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連行される

 嫌悪感を隠さなかった琴葉だったが、食事は一緒に食べる事になった。

 充の性癖は異常だが、それを除けばまともに会話が成立する為、監獄内ではマシな方らしい。

 充がマシって魔境過ぎるだろ此処。志保さんがまとも枠なのも頷ける。


 

「志保さんとは一緒に食べないのか?」

「一緒に居る剛毅が苦手なの」



 分かる、それ、凄く分かる。

 

 

「それに……志保さんはボディタッチが多いって言うか……普段はまともなのに、私が近づくとまともじゃ無くなると言うか……」



 徐に素が出てんじゃねえか、それ。やっぱあの人もまともではねぇよ。

 

 

「変わった子が多いのは確かだけどぅ、慣れれば愉快で楽しいよぅ?」

「愉快な奴筆頭が何をほざいてやがる」

「それは高英でしょぉ」



 あいつは愉快と言うか、ちょっと会話が成立しねぇんだよなぁ……

 でも、もしかしたらその高英すら、マシな部類なのかもしれねぇんだよなぁ……少なくても出合頭に殴りかかって来るような事は無かったし。

 

 知れば知るほど、最初に俺に声を掛けて来てくれた奴らは、まともな方だったのかもしれないと思えてくる……と言うか、まともの定義って何だっけ?

 充がまとも枠な時点で、色々終わっている気がする。

 

 



 

 食事を終えて筋トレを行おうと、トレーニングルームを探そうと思っていた。

 そう、思っていたんだ。

 

 

「――ねぇねぇ光貴ちゃん、一緒にゲームしようよぅ」



 ……なんでお前は今も俺に付き纏ってるんだよ。

 

 琴葉は食事を終えたと共にどこかに行った。

 どうせ残るなら琴葉が残ってよ、なんでコイツと再び二人っきりにならねばならんのだ。

 

 

「ねぇってばぁ」

「……まず、ゲームって何のゲームだよ……」

「テレビゲームだよぅ?」



 テレビゲームもあるのかよこの監獄……漫画とかならまだ分かるが、ゲーム機まで置いてるって、ネカフェより充実してるじゃねぇか……

 

 

「俺、筋トレしたいんだけど……」

「体力なんて、毎日働いてれば嫌でも付くよぅ。ほらぁ早く早くぅ」



 半ば連行される形で、ゲーム機のある部屋まで連れて行かれた。

 ……ゲーム機があると聞いて心が傾いた訳では無い。

 筋トレって翌々考えれば怠いなとか思った訳じゃ無い。

 

 連行されている道中、カラオケボックスに見える部屋や、ボウリング場にしか見えないレーン、バッテングセンターでよく見るマシーンなどが有った。

 此処はアミューズメント施設なのか!?

 娯楽に溢れすぎだろ!

 

 

「――さぁあ、着いたよぅ。これやろうよこれぇ」



 ゲームセンターでよく見かけるガンシューティングゲーム機が目の前にあった。

 コントローラーじゃ無くて、リアルな銃型の方か……ゾンビ殺してくゲームって、外の状況を考えると洒落になんねぇぞ……

 

 

「……ゲームなんかしてて良いのか?」

「隆司ちゃんからは寧ろ推奨されてるよぅ? 脱獄した先で真っ先に確保する武器は銃器だからぁ、エイムだけでも慣れて置いた方が良いって」



 ……日本って銃刀法違反って言うのがあって、銃を所持してるのは警察と猟師ぐらいなモノだった筈じゃなかったっけ……?

 確保できる程、日本に銃って置いてあるの……?

 

 

「リアルで銃ぶっ放す事があるって訳か……」

「まあぁ、ゲームと本物とじゃぁ、リロードのめんどくささや反動によるブレが違うって言ってたけどぅ」



 なんで詳しいんだよ……やっぱりそっち系の人だったのかなぁ……

 ……嫌われない様にしよう……

 

 

「まあぁ、僕たちが撃つ事になるのはぁ、ゾンビじゃ無くてロボットだからねぇ…………血が流れないとかやる気下がるよねぇ……」

「それはお前と高英だけだろ。他はずっとやりやすよ」



 元人間より機械相手の方が、断然攻撃しやすいだろ……

 

 

「そうかなぁ? 機械相手って言うけど、人工知能を持った意思あるロボットだよぅ? 意思と言うモノを無くした人間だった物の方がぁ、圧倒的に殺しやすいかもしれないよぅ?」

「意思を持っていようと、俺達を牢に閉じ込めて人形にしようとしてる奴らなんだから、倒すしかないだろ」

「その理論、人間相手でも通用しちゃう理論だねぇ。そうやって戦争って起きるんだろうなぁ」



 戦争って……いや、AIロボットと悪人達で戦争は起きようとしてるけども。

 

 

「人と定義するものって何だろうねぇ? 意思かなぁ? 生殖機能かなぁ? 人の意思を持ちながら生物的に人では無いロボットはぁ、人として扱われない? 生物的に人で有りながら人の意思を持たない人だったモノはぁ、人として扱われない?」

「……なんだよ、何が言いたい」

「ひひひっ、その辺の定義を自分の中で決めておかないとぉ――大事な時に躊躇っちゃうかもしれないよぅ?」



 …………人としての定義か……

 抗争にもし、外で人形と化した一般人が巻き込まれたとして、その一般人に気にする事無く行動が出来るかどうか……

 この事件を引き起こしているロボット達の、意思が人間に近しい物だったとして、俺は変わらず敵の排除と言う選択を選べるかどうか……

 

 

「――脱獄計画が始まるまでにはぁ、決めて置いた方が良いかもねぇ。ささぁ、はっじめるよぅ」

「…………おう」



 簡単に出せそうな答えでも無かったので、頭の片隅に追いやってゲームに集中する事にした。

 

 シューティングゲームなんて久しぶりにやった……そこそこ当たってる方だとは思うんだが、隣で全弾ヘッドショットを決める人力チートが居ると、下手なんじゃないかとしか思えて来ない。

 

 

「……なんでそんなに上手いんだよ、お前……」

「頭に当てるとねぇ、一番血を噴き出すんだよこのゲームぅ」



 そんな理由で神掛かったエイムしてんのかよコイツ……変態だな。

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