嵌められる
昼食の時間だからと食堂に連れて行かれた。
監獄の外に出る事は出来ないが、牢は出入り自由で、監獄内を好きに出歩けるらしい。
緩すぎるだろ警備……本当に監獄なのか……?
食堂も利用自体は労働時間以外は何時でも良いらしい……待遇良過ぎるだろ。
「さあ、ついたぜ光貴。ここが食堂だ」
「――――――」
食堂に付くと、この監獄で生活している囚人達から視線を向けられた。
だが俺の目は囚人達に向いていない、それ以上に目の前の光景に圧倒されていたからだ。
「……なんで……」
「……あん?」
「――なんで監獄の飯がバイキング方式なんだよっ!?」
突っ込まずにはいられなかった。俺は悪くない。
食堂は高級バイキングと言われてもおかしくない程に、美味しそうな料理で溢れていた。
「かっかっかっ! この施設は俺達から悪意を奪い取る為の物だからな、不味い飯は出さねぇだろうよ」
「……だとしてもだろ……」
気合入れ過ぎと言うか……この施設の管理者一派って相当のアホなんじゃねぇだろうか。
隆司さん達がトレーに食器を乗せて料理を取って行くので、俺もそれに続き料理を取って行く。
唐揚げ、ハンバーグ、ローストビーフ、刺身、パスタ、小籠包、ケーキまであるのか。
三食カップ麺だった俺の食生活より遥かに良いじゃねぇか!!
料理選びに夢中になっていると隆司さん達を見失ってしまった。
……一人で食うか、今までだってそうだったし。
「――始めましてねぇ新人さん。合い席良いかしら?」
久々に食せるまともな食事に、心を弾ませながら適当な席に座ると、グラビアアイドルみたいなスタイルの美人に話しかけられた。
おっぱいだ、大きなおっぱいだ。
「……ど、どうぞ……」
「ふふふ……ありがとう」
美人が目の前の席に座る、おっぱいが机に乗っている。
別に揺れるおっぱいが見たかった訳じゃ無い、合い席良いかと聞かれたから返事しただけだ、うん。
美人の隣には連れなのか、ガチムチマッチョマンが座った。
ボディーガードか……? ……唇に口紅が塗ってある様に見えるのは気のせいだろうか。
「わたすぃも失礼するわねぇん」
「あ……はい」
反り込み入ったその頭でオカマなのかよっ!? 冗談だろ!?
極力美人しか視界に入れない様にしよう、おっぱいが見たい訳じゃ無い、隣が精神衛生上よろしくないだけだ。
「――しかし驚いたわ。外にまだ、正常な人間が居たのねぇ」
「えっと……はい。ずっと家に引き籠っていたので……」
「なるほどぅん。そぉれなら奴らにもみつからなぁいわねぇん」
オカマ、テメーには話して…………貴方には話してません。
筋肉も凄いが、顔が厳つすぎるんだが……怖ぇよ。
「あらぁ? スパゲティー好きなの? この粉チーズ掛けると美味しくなるわよぅ」
「あ……ありがとうございます」
美人さんが手渡しで粉チーズを渡してくれた、綺麗な手に触れて少しドギマギしてしまう。
「いただきます」
「い、頂きます……」
美人さんとマッチョマンが食べ始めたので俺もミートスパを口に含む。
「~~~~~!? ~~~~~!」
「あっはっはっは! それチーズじゃ無くて粉砂糖よ」
甘ぇ、甘ぇ、甘ぇんだけどこのミートスパ!!!!
やってくれたなこの糞アマっ!!