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校外探索第3日 - 帰還

 3日目。無事で尚且(なおかつ)見える距離なら、狼煙を上げる予定だから、と宣言した日だ。向こうからはちゃんと煙が上がっている。こちらからも煙を上げねば。そうして近くの山から木々を取ってきて、煙を上げる。もしかすると裏山に阻まれて見えないかもしれないが。煙を上げると、早速北方戦線に向かう事とした。そして道中、朝倉の駅前まで来た頃だった。突如市街の方が光り始め、同時に同心円状に光環が広がるのが見えた。そこには無数のムツデが乗っていたが、色が違う。黒ではなく黄だ。咄嗟に危機を察知して、その反対側の峠を急いで越える。嫌な予感しかしなかったからだ。そして咥内坂を越えて、伊野までやって来た。といっても伊野市街ではなく、その東端であるが。咥内坂に設置した簡易地雷。ついでにダイナマイト。これらは黄色のムツデが踏みしめた際に爆発。これらが投げ込む形じゃなくて良かったとも思った。しかしながらあまりに多かったために撃破し切れず、黄色のムツデは伊野市街へと侵攻していった。これまではここまで攻め込んで来てなかったのだろうか。そう思って端に目を付けられてなさそうな家々があったので、そこで話を聞いてみると、話に聞くだけでこれまで見た事がないという。しかしこのままでは他の所はどうなっているのか。高速道路まで上って、市街を見渡してみると、さっきまで居た学校は無事のようだが危うく、北方戦線は火の海である。これは目指していた北方戦線の陥落を意味するかもしれない。すぐに行けば間に合うかもしれないが、間に合った所でする事はいない。犬死になりに行くだけだ。ならば元々の我々の学校は無事か。山から煙が上がっており恐らくは無事だが、校舎は放棄したのだろうか。それとも校舎が陥落してたまたま外に居た人だけが助かった、何てこともあり得る。数人しか生き残らなかったのだろうか。一方この同盟国にあたる学校は、さっきの兵器で応戦できないとはいえ、元々の城塞の防御度が高く、そう簡単には攻め入られないだろう。とにかく、急いで本拠地まで戻らねば。銀輪部隊を急がせ、昼には咥内の高速道路橋上に居た所から一度仁淀川まで退き、そこから南の道を通って学校に急いだ。夕方4時半に飛ばせる人間だけで集めた高速隊が辿り着き、ダイナマイトを使って掃った。我々が何とか撤退に追い込んだものの、平和ボケで防火扉を閉めていなかった3階などにも攻め込んできたらしく、元々戦闘力の無い者の集まりだった校舎を守るための死闘が繰り広げられたという。その結果、臨時会長含む20人が戦死したものの、何とか防火扉の封鎖はできたという。簡易地雷は校内に設置できず、その結果だったという。しかし彼らの抵抗のお蔭で、残る90人が救われたのだ。屋上への立ち入りを特別に許可して定点観測を任せている科学部の資料も守られた。何よりもこれが一番大きかった。ここは生存者の居た場所で光環に最も近い場所なのだ。光環はどうやら11日周期で変動しているらしく、半径は不規則に変動するが、周期の最終日には必ず消滅するのだという。そして最初のあの日から11周期と1日後が、昨日だったのだという。偶然か必然か、11という数字が頻繁に出るのだという。何かのメッセージだろうか。そう思いながらも、ホームグラウンドで眠りに就く。たった3日で戻ってきた。食糧問題も何も解決しなかったが、他に生き残りが居たという事実を知り、同時に生き残っているという事実を伝える事ができた。生存者数は我が校が一番多いらしい。北方戦線の方は猛烈な火が上がっていたが、やがて消え去り、闇夜に消え去った。しかし電気と水道の謎については、彼らも不思議がっていた。そう思い残しながら眠った夜であった。

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