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魔道具だよりの暗殺者  作者: 鈴ノ宮 獅翠
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鬱憤

 ドルベルトの呆けた様な面に弾丸が突き刺さるのを無感情に見つめながら、アルフレッドはため息混じりに呟く。


「物足りない...」


 やがて、ドルベルトの眉間から大量の鮮血が吹き出してくる。二メートルはあろうかという巨体は、仰向けになり地に倒れ伏す。

 予想以上に歯ごたえの無かった敵を視界の端に納めながら、アルフレッドは身を翻す。未だ自軍のキャンプ地に残っている敵を、殲滅するために...。


「アルフレッド中将、御加勢下さり有り難うございました」


 アルフレッドは多くの魔人族の死体が転がっているキャンプ地の中央で、指揮官の男に頭を下げられていた。


「気にするな、俺は俺の仕事をしたまでだ。それにしても今回の仕事は味気なさ過ぎではないか?」


 謙遜でも何でもなく本心を口にした瞬間、指揮官の目が驚きに見開かれる。


「ドルベルトで味気ないと申されますか。アルフレッド中将は今までどの様な修羅場をくぐり抜けて来られたのですか...」


 十五歳の若き中将はその問いには答えず、敵がまだ居るであろう平地の先を見据える。


「あの平地の先に、敵軍が居るのか?」


 その問いを指揮官は頷いて肯定した。


「数は一般兵が五千、マナ戦闘の行える兵が六百程度居ると聞いております」


「こちらの軍は?」


「一般兵が九千、マナ戦闘の行える兵が四百人程おります」


「数では有利か...」


 基本的にマナ戦闘の行える戦士とそうでない戦士とでは戦闘力が雲泥の差だ。

 一般兵ではマナ戦闘の行える戦士には、どう足掻こうが勝つことは不可能なのだ。


 欺く言うアルフレッドも、マナによる戦闘は出来ないのだが。ちなみにドルベルトはマナ戦闘が出来ていた。

 アルフレッドは一人、戦術を練っていく。今行える最善の策を捻り出そうと、脳が高速回転していく。やがて顔を上げたアルフレッドは素っ気なく言葉を発する。


「俺が単独で殲滅してくる。お前らは来なくていい」


 その言葉を聞いた指揮官は、今日二度目の驚きを顔に浮かべる。


「御一人で五千六百人の異人族を相手にすると言うのですか...?」 


 今度は困惑した顔を浮かべながら、指揮官が確認してくる。


「ああ。そんなに心配するな。さっき言っただろう?『今回の仕事は味気なさ過ぎた』ってな。だから俺はただ単に鬱憤を晴らしたいだけなんだよ」


 アルフレッドは指揮官の反応に苦笑しながらも身を翻した。

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