族に対抗出来るようになった。


 エルフ族が完成させた魔法『神器創造』は、エルフ族以外にも広がり、魔族との戦争は一進一退の膠着状態となった。魔族との戦争が膠着状態となっていから500年もの年月が流れたある日、自身を魔神と名乗る魔族が現れ、膠着状態となっていた戦争はしていた状況は一変。魔神が次々と各種族の主要国家を破壊していきアースレイヤの4種族は窮地に立たされる事となった。


 魔神の破壊行動から何とか生き延びたアースレイヤの4種族の主導者達は、会合を行い各種族から、現状最も強い実力者を選任し、少数精鋭でこの魔神を討伐する作戦を考案。

そして、各種族の主導者達によって選任された神器使いによる精鋭部隊が結成された後、精鋭部隊は魔神の目撃情報のあった島へ船で移動していた。


〈ドワーフ族の神器使い:男〉

「よもや、いがみ合っていた4種族がこうして協力し合う日が訪れようとは思いもよらなんだわ。」

 感慨深いと言わんばかりの顎髭が立派なドワーフ族の神器使いに対して。


〈人族の神器使い:男〉

「確かにな。 武器を作る事と酒を飲むことしか能の無い種族のドワーフ族と手を組まねばならん日が来るとはねぇ。」

 とからかうような言葉を血気盛んな若い人族の神器使いがドワーフ族の神器使いに嫌味を浴びせる。


〈ドワーフ族の神器使い〉

「なんだと!!」

〈人族の神器使い:男〉

「なんだ、事実を述べたまでだろうが!」

 人族の言葉を皮切りに、一触即発の雰囲気が流れるもエルフ族:男と妖精族の神器使いが仲裁に入る。


〈エルフ族の神器使い:男〉

「おいおい、ここまで来ていがみ合いはやめてくれ、もう僕らは運命共同体みたいなものなんだからさ。」

〈妖精族の神器使い:女〉

「皆様、もうアースレイヤに住まう4種族の命運は、我々の結果次第で決まるのですよ。種族間での因縁は、その後で決めても遅くはないでしょう?」

 温厚そうなエルフ族の神器使いと高貴な振る舞いをする妖精族の神器使いが使命感と一体感を盾に人族とドワーフ族の神器使いをなだめる言葉をかける。


〈人族の神器使い:男〉

「うっ...。 妖精族の言う通りだな。 すまなかった、ドワーフ族よ、気を害する言葉を使ってしまったな。」

〈ドワーフ族の神器使い〉

「そうさな。 我らが此度の作戦を成功させねば、アースレイヤの種族は全て滅びるのであったな。 突っかかってしまった儂にも非があるな、許してくれ。」

 人族とドワーフ族の神器使いは互いに謝罪し合い、握手を交わした。そこへエルフ族の神器使いの女が声をかける


〈エルフ族の神器使い:女〉

「ふふっ。 そう言えば、つい数日まではアースレイヤの危機だというのにいがみ合っていたものね。 ただ今だけは、魔族の次に危険視していた各種族の実力者達もこうして、一つの目的の元集うと頼もしい事この上ないのは確かね。」

 透き通るような黄金色の髪が際立つエルフ族の神器使い:女は笑顔でエルフ族の神器使い:男へ投げかける。


〈エルフ族の神器使い:男〉

「そうか、アースレイヤに住まう民は生き延びるか滅ぶかの瀬戸際に立たされているのか....。」

 落ち込んだ様子でエルフ族の神器使い:男は投げかけに答えると。


〈妖精族の神器使い:女〉

「さぁ、皆様。 魔神の目撃情報のあった島に着きましたわ。」

 〈人族の神器使い:男〉

「いよいよか...。」

 各神器使いは覚悟を決め島に上陸。そこへ、待ち構えて居たかのように現れた魔神。


〈魔神ルシファー〉

「初めまして、アースレイヤの民よ。」

 背中に左右合計16枚の羽根が生えた威圧感のある美男子が律儀にも神器使い達に、挨拶をするのに対し驚きつつも神器使い達は直ぐに神器を展開し臨戦態勢に入る。


〈ドワーフ族の神器使い:男〉

「奇襲をかけるつもりじゃったんだがのぉ。 よもや、待ち伏せされるとは..。 これは楽には勝たせてもらえそうにないの。」

〈エルフ族の神器使い:女〉

「さあ、皆さんここが正念場です。 アースレイアの未来を切り開きましょう!!」

〈人・エルフ・ドワーフ・妖精族神器使い〉

『おう(はい)!!』

 エルフ族神器使い:女の鼓舞に他神器使い達がコレに答え戦闘が始まった。


神器使い達と魔神との闘いは3日にも及ぶ壮絶な戦いであった。しかし、魔神ルシファーが痺れを切らし、一掃するべく大振りの攻撃を仕掛けた瞬間、その攻撃を人、ドワーフ、妖精族の神器使い達が自身の身を犠牲にし、自身等の肉体でその攻撃を受け止め魔神ルシファーの動きを3人で強制的に封じ込めた。


〈人族の神器使い:男〉

「ガハ...。 ヨハン!! 早くお前の神器でトドメを!!!」

 大量に血を流しながら、絞り出すように声を出す人族の神器使い。


〈エルフの神器使い:ヨハン〉

「出来るわけないだろ!! 君たちまで巻き込まれるぞ!!」

 エルフ族以外の神器使い達はいずれも腹部や胸部に大きな穴が開いており、瀕死状態であり、生きて魔神ルシファーの動きを封じれているのが不思議なほどの重症である。


〈人族の神器使い:男〉

「...もう、どの道この傷じゃぁ助からねぇ! ならせめて、このクソッタレを道連れにしてアースレイヤの礎に、世界を救った英雄にならせてくれ!!」

 ドワーフ、妖精族の神器使いは声を出す気力も残って無いのか、人族の言葉に無言で頷く。


〈魔神ルシファー〉

「ふざけるな!!! 貴様らみたいな、蹂躙されるだけの種族に負ける訳がなかろう!!!」

 魔神ルシファーは、動きを封じている神器使い達を退かそうとするも、神器使いの最後の神力を振り絞っての抵抗する。ルシファーは、自身の疲弊も相まって、封じている神器使い達を振りほどけないでいた。


〈エルフの神器使い:女〉

「ヨハン。 皆さんの思いにこたえましょう。」

〈エルフの神器使い:ヨハン〉

「カーラ...。 わかった。」

人族の神器使いとカーラの説得にヨハンが覚悟を決める。


〈エルフの神器使い:ヨハン〉

「アースレイヤに住まう全ての英霊、精霊達に請い願う。 我、ヨハン=エンデの名のもとに、清き聖なる力を、邪悪なるものを打ち滅ぼす力を与えたもう!!」

 ヨハンが自身の神器に向けて祝詞をかけ、力を溜めて行く。


〈エルフの神器使い:ヨハン〉

「滅びろ!! 魔神ルシファーーー!!」

〈魔神ルシファー〉

「ふざけるな! まだ、ち・・うを滅・し・・・・のに...!」

 ヨハンの神器から発せられる眩い光に魔神ルシファーが飲み込まれて行いった。次第に光は神器を軸に収束し、光が消えた頃には、人、ドワーフ、妖精族の神器使いと魔神ルシファーの姿は跡形も無くなっていた。




 魔神ルシファーが消えてから、数分の静寂の後、カーラがヨハンへ歩み寄り声をかける。

〈エルフの神器使い:カーラ〉

「ヨハン、遂に終わりましたね。」

〈エルフの神器使い:ヨハン〉

「ああ、数多の犠牲を払っての戦いがようやく終わるのか..。」

 ヨハンとカーラは寄り添いながらその場に座り込み海を眺める。



 ゴゴゴゴゴゴゴ!!突如として、大地が鳴動しだす。

〈エルフの神器使い:ヨハン〉

「なんだ、この音と揺れは!!」

〈エルフの神器使い:カーラ〉

「わかりません..。 ですが、何故か先ほどから胸騒ぎが収まりません。」

 二人は、不安を胸に辺りを見渡し、警戒態勢をとると、次第に轟音と揺れは収まった。

大地の鳴動が収まって数分後、突如として二人の目の前に背中に12枚の羽根が生えた

5体の魔族が現れた。現れた5体の魔族の内、1体が二人に話しかける。


〈魔族???〉

「おい、そこの! 此処に背中に16枚の羽根が生えた男がいなかったか?」

 ヨハンとカーラの2人に向けて話しかけてきた魔族が、恐らく先ほど倒したであろう魔神ルシファーについて尋ねてきた。2人は、困惑と緊張と疲労の感情を何とか飲み込んで、ヨハンが声を振り絞った。


〈エルフの神器使い:ヨハン〉

「...魔神ルシファーの事か? それなら、僕がこの手で屠った!」

 ヨハンは、カーラを何時でも庇えるよう身構え魔族の質問に答えた。魔族は「馬鹿な!!」と驚いた後、自身の手を顎に添え、しばし思案の体勢をとる。それから、どれ位の時間が経過しただろうか。この時の2人は、緊張と疲労で時間間隔は1分が10、20分と感じるほどの状態となっていた。その場を制していた静寂は、魔族の言葉によって破られた。


〈魔族???〉

「俄かに、信じがたいが...。 現状を、鑑みるに貴様の言っていることは本当のようだな。 我らの中で最も強い奴だったが、仕方がないな。我々だけで宿願を果たすとするか。」

 そう魔族は言い放ち、ヨハンとカーラには目もくれず、次々と飛び去って行った。


ヨハンは、魔族の唐突な行動に驚くも、直ぐに思考を取り戻し最後に飛び立とうとする最後に魔族に大声で叫び引き留める。

〈エルフの神器使い:ヨハン〉

「何処へ行く!!」

 ヨハンの叫びに、魔族は蔑む様な表情で答えた。


〈魔族???〉

「何処へも何も、この世界を滅ぼすまでよ。 我らには、果たすべき宿願があるのでな。 早急に、この世界を滅ぼし、来る日に備えねばならんのだよ。」

 魔族は淡々とヨハンの質問に答え、直ぐさま飛び去った。残された2人にはもう、飛び去った魔族を如何こうする力は残っておらず、その場に崩れ去った。それから、数時間後、2人の耳にも届く破壊音が四方八方から聞こえてきた。


〈エルフの神器使い:カーラ〉

「私達のやってきた事は無意味だったというの...。」

 打ちひしがれるカーラを他所に、アースレイヤの空はまるで終焉を告げる様に深紅色に染まって行く。深紅色に染まる空をみて2人は、アースレイヤの滅亡を悟った。絶望に暮れる最中、突如としてカーラの神器が輝き出す。


〈エルフの神器使い:ヨハン〉

「カーラ?! 君は何をしようとしているんだ?」

〈エルフの神器使い:カーラ〉

「分からない、私の神器が勝手に...。」

 神器の持ち主である、カーラにも理解出来ない現象が今、起ころうとしていた。輝き出したカーラの神器は、更に輝きが増して行き、最後には2人を包み込もうとしていた。


〈エルフの神器使い:カーラ〉

「なんで?! 神器の実体化を解除できない! 今までこんな事なかったのに!」

 自身にも、制御できない状況に焦るカーラを他所にヨハンは思案する。


(そういえば、カーラの神器は少し特殊で、元々はエルフの国に代々伝わる秘宝:聖杯を触媒にしていたな。)


 エルフの国より代々伝わる秘宝:聖杯。エルフの国に伝わる数々の秘宝の中で、極端に詳細文献が少ない秘宝としてエルフの国では有名である。ヨハンは、その少ない文献の一部を思い出す。


(文献には確か、《生きとし生けるものの、善なる願いをもって、聖なる杯は、あらゆる事象をも凌駕する奇跡を、起こさん》だったか..。)


 ヨハンは、聖杯にまつわる文献を一言一句、全て思い出し、一つの可能性を困惑しているカーラに説明する。


〈エルフの神器使い:ヨハン〉

「カーラ。 落ち着いて聞いてくれ、もしかしたら君の神器に起きている現象は聖杯に備わっている力かもしれない。」

〈エルフの神器使い:カーラ〉

「どういうこと、ヨハン?」

〈エルフの神器使い:ヨハン〉

「エルフの国に伝わる聖杯の文献に、こう記述されてある。《生きとし生けるものの、善なる願いをもって、聖なる杯は、あらゆる事象をも凌駕する奇跡を、起こさん》と..。 この文面から想像するに、君の神器は誰かの善なる願いによって聖杯本来の力を発揮しようとしているのかもしれない。 ただ、それがどんな結果を生み出すかは、僕にも分からない。」

〈エルフの神器使い:カーラ〉

「では、今はただ結果を見守る事しか出来ないのね、ヨハン。」

 ヨハンは、カーラの発する言葉に黙って頷いた。そして、2人は聖杯が起るであろう奇跡をただただ見守るのであった。


 聖杯の輝きは、目を開けているのが困難なほど光り、2人を包んでいった。2人は、抵抗をすることなく、光に包まれると不思議な浮遊感に襲われていた。次第に、聖杯の光が収束して行き浮遊感も消えた頃、2人は目を開けると、そこは見たことの無い森が広がっていた。


 周囲を見渡すも、いずれもアースレイヤには無い植物が立ち並んでいた。一先ず、自身の体調と装備を確認した後、2人は探索を行う事とした。


 暫く、周囲を探索していると、見慣れない綺麗に整備された道に出た。ヨハンはアースレイヤでも見たこと無いレベルの綺麗に整備された道に驚いていると、カーラが看板らしき物を発見。


カーラは、看板に書かれている文字を読もうとするも解読できない文字だった為、

翻訳魔法を自身付与し再度、看板に目をやると「イズモ」と書いてあることが分かった。


〈エルフの神器使い:カーラ〉

「ヨハン...。 先ほどから、アースレイヤでは見たことの無い草木や道や文字ばかりなのだけれども、ここは何処なのかしら。」

 カーラは不安を胸に、ヨハンへ近寄ると、ヨハンはいつの間にか手にしていた何かの絵がかいてある本を凝視していた。


〈エルフの神器使い:ヨハン〉

「カーラ...。 この本を見てくれ。」

 カーラはヨハンから渡された本の中身を確認する。カーラが手に取った本も、アースレイヤでは見たことが無い質感の本であった。カーラは、慣れない質感に驚きつつも本の中身を確認すると、恐らく風景を映しているであろう絵が、先ほど看板に書かれていた文字と似た字と共に、何ページにも渡って記されていた。


〈エルフの神器使い:カーラ〉

「ヨハン、この本がどうしたと言うの?」

 カーラは、ヨハンから渡された本の意味が分からないでいた。


〈エルフの神器使い:ヨハン〉

「...カーラ。 その本の中身を見て不思議に思わないかい? その中に書いてある絵は、どれもアースレイヤで見たことが無い絵ばかりなんだ。」

 カーラは、ヨハンにそう言われ再度、本の中身を確認すると確かに見覚えの無い景色ばかりである事に気づく。


〈エルフの神器使い:ヨハン〉

「どうやら、僕達が居るこの場所は、アースレイヤとは別の世界に来てしまったみたいだ。」

 カーラは、ヨハンの言葉を聞きその場に崩れ落ちた。ヨハンは、不安に駆られているカーラを抱き寄せた後、空を見上げ困惑と不安を胸に、この地で生きていく事を決意するのだった。


初めまして皆様。

悠長侍と申します。


初の投稿となります。

誤字、脱字等、見受けられる文章をは思いますが、皆様に楽しんで頂けるよう努力してまいりますので、どうか最後まで御付き合いいただけると幸いです。

それでは、今後とも宜しく御願いいたします。

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