定例会議
食糧調達も困難になりつつあり、そろそろ移転も考えねばならないだろう、と議長、いや臨時会長が定例会で言った。その通りだ。食糧調達も数度繰り返し、次からは川か山を越えねばならない。どちらを越えるか。鏡川を越えると必然、怪物の発生地を目の当たりにする。現状では危険すぎる判断だ。ならば山を越えて西に進むしかなさそうだ。しかし西に移転先は無い。移転するにしても、全員とは言わないが大多数が戦えるようにならねばならない。という訳で数週間前から校庭で戦闘訓練をしてきたのだが、あの恐怖をトラウマに抱える者も多く、未だ校舎外に出られない者も居る。つまりこの校舎の放棄は殆ど不可能。ならば動ける人間が2手に分かれ、校舎の食糧事情を担う者と、移転して新天地を目指す者とに分かれるしかない。でないといずれ破綻してしまう。しかし分かれてしまえば、二度と会えないかもしれない。動ける者が約180人。そのうち30人を残して移転する事とした。移転は今度の食糧調達の際。そのために銀輪対応の武器を備え、いざという時は迅速に切り抜けられるようにする。ゾンビ亡き今、物量で挑んでくる相手は殆ど居ない筈だ。ならば包囲が完成しない以上、撤退も機動力によって出来る筈。私が率いる銀輪隊150はその翌日、出立した。臨時会長は校舎に残り、残る100人強をまとめるという。街中を歩けば白骨体があちこちに転がっている。大通りには車が渋滞し、そこから逃れた人々がどこへ行ったのかという謎だけが残る。市内には30万人が住んでいた筈だ。しかし我々が学校から出た頃には、殆どが闇夜に沈んでいた。一体何が。山にでも逃れたのか。そんな気配は無い。取り敢えず1日目はトンネルの向こうにある競技場に野営を張って、入口を封じる事とした。夜番は15日交代で10人ずつにした。