表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/55

タイムリミットと新しい恐怖

 食糧枯渇まであと1日。朝の点呼の後、昼10時。目視での安全確認が9時から行われていたが、何もなかったのでそのまま出陣。出来れば残された車から発炎筒を盗ってきてほしいとも頼まれた。しかし車を不用意に破壊すれば、警報音が鳴って何が起こるか分からない。そこで今回の作戦では、有事の際には周辺の自動車を破壊して警報音を鳴らす事とした。しかし実際、これで何が起こるか分からないため、やって良いのは学校から500m以上離れた所、とした。階下に下りてみると、2階にもやはり奴等が来ていたのか、血の跡が残っている。覚悟は良いか、そう確認しつつ1階へ降りる。すると腐った死体が大量にある。あの日死んだのだろうか、白骨化がかなり進んだものもある。一方で割と新しい死体もある。路上にあったそれはガムテープで露出部を覆っている事や、他のものよりもまだ違う様子な事からも、恐らくあの日の遺体ではないのだろう。しかしそれでさえも大雨で洗い流されたか、外には焼けるように暑い太陽と野生動物、そして白骨死体があるだけだ。何人かはこれを見て気持ち悪くなったが、最早後戻りできないのでそのまま進む。あの家周辺に着いたが、何もない。スケッチでは多分この辺だと思ったのだが、という辺りを歩いていると、一軒だけ異常な破壊を受けた家を見つけた。昼間はゾンビを刺激するかもしれないといって一度も外に出なかったから全く分からなかったが、明らかに異常である。瓦礫には爪跡のようなものがある、と思って見ていると、背後で悲鳴が聞こえた。犠牲は数人に済んだものの、皆恐怖で全く動けなかった。但しこれで良い事も分かった。恐怖で失神した臆病者が1人居たが、そいつには目もくれず逃げる者を追っていった。さては動きに反応するのでは。そう思って咄嗟にそれを叫んでダメ元で試させると、彼は死ななかった。あれは一体、と皆が思った。オカルト好きな奴がこう言った。

「あれは、きっとチュパカブラに違いない」

しかし私は知っている。本来あれはプエルトリコの怪物(UMA)だ。実在性も殆ど疑わしい上に、在来種ではない。それに形が違う。チュパカブラの背中にもう2本、手が生えている。手4本に足2本という事で、暫定的にあれを()()と名付け、帰路はそれに怯えながら辿った。食糧部隊は難なく帰ってきた。そして再びあの惨状を通り過ぎ、拠点たる校舎3階に戻る。興味本位の部隊であった私の部隊が数人減っている事に、最初に気付いたのはその死人の恋人であったCだった。Cは最初に襲われたBに片想いを寄せていたらしく、志願して部隊に入ったBに泣きついて行くなと止めていた人だというのはすぐに思い出した。Bらの死は確かに大きなものだった。273人が267人になった。数字で見ればそれだけの事だが、この事が定例の集まりで報告されると、新たな怪物への恐怖で怯える生活が始まった。食糧部隊は10人全員がそれぞれ持てるだけの缶詰を、最早料金を払う相手のいないレジ袋(大)に入れて持ってきたため、1日1人1個の配給として、最低3日は保つ計算だ。しかしスーパーの様子も変だったという。誰かが入ったような跡があり、飲料棚には何も残っていなかったらしい。他にも生存者が居るのか。そう思えば、夜闇に浮かぶ唯一の灯台として立て籠もっていれば、いずれ気付く人は居るだろう。もしかすると既に気付いているかもしれない。但しその気付いた相手が何をしてくるかは未知である。それに新たな怪物・ムツデが光に反応しないという保証は無い。そこで灯火管制を行い、日没後の電気の使用は禁止する事とした。事情は全て話したので、何とか理解してもらえた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ