第37話 ユニークスキルとエクストラスキル
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旅をすることを両親に伝えてなんだがすぐ出発するわけではない。
討伐隊が王都で編成されるのは2ヶ月後だ。
王都までソフィアの召喚獣を使えば3日で着く。
2週間程こちらで準備をすませてから出発することとなった。
準備といってもそうすることはない。
しばらく帰ってこれなくなるのでソフィアが長めに時間をとってくれたのだろう。
そしてやることも変わらない。
早朝はゲインと朝稽古、午前中は山で狩り、午後はソフィアと魔法の修行、といこうとしたら待ったがかかった。
ソフィアだ。
「ちょっとちょっと」
「はい?」
「何してるの?」
「部屋の掃除ですけど」
「あ、それはありがとね!っじゃなくて!!」
「あと2週間で宿も出なくちゃいけないんですから今から整理と荷造りちゃんとしてくださいね。
それと最後にシウバさんのチェック入りますんで修繕費用意しといてくださいよ。
ほらここもまた染みになってる」
「ごめんなさい……っじゃなくて何で私が出発送らせたと思ってるの!?」
「家族の触れ合い?」
「分かってるなら何しにきたの」
「魔法の修行に」
「いやいやいや、触れ合いなさいよ。
まさか午前中に山なんて行ってないわよね?」
「あ、狩った鳥シウバさんに渡しといたんでお昼は鳥料理ですよ」
「わーい焼き鳥大好き!……っじゃなくて行ってるじゃない!」
「師匠の言いたいことはわかりますよ。
けど俺は普通に過ごしたいんてすよ」
「駄目」
「何でですか?」
今度はこちらが質問する番だった。
「君の普通は普通じゃないから。
朝から日が暮れるまで毎日山にこもる子供が一体どこにいるのよ!」
ここにいるけど
「さも、ここにいるけど。って顔しない!
いい?それは普通じゃないんだからね」
「う~ん」
これには一応訳がある。
討伐隊として出発したらソフィアから魔法の手解きを受ける時間がとれるかわからなかった。
それに討伐に出発したら試したいことがあり、今のうちに出来るだけ修行しておきたかったのだ。
「この2週間は修行しなくても王都に着いたら午前午後ちゃんと修行つけてあげるわよ」
「会議とかはいいんですか?
師匠ってたしか魔法師団の団員ですよね?」
「大丈夫大丈夫」
「もしかして弟子を理由にサボるつもりですか?」
「いいのよ、会議なんて8割は時間の無駄なんだから」
テキトーなソフィアに反論しようと思うが以外と核心をついてる気がした。
けどこの女はその残りの2割もサボって聞き逃すタイプだろう。
なるほど導師の小言が増えるわけだ。
「午前中起きられるんですか?」
「そりゃあ起こされれば起きる?よ」
何で疑問系なんだよ。
そこはしっかり起きろよ。
「午前中は活動出来ない呪いでもかかってるのかと思ってました。
じゃあ王都に着いたら日の出から日付が変わるまでお願いしますね」
「いやいや無理だから。
何その鬼特訓。
それにカイリは寝なくても大丈夫かもしんないけどあたしは10時間は寝ないと」
「子供か」
「じゃあ子供の君は普段一体何時間寝てるの?」
「2時間くらいですかね」
「もはや加護じゃなくてそれこそ呪いだよ」
呪いとは俺の持つエクストラスキルを指して言っているのだろう。
それで先日のギルドカードを受け取ったときのことを思い出した。
場所は隣町の冒険者ギルド支部。
両親に出発の説明をしたあともう一度ギルドに赴き、カードの受け取りと共に能力解析の結果説明を受けた。
ちなみにククルは体調がすぐれないとのことで家でお留守番しており今は自分とソフィアの二人だ。
あとどうでもいいが受付の女性スタッフはまだ17歳くらいの可愛らしい女性だった。
その娘から説明を受け、それで自分がエクストラスキルというものを所持していることかわかった。
それが【白夢】。
珍しいスキルらしいが字句だけ見るとなんのことだかわからないが効果は、
《睡眠耐性(大)》
《睡眠中の疲労回復速度(大)》
《睡眠障害(デメリット“大”)》
というものだ。
ちなみに魔道具の能力解析ではスキル名と効果の名称は出てきても内容詳細の説明は出てこない。
なので長年スキルの効果を検証して記録したギルドの資料から引っ張ってきて説明している。
まあ【白夢】の場合効果の名称で意味がわかるから問題はない。
で肝心の【白夢】だがエクストラスキルという響きの割りには効果は微妙。
見張り役の時に重宝されるらしいが見張りを押し付けられる理由にもなり羨ましがられないそうだ。
またこの世界に転生してからきちんと眠れなかった原因である睡眠障害は医療を用いてもスキルの為治らないらしい。
前世でも一時期睡眠障害を患ったが、辛かったのが疲れが抜けない、一日の生活サイクルが狂うということだった。
まあ疲労回復速度(大)のおかげで疲れは取れているし、昼に30分ほどの睡眠(寝れなくても何も考えずに目を閉じたり)をとることで自分なりのサイクルも作れるようになった。
ちなみに【無詠唱】はエクストラスキルではなくユニークスキルに含まれる。
エクストラとユニークの違いは先天的習得か後天的習得かの違いらしい。
では通常スキルはというとこれが表示されない。
いや解析されないらしい。
ここでいう通常スキルとは例えば剣術や槍術、火属性魔法中級などだ。
これらは解析魔道具に反応しないため自己申告とのこと。
つまり所持スキルは嘘をつこうと思えばつけてしまう。
しかし命を賭ける騎士団や冒険者は普通所持スキルは盛らない。
酒場で法螺を吹いている分にはいいが現場を共にする場合これほど信用ならないものもない。
回復魔法を使えるとうたっていていざ現場で使えないとなったら洒落ではすまない。
次に能力解析でわかるのは生命力、魔力量、筋力、魔力質、俊敏、耐久(物理、魔法、状態)などの各種パラメーター。
これらの説明を受けたとき受付の女性の顔が何故かひきつっていた。
そして現在のレベルだ。
このレベルがくせ者でたとえば同じレベルの人間でも各パラメーターの伸びは違うし成長の限界値、さらにレベルの上限値も違う。
つまり同じレベルの者でも強さは違う。
レベルは強さの基準というよりその人の成長の度合いなのだ。
しかし普通は同じレベルならば偏りはあれどトータルステータスに大きな開きはあまりない。
また大事なのはレベルは各パラメーターの値の総合値で割り出され、けっしてレベルが上がるからパラメーターがあがるわけではないということ。
普通は地道に筋トレや魔法修行でパラメーターをあげるしかない。
では普通ではないこととは、ゲームのようにレベルが上がったかのように一気にパラメーターが上がることがあるのだ。
それが“超克”。
その者にとってけっして越えられないような困難を越えたときに“魂の器”が練磨されるというものだ。
正直魂の器とか練磨ってなんやねんと思ったが魂の器とは生き物が生まれる際に基となる最初の要素?らしい。
この世界における宗教的観念なのかと思ったが、そもそも能力解析が魂の器を測って導きだしたものらしい。
前世にそんなものは無かったから受け入れがたい気がしたがそもそも魔法がある世界なのだから今更かと納得した。
ぶっちゃけ解析が間違っていないのならどうでもいい。
そして俺のギルドカードのユニークスキル欄には無詠唱の他にもう1つ記載されていた。
それが【付与術師】。
詳細にあっては
《魔法強化》
《多重付与》
《一一一》
前2つは分かるが最後の棒線の項目がなんだかわからなかった。
ギルド職員に聞くとこれは成長するスキルに表示されるとのこと。
では“付与術師”の全効果とは何かを聞くと分からないとの返答だった。
付与術師などというユニークスキルは初めてで今までの記録にはないとのこと。
隣で聞いていたソフィアも首を振っていた。
「けど、それに近いスキルを持っている“人”を知ってるわ。
ねぇ職員さん、副ギルド長にソフィアが会いに行くって伝えといてくれない?」
「えっ!副ギルド長にですか!?」
受付嬢だけでなく近くにいた他の職員も驚いている。
まあ副ギルド長といえば組織のNo.2。
急に会わせろと言っても困ってしまうだろう。
何せ冒険者ギルドとは1つの国の組織でなく魔族領を除いて世界に点在している。
大袈裟でなく大国の軍隊よりも数では上回るような大組織だ。
「それなら奥の部屋に行こうか?」
声の主は受付嬢の後ろにいた。
(いつの間に?)
気配察知にあっては猟師のおじいさんに仕込まれて結構自信があったが全く気付かなかった。
その声の主を見ると二十代中頃の黒髪で柔和な笑みを浮かべた爽やかイケメンだった。
前世で若いときはイケメンを見ると地面に唾を吐いていたが、30歳を越えてイケメンを見ると感心するようになってしまった。
まあ今は11歳なのだが。
「なんだ、いるじゃん。
やっほ」
ソフィアがイケメンに気軽に声を掛けた。
字面だけ見ると逆ナンパのようだ。
まあソフィアが軽いのは尻でなく頭なのでどうやら知り合いのようだが。
「なんだじゃないですよ。
通信魔道具に連絡しようとしたら繋がらないし。
ソフィアさん、僕の登録削除したろ?」
「いやー、だってゼンからの連絡って大概ろくでもないことじゃん」
苦笑のイケメンに不満顔で返すソフィア。
「ふーん、つまり意図的に削除したんだ?」
「うっ、しまった。
間違って消したってことにすればよかった」
にこやかに問い詰めるイケメンに脂汗を流すソフィア。
ってかこのイケメンさんってやっぱり――
「副ギルド長!?」
近くにいた年配の職員が声をあげる。
顔を知らなかったのか可哀想に受付嬢があわあわ言っていた。
「職務ご苦労様。
支部長には話し通してあるから会議室借りるよ。
あ、あと君も来てね」
副ギルド長が受付嬢に優しく声を掛ける。
普段こんなイケメンから声をかけられれば嬉しいだろうが今はテンパってそれどころじゃないようだ。
「取り敢えずここは人が多いから場所を移そう」
そう言う彼のあとをついていく俺とソフィアといまだにテンパっている可哀想な受付嬢。
建物の奥の一室に入ると中には椅子と机の他、疲れた顔をした中年男性の姿があった。
レベルの説明が難しいのですが“体力測定”と同じように考えてください。
各種目、握力や腹筋のトータルポイントでA、B、Cと評価されますよね。
それも各年代ごとで必要な合計値が違います。
40代30代20代だと右の方が必要な数字が大きくなるというもの。
これをこの物語に当てはめると
各能力、筋力や魔力量のパラメーターのトータルでレベルが割り出されます。
才能のあるものほどレベルの上限値が80、90、100と高くなります。
人によって同じレベルでもパラメーターの偏りはバラバラで伸びも違います。
分かりやすく言います。ポ○モンの個体値です。
しかもレベルの上限値も違います。ドラ○エモンス○ーズです。
ただポケ○ンとドラク○と違うのはレベルの結果(上昇)でパラメーターが伸びるのでなく、パラメーターが伸びることによってレベル(成長度合い)が決まると考えてください。
ちなみに経験値というものもありません。
本人が毎日ベンチプレス、スクワット、デッドリフトをするから強くなるのであってレベル1の仲間を連れてはぐれメタ○を倒してもレベルは上がりません。
がくしゅうそ○ちのようなインチキもありません。
強くなるには肉のお兄さんと毎日筋トレするしかありません。
つまり、ひびきはマジかわいいってことです。




