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黒龍殺しの付与術師  作者: しきな かいどう
少年期
39/101

第34話 姉御と後輩

評価とブックマークありがとうございます!

おかげさまで総合点数100に達しました(これ書いてる間に外されてなければですが……)


拙い文章ですが今後も読んでいただければ幸いです

 ソフィアの様子がおかしい。

 ここ最近、部屋に酒瓶が落ちていないのだ。

 いや、普通は床に酒ビンやらつまみがおちている方がおかしいのだが。

 身体の怪我も治り今はククルと一緒に部屋の掃除に行っている。

 だが部屋に行くと既にソフィアは起きていてすぐに修行へと向かうのだ。

 おかしい。


「師匠、身体の調子が悪いなら無理しないでください」


「何急に?」


「だって夜酒も飲まない、部屋を散らかさない、昼前には起きてる、人並みの生活習慣を送るなんておかしいじゃないですか」


 隣でククルも心配そうに頷いている。


「ククルまで……

 君達はあたしをなんだと思ってるの!?」


「え、そりゃあ――」


「や、やっぱいい!」


「駄目人間」

「ま、魔法に関してはすごい人」


「言わなくていいって言ったのに!

 あとククルのそれ、遠回しに他に関しては駄目ってことよね!?」


「そ、そんなことないです。え、えと、美人、そう美人です」


「ありがとう、けど内面は誉めてくれないのね……」


 ボソッ

「がっかり美人」


「聞こえてるわよ、カイリ!」


「まあ師匠が様子おかしいのは確かですし、なにを隠してるんですか?」


「か、隠してないわよ」


 必死に目をそらしているがどんだけごまかし下手なんだこの人。


「私たちには言えないことですか?力にはなれませんか?」


 ククルが耳を垂れさせ心配そうにソフィアに問う。


「うっ」 


 無自覚だがこのククルの破壊力はすごい。

 とても悪いことをしている気分になるのだ。


「わ、わかったわ。あとで話すから、ひとまず今日は以前話してたギルドへ」


 あ 落ちた。


「あれ? ギルドカードは結局緊急性がないから認めらなかったんじゃ」


「ああ、うん、まあちょっと口添えをもらってやっぱり作ってもらえることになったの」


「……」


 ソフィアの顔をじっと見るとあからさまに目をそらされた。

 だから下手だって。


 ふむ。


 その後、三人で馬車に乗り隣町まで向かった。


 その間、ソフィアの口数は少なく、ギルド支部へ就く直前に口を開いた。 


「あなたたちに会わせたい人がいてギルド支部で待ってもらってるから」


「はっ、なるほど!」


「な、なに、カイリ?」


「婚約者ですね?!」


「なにが!?」


「誤魔化さなくてもいいですよ。

 いつもはだらしないのに最近はお酒を控えて身の回りを綺麗にする。

 そして会わせたい人がいる。

 男が出来たんですね!おめでとうございます!

 師匠見た目だけは綺麗なのにまっっったくそういうウワサがないのでやっぱり無理なのかと心配してたんです」


「な、な、」


「そうだったんですね!

 おめでとうございます!

 なんだ私てっきり師匠がどっか遠くに行っちゃうんじゃないかって心配してたんですよ。

 よかったぁ、私の思い過ごしで」


「いや、ちがっ、あのね、」


 するとギルド支部の建物の脇に立っていた人物がこちらに向かって駆けてくる。


「姉御~!!」


 ソフィアより年下っぽい、たぶん17才くらいだろうか。

 ブラウンのショートヘアでタレ目の女性がそのままソフィアに抱きついた。

 よくみるとククルとは違う丸い形の耳と風船を伸ばしたような形の尻尾がついている。


「ちょっ、離れて、紹介できないでしょ!」


「いやだ、離さないっす」


 なにやら熱い抱擁を始まった。

 う~ん、なにがなにやら


「もしかして」


 姉御=お姉さまというやつだろうか?


「カイリさん?」


 不思議そうにしてるククルに説明する。

 するとみるみる顔が赤くなる。


「お姉さま……ソフィア師匠にそんなご趣向が!」


「ククル?!何いってるの?!ちがうわよ!カイリ!何吹き込んだの!?」


「はじめまして、カイリと言います」

「えっ、シカト!?」


「ソフィア師匠の弟子です。師匠とはどういったご関係で?」


「へぇ、さすが姉御の弟子だけあって礼儀正しいな」

「礼儀正しいってこの子、いま師匠の言葉無視してるけど!」


「あたしと姉御との関係はな」

「あれ?この子も無視!?もしかして私の声聞こえてないの?」


「姉御とは一言では言い表せられないふかーい仲だ」

「いや、学院時代のただの先輩後輩じゃない!」


「っと師匠は言ってますけど」


「まあ世間じゃあそうとも言うな」


「あんたたちやっぱり聞こえてるじゃない!!」


「び、びっくりしました。師匠にそういう変わった趣向がおありなのかと」


「ククル、変わったとかは失礼だよ。

 もしかしたら僕たちに言えないだけでこちらの方と本当は恋仲の可能性だってあるんだ。

 僕たちにはそういう趣向はないけど、だからってそれを理解もせずに否定することはしちゃいけない。

 それはその人の人格否定に繋がるんだよ」


 まあ前世の日本はまだその辺りの認識は遅れていたけど海外では同性婚が認められているところもあったし、日本だって戦国時代とか腐った女子が好きそうな武将同士のカップルとか普通だったしな。

 まさにおっさんずラブ


「ごめんなさい師匠。

 私、師匠が女の人を好きでも変わらず好きです。

 あ、けど好きっていうのはそう意味じゃなくて、人としてという意味で、あの私、他に気になる男の人がいるので!」

 チラッ


「ちょっ、ククル?!なにを――」

「バカ言うんじゃないよ。

 あたしが姉御と恋仲とか無理だから。まじ勘弁してよ」


「なんかあんたはあんたで否定強すぎない!?ましてやあたしの言葉遮ってまであんたが先に否定ってそれはそれで失礼じゃない!?」


「え、姉御……すみません。

 あたしのことそんな風に見てたんすか。

 あたし姉御のことは好きだけど異性としてじゃないんです。

 あたしノーマルなんで、ごめんなさい」


「な・ん・で、あたしが振られたみたいになってんのよ!!あたしだってノーマルよ!!」


「師匠落ち着いてください。

 こちらの方はそれで誰なんです?」


「……ごめん、少し休憩させて」




 いったん休憩を挟み、ソフィアが復活したのは30分後だった。


「さっき言ったけどこっちのはあたしの学院時代の後輩で今は名の通った冒険者であり魔法使いよ。

 ほらあんた自己紹介しなさい」


「まあ、姉御が今言った通りだ。

 よろしくな」


 ん?大分はしょった自己紹介だな。


「よろしくお願いします。

 僕はカイリでこっちが」


「ククルです。

 わたしもソフィア師匠から魔法を教わっています。

 あの、お名前をうかがってもよろしいてすか?」


「嬢ちゃん、名前ってのはそんな重要かい?」


「え、あの」


 ククルが戸惑っているが、そりゃあ重要だろう。


「出来れば僕も教えてもらいたいです。

 何とお呼びすればいいのかわからないんで」


「あたしのことは姉御…はかぶるからそうだな先輩と呼べばいい」


 いや、呼ばんけども。

 なんでこの人、頑なに名前言わないんだ?

 すると見かねたソフィアから伝えられる。


「この娘の名前はポコナよ」


「……」


「はい?」 


「だからポコナだって」


「……」


「あ、ああ、よろしくお願いしますポコナ先輩」


「ああぁぁ!なんで言うんすか!姉御!

 あたしがこの名前嫌ってるの知ってるじゃないっすか。

 それに名前の後に先輩付けても意味ねぇよ。

 むしろ煽ってるようにきこえるわ!」


「んふ」


 ソフィアは満足そうに含み笑いをしていた。

 あ、これさっきの意趣返しだ。

 やっぱ根に持ってたな。

 ポコナさんね、確かに変わった名前だけど、んー、俺も名前には女っぽいってことで若干のコンプレックスがあるからなぁ。


「ポコナさん、全然変な名前じゃないですよ。

 僕はかわいらしい名前だと思います」


「気ぃ使うんじゃねぇよ!」


「そんな使ってませんよ!響きが可愛らしくてポコナさんのかわいい容姿によく似合ってますよ」


「か、かわいくねぇし!」


「いえいえ、どう見てもかわいいですよ」


「……ほ、ほんとか?」


「ほんとです」


「ほんとか。

 ……えへ、かわいいか……ふふ」


 するとポコナはちょっと落ち着いたのかニコニコしはじめた。

 あまり誉められなれてないのかな?

 それにしても中身がおっさんだからか、人の容姿を割りと素直に可愛いと言えるようになった。

 前世じゃあ二十歳過ぎるまでは変に照れて言えなかったんだけどなぁ。


 そんなことを考えているとなぜか隣のククルからはジト目で見られる。

 え、なんでそんな目で見んの?


「ククルさん?」


「……」


「はぁカイリはあたし以外の女の子には優しいよね。

 あとポコナもいつまで名前を気にしてるのよ。

 君はあたしの知るなかでも一流に入る魔法使いなんだから堂々としてればそのうち名前の方が世間に馴染むわよ」


 俺もソフィアの言う通りだと思う。


 前世でも突飛な本名の有名人とかいたけど、その人が世間から好意または畏敬の目で見られればいつのまにか名前の方が馴染んでいるものだ。

 まあ本人の頑張りや人間性によるものだから、わざわざ苦労する名前をつける親はどうかと思うけど。


「姉御、わかりました!あたし精進します。

 まずは姉御に頼まれた通りこの子たちを立派な魔法使いにします!」


 ん?


「えっと、ポコナさんも師匠と一緒に教えてくれるんですか?」


「一緒に?姉御言ってないんすか?」

 ポコナさんは呆れた表情でソフィアを見ていた。


「ん、んん。」


「それは肯定ですか?否定ですか?

 はぁ、もうまじ何やってんすか」


「いえね?なかなか言い出せなくて」


「師匠、どういうことですか」


「え、えっとね、ちょっと旅に出ます」

マリ見ては祐巳と瞳子が好きでした。

二人のやり取りをもっと見たかったなあ。

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