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魔道具だよりの暗殺者  作者: 鈴ノ宮 獅翠
7/21

一対五千六百

 まずは一般兵からだ。

 

 胸中でそう呟きながら、アルフレッドは最初の獲物に斬りかかる。

 

 右手の長剣で地面擦れ擦れから切り上げを行う。

 長剣が唸りを上げて獲物の胴体へと牙を剥き、直後その体を豆腐の様に容易く分断する。血液の糸を引きながら左右の体が地面に崩れ落ちた。


 その光景を見ていた獲物達の顔に驚愕の表情が浮かぶと同時、アルフレッドは左腕を閃かせる。

 綺麗な半月を描きながら振り抜かれた長剣は、すぐ後ろにいた獣人族の上半身と下半身を真っ二つに切断した。


 さらにアルフレッドはすぐさま剣を引き戻し、体の前で剣と剣を交差させる。そのまま前に一歩踏み込むのと同時、両腕を煙る様な速度で一気に振り抜く。

 その剣撃は前方に居た、三体の獣人族の体を切り飛ばす。


「残り五千五百九十五人...」


 このまま一匹ずつ始末していっても切りがない。そう判断したアルフレッドは付与魔法を使う為、早口に捲し立てる。


「剣に付着した血液に『刺突性』『硬質化』『貫通』を付与!」


 言い終えると同時、長剣に付いている血液が淡く光を放つ。

 その瞬間、アルフレッドは右の長剣と左の長剣をそれぞれ左右へと降り抜いた。長剣自体はアルフレッドの周りの空気を、三百六十度余すこと無く切り裂くのみで一つの命も奪わなかった。しかし、長剣から空中に投げ出された血液は違った。付与魔法の効果により、命を奪う紅の弾丸へと変貌を遂げたのである。


 無数の弾丸が際限なく獲物の命を貫き、刈り取っていく。その弾丸は一つの命だけでは飽き足らず、ただの肉壁と成り果てた異人族の群れへと次々と爪を立てていく。辺りからは肉を貫く生々しい音と断末魔のみが聞こえてくる。


 暫くして全ての紅弾丸が付与の効果を失った。その時になってようやく事の重大さを理解した異人族軍の兵士達が、引き攣った笑みを浮かべ始める。ある者は恐怖に震え、またある者は「化け物かよ...」と言う声まで上げていた。

 

 アルフレッドは「いや、化け物はそっちだろ」と思いながらも声に出す事はなかった。

 何はともあれ今ので少しは打撃を与えられただろう。ざっと見た感じだと残り五千五百人位だろうか。


 戦闘開始から三十秒程で百人程は始末出来た。このままの速度で行けば、五分位で片を付けられる。


 アルフレッドは「今回は全然暗殺者っぽくないな」と思いながら、次の獲物に視線を向ける。

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