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黒龍殺しの付与術師  作者: しきな かいどう
幼年期
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第1話 転生

 活動報告でも記載していますが、物語の始めから修正・加筆をしていく予定ですので、最終改稿日よりも前の日付の話数のモノは内容に若干の齟齬が生じる場合があります(大まかなあらすじには変更はありません)

 その点に留意お願いします。

 

 目の前が真っ暗だった。

 字句だけ見ると某モンスターを戦わせるRPGのゲームオーバーのようだ。

 結果は所持金半分の損失どころではないが。


 (ゲームオーバーか。

 自分なりに築いていたものを失って、最後死んだのだからその通りかもしれない。

 ……これが死後の世界か)


 (真っ暗で何にもない。

 まあファンシーな世界よりはマシか)


 生前の筋肉質な自分の姿とお花畑を浮かべて、ないなと思う。

 小学生から社会人まで20年ほど武道を続けていた。だが仕事を辞め、元同僚や競技連盟に職場のOBがいたりで続けるのが難しくなった。

 それでも、身体は鍛えていた。何のためにと言われても困る。

 母はそんな俺を同情の目で見て、父は辞めた理由もあってか元から薄かった俺への興味が完全に無くなった。いや、はっきり嫌悪するようになった。

 思い出すのはやめよう、死んでまで後ろ向きなことを考えたくはない。なにせこれ以上ない死後(後ろ向き)な状況なのだから。



 (あれ?けど死後の世界?ってもう行ったような?)


 誰かと話した気がしたが思い出せない。


 (ああ、どうせ死ぬなら貯金崩してソープ行っときゃよかった)


 (大盤振る舞い90分コースで)


 (そらちゃんのDカップおっぱい揉みてぇ)


 (やっぱ大きさにも適度があるよな)


 (小さいより大きい方がいいけどDが至高だと思うんだよな)


 (あーマジそれだけが心残りだ)


 (あれ、俺の心残りそんなんだっけ?

 もっとカッコいいこと言ってたような・・・?)


「おぎゃ、おぎゃ、おぎぁ、おぎぁ、おぎぁあ」



 ん??


 やけに近くで赤ん坊の泣き声がする。


 だれかー。


 お母さーん、お子さん泣いてますよー!




 いや、これ俺か? 


 試しにDカップと連呼してみる。


 (Dカップ!Dカップ!Dカップ!)


「おぅぎゃ、おぅぎゃ、おぅぎゃ」


 あ、これ俺だわ。


 結構うまく抑揚つけれてる。


 ……転生ってやつか?


 どうやら死後じゃなくて生後だったらしい。


 だから目が開かなくて暗いままなのか。


 ……ちっ、何で前世の記憶なんてあるんだよ。


 今では覚えていたいモノの方が少ないのに。

 いや、この記憶も次第に薄れるのかもしれない。そう思うと今度は恩のある人を忘れるということに罪悪感を感じる。

 思わず溜息が出た。

 自分でも不器用な性格だと思った。


「○□△♯○△」


 ん?


 なにやら話し声が聞こえる。


 いや、俺に話し掛けているようだった。


「○□♯△♯○□」


 …………


 不思議と落ち着く


 感覚からあやされているのがわかった。


 (母親…なのかな?)


 それと同時に、生後の産声がほぼおっぱい談義だったことに罪悪感を覚えた。

 罪悪にも色々あるんだなと生まれて初めての気付きを得た。


 (…………しゃべるのやめとこ)



「○□♯△♯○□」



 なんか、眠くなってきた。


 ()()()()ずっと不眠症だったけど久し振りにゆっくり眠れる気がする……


 ああ、そうか


 まどろみって気持ちいいものだったんだな 

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